<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?><rss version="2.0" xmlns:content="http://purl.org/rss/1.0/modules/content/" xmlns:atom="http://www.w3.org/2005/Atom" xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"><channel><title>馬田 隆明のブログ（スタートアップエコシステム）</title><description>馬田隆明のブログの「スタートアップエコシステム」の記事。</description><link>https://takaumada.com/blog/tags/startup-ecosystem/</link><language>ja</language><atom:link href="https://takaumada.com/blog/tags/startup-ecosystem/rss.xml" rel="self" type="application/rss+xml"/><item><title>「AIで人を減らす」ではなく「AIでTAMを増やす」</title><link>https://takaumada.com/blog/ai-tam/</link><guid isPermaLink="true">https://takaumada.com/blog/ai-tam/</guid><description>昨今のAI関連のスタートアップ議論では、「AIを使えば従来の数分の一の人数で同じ売上を作れる」といった、オートメーションや効率化の話が注目されがちです。人件費が高く、巨大市場で戦うシリコンバレーの企業にとって、少人数で大きな売上を作れること…</description><pubDate>Sat, 30 May 2026 09:33:58 GMT</pubDate><content:encoded>&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/ai-tam/20260530234627.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;昨今のAI関連のスタートアップ議論では、「AIを使えば従来の数分の一の人数で同じ売上を作れる」といった、オートメーションや効率化の話が注目されがちです。人件費が高く、巨大市場で戦うシリコンバレーの企業にとって、少人数で大きな売上を作れることは大きな競争優位になる重要な議論でしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;しかし、日本のSaaS、特にVertical SaaSや業務ソフトウェアの文脈では、より大きな論点があるように思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それは「AIで人をどれだけ減らせるか」ではなく、「AIによって企業価値の上限をどれだけ引き上げられるか」であり、よりポイントを絞って言えば、&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;AIを使っていかにTAMを大きくするか&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;AIによって新しく切り開ける市場はどこか&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;といった議論です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/ai-tam/20260530182158.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;背景&quot;&gt;背景&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;背景として、日本のスタートアップエコシステムにおける1つの大きな議論の「東証グロース市場の時価総額100億円」の問題があります。その壁をなかなか越えることができない、というのが問題です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうした企業価値が小さく見積もられる原因は、スタートアップの利益率が高いかどうかという点よりも、単一市場で到達できるARRの上限、上場後の成長余地、期待できる市場規模の最大値が小さいこと、などのほうが大きいように思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうしたことを考えると、日本でより行われるべき議論は、&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;AIで業務を効率化する&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;AIで人を少なくする&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;人数を一定のまま成長する&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;という「利益や売上を数十パーセント上げる」という議論よりは、AIでどこまでTAMを増やして利益や売上の桁を上げるか、です。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;aiによってtamを伸ばす方法&quot;&gt;AIによってTAMを伸ばす方法&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/ai-tam/20260530182224.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;幸いにして、AIはTAMを伸ばすことも可能にしうるように思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえば&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;マルチプロダクトやコンパウンド型にして、対象とする業務範囲を拡張する&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;基幹ワークフローやBPO等の業務を取る&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;垂直統合&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;Physical AI 的なハードウェアにかかわる&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;海外展開やSMB等に顧客層を拡張する&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;といったことがAIによるサポートを得られれば可能なように思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;これら以外にも様々な方法があると思いますが、AIによって一部の事業は、TAMの拡張が可能になっているように見えています。（とはいえVerticalだと複数プロダクトを作ってもなかなかTAMは伸びないとは思いますし、すべての手が有効だとは限りませんが。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そしてそれが期待企業価値を上げるための方法ではないか、と考えています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;tamを伸ばすか利益率を伸ばすか&quot;&gt;TAMを伸ばすか、利益率を伸ばすか&lt;/h2&gt;
