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スタートアップ アイデア

この記事は 2015年2月13日 に Medium で公開したものです。

3年ぐらい前は「アイデアじゃない、実行なんだ」という意見がスタートアップ界隈でドミナントだったように思いますが、今は「やっぱアイデアって大事だよね」という風に変わってきている印象があります。もしかすると時流的に、executional excellence でなんとかなるアイデアが出尽くしてしまった、という背景事情もあるかもなのですが。

スタートアップにおけるアイデアというのは、Sam Altman が言ってるとおりマーケットサイズやらなんやらを含んで考えるべきかなぁと思っています。あと、Marc Andreessen が Idea/Product or Team/Execution or Market でどれが投資において重要かと言うと、多くの VC はチームだと答えるけれど、実は Marc はマーケットを選ぶ、マーケットサイズで選んでいる、というのが示唆的です(たぶん Sam の Lec. 1 もその辺踏まえてサイズというのを言ってるはず)。

マーケットサイズと言えば、US の VC がやってるマネーゲームは all or nothing で、年間15個ぐらいしかない「成功した」exit から得たキャピタルゲインでファンドに必要な利益を出す、みたいなゲームなので、狙ってる市場はその時価総額を超える数兆円のマーケットサイズがあるはずです。それがいいか悪いかはさておくとして、でも US のスタートアップに対抗するならその辺意識しとかないとそもそもゲームにならない、というのは考えなきゃなのかなと。

ああ、ただマーケットサイズというのは中々曲者です。既存のマーケットの何パーセントを取ります、というのはあまり好みではないという個人的な意見が強いというのもありますが。たとえばAirbnb とかはホテルマーケットの何パーセント、みたいな感じでしょうけど、多分スタートアップという新しい価値を生み出すところに投資するなら、その次も見据えなきゃいけないんですよね。Uber みたいにタクシーから入って自動運転までやっちゃうとか、そういう系で。

で、マーケットサイズの予想とかできるいい方法ないかなーと思ってたんですが、まあ当然ないわけですよ。ていうかあれば自分でなんかやってますし。やっぱそこは予測するんじゃなく、emergingな部分に気づくしかない、と PG も言ってます。

まあそういう中々まとまらない課題意識があってStanfordのレクチャノート読んでたんですけど、やっぱそのアイデアに関連する歴史を紐解くってところが重要なのかなぁと思い至りました。それで俯瞰して見る。人間ってそこまで頭の良さ変わらないと思うんで、過去にも同じアイデア持ってる人はいて、たぶん何人かそれを実行して失敗してるんですよね。成功してれば世界は変わってるはずですし。だからたぶん失敗してる。でも今は状況が違う部分が出てきているはずで、Sequoia 的に言えば「Why now」の問いが発せられる。Why nowに対する回答ができればたぶんそのマーケットは行ける。でも歴史をマップするためには expertise が必要です。やっぱ expert である必要がある。

たとえばAIなんて60年代に Minsky がやってて、80年代にもちょっと盛り上がって、90年代に Brooks の身体性の議論が起こった時なんかにはスタートアップとか成功してなかった(と思う…本からの知識なので経験してない)のですが、でも今や Deep Mind や Vicarious や Wit.ai といったスタートアップが大量のデータの入手が容易という今のこの環境ができたからこそ、成果はさておきスタートアップとして注目されてる。why now の答えがある。逆に言えば、why now の答えがなかったときの失敗事例があれば、その失敗理由を主に技術的な観点から分析することで、「あれ、今ならいけるんじゃね」的なものが見つかるかもしれない。

もちろんネットに常時接続のモバイル (iPhone 的 / i-mode 的な) みたいな新しいプラットフォームが突如(突如?)出てくればそりゃアイデア一つで行けるかもしれません。ただ今はそういう時期ではなさそう。コンテンツ系とかメディア系の買収とかが盛んですが、たぶんああいうものってモバイルで全体のトラフィックが上がったからこそ伸びたっていう側面はあるんじゃないかなと。モバイルの伸びは世界的に見ればまだ2倍ぐらい行きそうですが、でも日本だとそろそろ行きわたっているので、そういう目線だと日本語のコンテンツ系スタートアップは中々厳しそうではあります。

