学生のサバティカルと休学助成金
この記事は 2016年5月15日 に Medium で公開したものです。
現在私は自主サバティカルを採っていますが、似たようなことをしている優秀な学生エンジニア(元学生含む)と何人か会う機会がありました。彼らの特徴は、
- 未踏に採択されている
- 休学する
- 自分のやりたいことに集中して取り組む
というところです。休学期間中は未踏や自主プロジェクトを通して技術力向上や趣味に没頭しながら、期間後は大学に戻って研究しつつ、並行して仲間と起業するか、個人事業主として様々な仕事を受けているようです。
休学のメリット
休学だけなら新卒カードも失いませんし、国立大学なら休学期間中は基本的に学費は無料になります(ただし私学だと異なり、例えば慶応は施設利用費を含むと約 30 万円かかるようです)。また未踏に採択されれば年間 200 万円程度のお金が支給されるので、生活費の心配をせず自分のしたいことに集中できます。そして経験者の話を聞いている限り、リスクを低減しながら自分のキャリアや技術力を大きく飛躍させているようなので、やりたいことがあるのであれば非常に賢いやり方だなと思います。
個人的な体験としても、サバティカルを取って何かに没頭する期間を設けることは、長期的に見てキャリアに良い影響を与えてくれるように思います。たとえばサイドプロジェクトに取り組んで、いつかの起業するときに 1,000 万円ぐらい集めるためのトラックレコードを作るというのもありかもしれません。ただ社会人になってからそうしたサバティカルを取るのは正直リスクであり、誰にでもお勧めできるものではありません。そう考えると、学生の間に一年休んで好きなことをするというのはタイミング的にも良い選択肢なのではないかと思います。
休学のための奨学金もある
ただ問題は休学期間中の生活費です。先程は未踏の例を挙げましたが、その他にも色々と選択肢があっても良いように思います。
その候補の一つとして Thiel Fellowsip という「大学を休学/中退して自分のプロジェクトに取り組む学生に対して、2 年間で約 1,000 万円を提供する」奨学金があります。名前の通り、Zero to One などを書いた Peter Thiel による奨学金です。提供されるお金は個人に紐づくため好きに使ってよく、何かしら株を提供する義務などが発生するわけではありません。
ただし「Thiel Fellowship を受けることが決まったら、大学を休学または退学すること」が条件です。
毎年数千の応募が来るとも言われている中、選ばれるのは 20–30 名程度のようですが、応募自体は「今取り組んでいるプロジェクト」と過去の実績を簡単に送るだけでよく、22 歳以下であればいつでも応募することが出来ます。特に国の指定などはないはずなので、日本人も対象です。
実体験の話も翻訳されており、寮のようなところで Fellowship を受けた人の一部が生活をしているケースもあるようです。
急増する大学中退のIT起業家 失敗しても大手に就職jp.wsj.com
もちろん、あまり海外の大学側も良い顔をしていないようで、それに対して Peter Thiel はこう反論しています。
これほどの反発は予想していなかった。20人の才能ある者が大学に行かずに別のことをするというだけで教育システムが脅威にさらされるとしたら、それは教育制度が極めてぜい弱であることを意味する。私が言っているのは、才能のある者すべてが大学に行く必要はない、才能のある者すべてがまったく同じことをする必要はないということだけだ
ただ東京大学では 2013 年度から、入学直後にギャップイヤーに相当するプログラムで休学を奨励していたりします。日本でもこうした「休学」をうまく使うことが大学側からも徐々に奨励されていくのかもしれません。
こうした流れを考えると、学生エンジニアの皆さんにもし今やりたいことがあれば、こうしたプログラムを通して自分の学びたい技術を思い切り学ぶ期間を設けるのも一つの選択ではないかと思いますし、今後そうした動きも徐々に出てくるのではないでしょうか。
またすでに幾つかのトラックレコードがある学生の人は、もしかしたら未踏や Thiel Fellowship といったプログラム以外にも個人で支援してくれるエンジェル投資家などは出てきそうな気がしています。少なくとも、学生エンジニアが何か面白いものを作ることを支援したいという人は私の周りにはたくさんいます。ただそういう人が現れたときはどうか、悪い大人に騙されないよう、必ず周りからその人に関するリファレンスや評判を確認することは忘れないようにして下さい…。