&lt;h2 id=&quot;&quot;&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/ai-tam/20260530182310.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;単純計算であれば、成功時企業価値の最大値が10倍大きくなるなら、成功確率が1/10に下がっても期待値は変わりません。ただ、成功時企業価値の最大値が10倍になり成功確率が1/5程度になるだけであれば、期待値は2倍です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;一方、多くのソフトウェア企業が2倍程度の期待企業価値向上を狙うのであれば、成功時企業価値をそのままにする条件下では、人員を半分程度に減らしたうえで売上や成長率を維持する必要があるでしょう。ただ、人件費のかわりにトークンコストが乗ってくるので、もう少し削減しなければならないかもしれません。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;戦術か戦略か&quot;&gt;戦術か戦略か&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/ai-tam/20260530182050.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;コスト削減の議論は、トヨタのような大企業で、ビジネスモデルのできあがっている大規模事業にとってはインパクトのある議論ですが、スタートアップにとっては多くの場合、生存期間を上げる議論です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;供給がボトルネックになっていたり、需要が大幅に変わるのであれば別ですが、AIの応用が単なる既存業務のワークフローの効率化で終わると、企業価値の桁を変える議論にはなかななりません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そして多くの場合、コスト削減やワークフロー改善は戦術レベルの話です。一方、「AIによっていかにして企業価値の桁を上げるか」というのは戦略レベルの議論であり、企業価値の桁を上げる際に重要なのは戦略レベルの議論です。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;aiは何を可能にするのか&quot;&gt;AIは何を可能にするのか？&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;その意味で、「AIは何を可能にするのか？」と問うときに、「AIでTAMを伸ばすには？」という問いを持ち、それを議論していくことが、日本のスタートアップエコシステム全体にとってよりよい結果をもたらすのでは、と思ったので記事として残しておきます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（もちろん、AIによるオートメーションによって、かつての電化された工場や、Uberによるタクシー業界の拡大のように、根本的にワークフローが変われば大きくTAMも拡大するかもしれませんが、隠れた需要があり、供給がボトルネックになっている領域に限って、影響が大きいのでは、と思います。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;なお、本記事ではAIでの効率化（利益率向上）とTAMの拡大を対比してきてましたが、これらは対立関係にあるのではなく、両方できることだとは思うので、最後にそこだけ付記しておきます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/ai-tam/20260530182246.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;関連記事&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/ai-second-order-consequences/&quot;&gt;AI の二次影響・三次影響を考える - 🐴 (馬)&lt;/a&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/deep-tech-prompt/&quot;&gt;専門家の技能が安くなると起こること、今起こりつつあること - 🐴 (馬)&lt;/a&gt;&lt;/p&gt;</content:encoded><dc:creator>馬田 隆明</dc:creator><category>AI</category><category>スタートアップエコシステム</category></item><item><title>「パズルの枠を描く側になる」—— スタートアップが共創で成長する方法</title><link>https://takaumada.com/blog/leading-by-blueprint/</link><guid isPermaLink="true">https://takaumada.com/blog/leading-by-blueprint/</guid><description>「自社を越えた大きな構想を描けるかどうか」が、今一層大事になってきているように思います。 特に、 といったときに、大きな構想を描けるかどうかが問われていると感じています。 そこでこの記事では、共創や課題解決における構想の重要性を、ジグソーパ…</description><pubDate>Sun, 01 Feb 2026 12:58:10 GMT</pubDate><content:encoded>&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/leading-by-blueprint/20260201215408.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「&lt;strong&gt;自社を越えた大きな構想を描けるかどうか&lt;/strong&gt;」が、今一層大事になってきているように思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;特に、&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;複数の企業が協力し、共創やオープンイノベーションを企図するとき&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;顧客の大きな課題解決を行おうとするとき&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;といったときに、大きな構想を描けるかどうかが問われていると感じています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/leading-by-blueprint/20260201215730.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そこでこの記事では、共創や課題解決における構想の重要性を、ジグソーパズルの比喩を用いながら、特にスタートアップ向けに解説します。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;構想のためのピースを埋める共創&quot;&gt;構想のためのピースを埋める共創&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/leading-by-blueprint/20260201214945.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ジグソーパズルを思い浮かべてください。このパズルの全体像や枠が「&lt;strong&gt;構想&lt;/strong&gt;」です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/leading-by-blueprint/20260201213013.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その構想を実現するために、各社がピースとなるリソースを拠出する――これが&lt;strong&gt;共創&lt;/strong&gt;だと言えます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/leading-by-blueprint/20260201213112.