Computer Science 系の各分野での歴史を紐解いて、ある程度たたき台作ったうえでComputer Science 系で専門分野を持つ人たちがいる学会とかに行って先生や学生の皆さんの意見を聞きながら、「あ、このアイデア、今なら(、、、)行けるんじゃない?」というディスカッションとかをしてみるべきなんでしょうか。やってみてもいいかもなぁ。why now, why now… まあ大体がハードウェアの進歩による質的な変化だと思うので、下部構造が上部構造を規定する、という Marx の議論を思い出しちゃいますね。Gordon Childe 的に Marx を読むメタファですが。

やはり哲学書というのは生きるうえで大変便利です。Zizek とか久々に読みたいなぁ。


マーケットサイズといえば、大きくて確実なマーケットはもちろん大企業が狙うんだから、そうなるとスタートアップは基本的に膨大なリソースの前に勝てない、という視点も盛り込むべきかも。だからスタートアップは未知のマーケット、エマージングなマーケットに切り込んだほうが最終的に成功率が高い(大企業に潰されない)という風に解釈すべきなのでしょうか。Chris のいう Toy の議論を思い返しつつ。


そういうリスクの高いところにスタートアップは突っ込め、という言説はポートフォリオを持てるVC側の視点だから嫌だなぁ、と思ってたのですが、大企業と言う強豪の視点を入れると、リスクが高いほうがスタートアップにとってもいいのでは、という気がしてくるか不思議です。


というのもたまたま Head Mount Display の記事を見たので。HMD は大手が結構入ってきてて、そういう大企業がいるエリアでスタートアップがどう戦うかという話です。まあ大企業であるが故にマスマーケット狙いになりがち(合意形成でそっちに傾きがち)なので、もうちょっとニッチなマーケット、たとえば Oculus ならコンテンツ系にまずフォーカスして攻める、という手が常道かなぁとは思いますが…。


あと Rocket Internet モデルというか、輸入モデルはまあ大体うまくいくのかなと思っている節もありまして。たとえばインドのECはたぶんうまくいくわけです。そこでの投資における問題は、どのタイミングで伸びて、どのスタートアップが勝つかだけであって、インドのEC自体は伸びる。インドネシアとかもたぶん同様で、そういう人口ベースやデバイスベースで伸びるマーケットに投資するっていうのは、キャピタルゲインで事業を行う投資家にとっては当たり前なのかなと。もちろんプロダクトが良くないといけないし、そのために新しい技術を採用することになって技術的にも面白い分野なのかもしれませんが、でもその方向性の技術好きと、新しいテクノロジに関する技術好きってちょっと違うのかなと。


先進国の一つである我々ができて、マーケットが伸びている新興国の彼らには中々できないことってやっぱり、そうした未知のマーケットを作っていくところに投資することなのかなと。もちろんいずれは追いつかれるんでしょうけれど、やはりまだ未知のマーケットに投資できるほど彼らも潤沢な資金は持っていないはずで、そういう意味でもやはりマーケットができていないところに投資すること自体を戦略として持つべきなんでしょうかねぇ。US が過去にソフトウェアでやったみたいに。


まあでもスタートアップ側はそういうのを考える必要はなくて、単純に problem を見つけることに注力してればいいのかなと。


まあでもこの problem も曲者で、たとえばみんな別に第二世代 iPhone が出てくる前はそんなに「常時ネットにつながっていてアプリが使えるモバイル端末」とかに課題を感じていなかったでしょうし。それに現時点でも携帯の充電に関する problem とか聞いたところで problem はないんですよね。けど技術の発達によって無線充電ができることによって、「あ、充電って結構 problem だったんだな」と分かるときがある。frog の人も、本で「意外とみんなうまくやってるところに problem はあるんだ」とか書いててなるほどなと思った記憶があるので、その problem の見つけ方ってやっぱ難しいですよね。PG 的に言えば「未来に生きろ」ということなんでしょうけれど。


まさにこれだなぁと。どうやって Google が可能になったのか。

How Moore’s Law Made Google Possiblemedium.com