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ただ、現状のリソースだけではピースが埋まりきらないときもあります。構想が大きければ大きいほど、今はまだない技術や、今はまだない事業が必要だったりするので、空白の部分は大きくなるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そのときには、足りないピースを他から持ってくるか、もしくは自社が成長してその空白地帯を埋めます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/leading-by-blueprint/20260201213120.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;つまり、&lt;strong&gt;共創とは、自分たちの身の丈を越える構想を実現しようとすること&lt;/strong&gt;であり、&lt;strong&gt;その過程でお互いが成長するという取り組み&lt;/strong&gt;でもあるとも言えます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/leading-by-blueprint/20260201215047.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;こうした観点から言えば、スタートアップが自社の成長のためにやるべきことは、&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;自社や他社の現在の能力を超えるような構想を描き、&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;その実現の中で自社が大きくなるような道筋を描くこと&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;と言えます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;特に最近のスタートアップで起きつつある2つのシフトが、こうした構想と共創の重要性を増しているのではと思っています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;シフト-1現場の課題ではなく会社の課題へのシフト&quot;&gt;シフト 1:「現場の課題」ではなく「会社の課題」へのシフト&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/leading-by-blueprint/20260201215013.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;従来のスタートアップは、顧客の目の前の課題やバーニングニーズを発見し、解決することが鍵でした。デジタル技術の成熟と普及によって、これまで解かれていなかった現場の課題が解決しうる状況になっていて、それを解決すればスタートアップは大きな企業になりえたからです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;しかし、現在のデジタル技術で解きやすい課題や、現場で既に顕在化している課題の多くが先人たちの挑戦によって解かれた今、残されていて解決できる課題は比較的小さな課題が多くなってしまいました。その結果、現場の課題にフォーカスしすぎると、小さなスタートアップにしかならない可能性が高まっています。（生成AIが根本的に従来のソフトウェアを変えるのであれば別ですが。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうなると、顧客側で顕在化していない課題を提案側が先んじて提案していく、といったような、&lt;strong&gt;問題発見型から問題提起型&lt;/strong&gt;へのシフトが起こります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ただ、そのときに設定する問題や課題が小さいと、解決時に生まれる進歩の差分も小さくなります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そのため、&lt;strong&gt;現場の人たちの課題を解くというよりは、会社全体にかかわるような課題や、より遠く大きな戦略的な課題を解いていく&lt;/strong&gt;、という提案を行っていくことになります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/leading-by-blueprint/20260201215025.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;実際、私の周りにいる、成長しているSaaS系のスタートアップは、エンタープライズという大きな顧客に向かうか、顧客企業の戦略的な課題を解こうとしている、あるいはその両方を行っており、その際に自社の事業を超えて、その産業のあるべき姿などの大きな構想を語り、顧客を説得している傾向にあるように見えます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;以前書いた&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/problem-to-blueprint/&quot;&gt;課題解決パラダイムからの脱却&lt;/a&gt;も同様の文脈です。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;シフト2-ソフトウェアからディープテックへの領域のシフト&quot;&gt;シフト2: ソフトウェアからディープテックへの領域のシフト&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/leading-by-blueprint/20260201215711.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;昨今、日本のスタートアップエコシステムで期待されているのはディープテックと呼ばれる領域です。先端的な技術を用いることが多いディープテックでも、こうした構想が求められているように思います。（創薬などは別だと思いますが）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;まずディープテックスタートアップが取り組む技術は技術成熟度が低いことが多く、「今すぐ」の課題解決には不向きであり、仮に成熟度の低い技術を事業の現場に持って行っても、「使えない」と言われてしまいます。なぜなら現場が求めているのは、目の前の課題を解決できる、今すぐデリバリー可能な技術（TRLで言うと 8 - 9）だからです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうなると、&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;短期で技術を磨きに磨いてそのレベルに引き上げて解決する&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;顧客の中長期的な課題を解決しに行く&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;といった対応が必要とされます。しかし前者が実現可能なのは稀で、多くは後者のアプローチになるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうすると、&lt;strong&gt;顧客の戦略的な課題の解決や、顧客の会社の新規事業を一緒に作っていく、といったような中長期の提案&lt;/strong&gt;が必要になってきます。そしてスタートアップ自身が成長するためには、提案する構想は十分大きな構想である必要があるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;つまり、まだ技術的に成熟しきっていないディープテック技術であればあるほど、顧客にとっての中長期の課題や会社全体の課題を解きに行く、ということをしなければ話が噛み合いづらい、ということです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ソフトウェア製品は基本的にTRLが8-9であり、課題が分かれば解決策をおおよそ作れる、という傾向にあるため、ソフトウェアのスタートアップアプローチとは大きく異なることになります。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;事業を構想する&quot;&gt;事業を構想する&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;私たちは普段、自社の事業成長のために事業計画等の構想を考えます。そのときに考えるのは、通常、社会の中のピースの1つである自社をいかに大きくするか、といった構想や、顧客企業に合うように自社のピースのでこぼこを変化させるような構想です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/leading-by-blueprint/20260201213133.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;しかしここまで説明してきたとおり、共創や中長期の課題解決をしていくための大きな「大きな構想」はそうではなく、自社を超えて、より大きな枠を描くことではないかと考えています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/leading-by-blueprint/20260201215600.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そのうえで、&lt;strong&gt;自分たちがその構想の中でどのような意味を持つのかや、どれぐらい重要なのかを語ること、つまり自社が高く評価される文脈と構想を設定すること&lt;/strong&gt;が、自分たちの事業の価値や成長余地を決める、ということです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえば同じピースであっても、構想や文脈が異なれば価値は異なります。かといって自社だけが得をするような構想だとしたら誰も付いてきません。その構想が社会的に大きく求められるものであれば、協力してくれる人は増えやすいでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうした自社にも他社にも社会にも良い構想を描けるか、というのが、共創をしながら顧客の「会社の課題」を解決し、そしてより大きな産業を作っていくうえでは大事なスキルなのだろうと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/leading-by-blueprint/20260201215533.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;話す相手も変わる&quot;&gt;話す相手も変わる&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/leading-by-blueprint/20260201215136.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;こうした構想を中心に事業を考えると、&lt;strong&gt;「スタートアップが話すべき人」も変わってきます&lt;/strong&gt;。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;これまでスタートアップが話すのは主に顧客企業の中の、特に現場を担当する人が中心でした。しかし、多くの事業部や現場の担当者は、今の事業の最適化による利益の向上、かつ短期での課題解決を狙うよう設計されているため、こうした構想にはピンとこないことが多いはずです。仮に中長期の戦略的な課題があったとしても、現場の事業部レベルでは考えている人は少なく、それを解くインセンティブ設計もないことがほとんどです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;戦略や中長期の課題を考えているのは通常、次世代の事業成長を考えている事業部長やその上にいる幹部クラスであり、そうした人たちに提案しなければこうした中長期の話は刺さりません。そうした人たちにいかに大きく説得力のある構想を打ち込めるか、それが中長期にかかるビジネスをしていくうえではとても重要なのではないか、と思いますし、そこに提案できるだけのネットワークをどう持つのか、というのがより重要になってくるのでしょう。（あるいはスタートアップ同士で採用し合うか、です。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;実際、ディープテックスタートアップの起業家から聞く話として、「同じ会社に提案しても、現場には刺さらなかったけれど、幹部クラスには刺さった」という話はしばしば聞きます。むしろ現場に持って行ってしまうと、ポテンシャルのある技術が小さい解決策へと丸められてしまうことすらあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;最終的に何かを進めるのは現場なので、顧客の現場の声を聞くことももちろん大事ではあるのですが、と同時に、大きな構想をどう描いて、顧客の大きな課題を解決したり、顧客の事業戦略の中に自社を組み込めるかどうかが、今後スタートアップが急成長していくためには重要なのだろうと思います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;スタートアップが構想を描く&quot;&gt;スタートアップが構想を描く&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/leading-by-blueprint/20260201215148.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この構想を描く役目は、大企業でもスタートアップでもどちらでも構いません。しかし、もしスタートアップが急成長したいのであれば、&lt;strong&gt;自分たちが急成長できるような構想&lt;/strong&gt;を描かなければなりません。それができなければ、他企業の描いた構想の中でうまく使われる、一部のパーツの提供に終わってしまう可能性が高くなります。特に交渉力の弱いスタートアップであればあるほどそうなってしまうでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;また、大きな構想であればあるほど、実現可能性矢リスクは高まります。ただそうしたリスクを取れるのがスタートアップの社会的な期待でもあるはずです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;よって、スタートアップが自社の事業を越え、そしてパートナーとなる他社の事業をも越えて、より大きな構想を描き、「&lt;strong&gt;この構想が実現できれば御社にも大きなメリットがあります。この共創を通して一緒に成長し、この構想を実現しましょう&lt;/strong&gt;」といった説得力のある提案することではじめて、自社の事業がやりたかったことが進む――という形になるのではないか、と思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もちろん、何もピースを持たない状態で構想だけ話しても乗ってくる人はいないでしょう。最初は小さな実績となるピースが必要になります。それでも最初は小さな共創から始まるのかもしれません。しかしその先にある心踊るような、自社の事業のためではないより広く大きく魅力的な構想と、そして足場となる実績があることで、共創や顧客獲得につながっていくのでは、と思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;日本の既存企業側もこうした大きな構想を描ける人はまだまだ少ないと聞いています。であれば、それはスタートアップが大きな構想を提案していける良い機会だとも言えます。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;カンパニークリエーションも構想ありき&quot;&gt;カンパニークリエーションも構想ありき&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/leading-by-blueprint/20260201215209.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/tags/company-creation/&quot;&gt;カンパニークリエーション&lt;/a&gt;も、こうした構想という大きな枠を作り、その中のピースとしての事業が足りないから、その会社を作りに行く――という動きをしているように思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえば、VargasのNorthvoltは「EUの電化➡バッテリーが不足」でしょうし、同様にStegra (H2 Green Steel)も脱炭素の構想の中で足りないピースとしてのグリーン鉄鋼を作りに行こうという取り組みだったように見えます。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;産業家として未来の産業の構想を描く&quot;&gt;産業家として未来の産業の構想を描く&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/leading-by-blueprint/20260201215229.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;以前、「&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/industrialists-are-coming/&quot;&gt;起業家から産業家へ&lt;/a&gt;」という記事を書きました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ある意味で、&lt;strong&gt;各国政府や大企業すらピースとして見立てて、構想の枠となるパズルの全体像を描き、その中で大きなピース（事業）になり得る大きな空白地帯を見つけ、その領域でどういった事業をスタートアップとして作っていけるのか&lt;/strong&gt;――そうした発想ができる人が産業家だと言えるのだろうと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうした大きな構想を描くと、ほぼ間違いなく自社だけではできなくなり、自然と他社との共創もせざるをえなくなりますし、オープンイノベーションにもつながっていくのだろうと思います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;まとめ&quot;&gt;まとめ&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/leading-by-blueprint/20260201215243.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;解くべき顧客の課題が、&lt;strong&gt;顧客の「現場の課題」から、 顧客の「会社や戦略上の課題」になりつつある今&lt;/strong&gt;（あるいはそうしなければスタートアップも大きくなれない今）、こうした「自社の事業を越えて大きな構想を描いて提案し、顧客と共創する」ということがより重要になってきているのでは、と思っています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;特にこれからハイグロース・スタートアップを始めたいという起業志望者の方々は、こうした観点でもアイデアを考えてみても良いかもしれません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その方法論の一部は過去の記事でいくつか触れています。たとえば『&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/blueprinting-the-future/&quot;&gt;未来を構想する&lt;/a&gt;』や『&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/grand-design-thinking/&quot;&gt;デザイン思考🎨🧠を超えて、グランドデザイン🗺️を&lt;/a&gt;』などです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;また『リソースフルネス（仮）』という本ではそのピースを集める方法を書こうとしています。もしご興味があれば、そうした記事や本も参照してみてください。&lt;/p&gt;</content:encoded><dc:creator>馬田 隆明</dc:creator><category>アイデア</category><category>カンパニークリエーション</category><category>スタートアップエコシステム</category></item><item><title>日本のスタートアップ・エコシステムのモメンタムを上げる：思想やテーマを語ることについて</title><link>https://takaumada.com/blog/theme-and-thought-for-momentum/</link><guid isPermaLink="true">https://takaumada.com/blog/theme-and-thought-for-momentum/</guid><description>「日本のスタートアップエコシステムのモメンタムが下がっているのでは」という話を最近立て続けに聞きました。 私自身もそう感じているところはあります。たとえば Initial のレポートを見ていても、資金調達額は横ばいになり、悪いニュースはない…</description><pubDate>Mon, 26 Jan 2026 03:58:17 GMT</pubDate><content:encoded>&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/theme-and-thought-for-momentum/20260126110158.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「&lt;strong&gt;日本のスタートアップエコシステムのモメンタムが下がっているのでは&lt;/strong&gt;」という話を最近立て続けに聞きました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;私自身もそう感じているところはあります。たとえば &lt;a href=&quot;https://initial.inc/articles/japan-startup-finance-2025&quot;&gt;Initial のレポート&lt;/a&gt;を見ていても、資金調達額は横ばいになり、悪いニュースはないにしても、全体として成長しているとは中々言いづらい状況です。調達社数も徐々に下がりつつあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;Google Trends を見てみても、「スタートアップ」は横ばい、「起業」については2023年以降に徐々に下落傾向があるようです。&lt;/p&gt;
&lt;figure&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/theme-and-thought-for-momentum/20260126110101.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;figcaption&gt;
&lt;p&gt;Google Trends (&lt;a href=&quot;https://trends.google.co.jp/trends?geo=JP&amp;amp;hl=ja&quot;&gt;https://trends.google.co.jp/trends?geo=JP&amp;amp;hl=ja&lt;/a&gt;)&lt;/p&gt;
&lt;/figcaption&gt;
&lt;/figure&gt;
&lt;p&gt;こうした雰囲気や感覚が一部で共有されていて、SNS 等でもややネガティブな発言等が見られるのではと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;とはいえ悲観的・冷笑的なことを言っても状況は変わりません。考えるべきなのは、現状を見据えた上でどのように手を打つかです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;いわば、会社のモメンタムが落ちてきたときにやるべきことを、エコシステム全体で行わなければならない時期でもあるのだろうと思います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;思想やテーマを語る&quot;&gt;&lt;strong&gt;思想やテーマを語る&lt;/strong&gt;&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;モメンタムを上げるためには、短期的には今挑戦しているスタートアップに成功してもらい勝利を作っていくこと、そして中長期には大きな成功を作っていくことが最も効果的だと思います。そのためにはスタートアップエコシステムの効率化をしていく必要があるのでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;しかし短期でもう一つできることがあるように思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その1つは、エコシステムに関わる人たちが、&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;これからのテーマや勝ち筋を具体的に伝えていくこと&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;思想や未来を語っていくこと&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;をもっとしていくことなどです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/theme-and-thought-for-momentum/20260126004334.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;実際、海外を見ていても、a16z や Lux Capital などは（その賛否はあれど）、自らの投資仮説を示すことのみならず、自分達の世界観やテーマを押し出して、次のテーマがどこにあるかを指し示しています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;こうした世界観を語ることは、空気を変えるだけに止まらず、起業家や人材の流入にも影響しますし、顧客や政策も変える力を持ちます。さらに、そうした共通認識を作ることができれば、自分たちの資本以外の資本を呼び込むこともでき、ある意味での「市場の形成」をしていると言っても良いでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;投資仮説を持つだけではなく、その投資仮説を正解にしようとしている様子は日本のエコシステムにとても参考になるのではないかと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/theme-and-thought-for-momentum/20260126004618.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;目指す規模ごとにテーマを作る&quot;&gt;&lt;strong&gt;目指す規模ごとにテーマを作る&lt;/strong&gt;&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;特に昨今、「アメリカのタイムマシン経営をしているだけでは一定以上の規模にはならない」ということも徐々に共有されつつあるように思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ということは、一定以上の規模を目指すのであれば、&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;最初からアメリカで始めて、アメリカのスタートアップとして挑戦する&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;日本で始めるが、アメリカのスタートアップの潮流を見るだけではなく、グローバルの動き全体を見た上で、日本独自のスタートアップ全体の戦略を考えていく&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;といったような、従来よりも一段難しい思考をしていかなければならない、ということでもあるのでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ただし単に「勝つ」ことや「日本ならでは」といった独自性を追いかけると、市場規模の小さなニッチに辿り着きやすいことには注意が必要です。ハイグロース・スタートアップであれば、ある程度の規模を目指していかなければならず、そのための戦略やテーマの選定はかなり難しい道だとも思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/theme-and-thought-for-momentum/20260126004355.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;先日、&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/1-trillion-dollar-startup/&quot;&gt;100兆円スタートアップ&lt;/a&gt;の記事を書きました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;決してそれが唯一のゴールではないと思っており、ある意味で時価総額のいくつかの桁ごとに、ポートフォリオとしてテーマがいくつかある――そうした状況が健全ではないかと思っています。たとえば以下の表のようにです（あくまで例です）。&lt;/p&gt;
&lt;table&gt;&lt;tbody&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;時価総額の桁&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;テーマ&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;100兆円&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;次の基盤&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;10兆円&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;次の国際秩序、次の日本産業&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;1兆円&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;グローバル、○○安全保障など&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;1000億円&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;国内の各領域&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/tbody&gt;&lt;/table&gt;
&lt;p&gt;こうした思想やテーマを打ち出していく、あるいは既にあるスタートアップの先端的な動きをリフレーミングして伝えていくといった取り組みをするのは、おそらく投資家が中心となっていくのではないか、と思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;最前線にいる起業家の皆さんはそうした時間はないでしょうし、広く見ている投資家のほうが相性は良いのではないかと思います。また投資家としての資本供給だけではなく、考え方の枠組みを供給していき、自分たち以外の資金を増やしていくといったレバレッジがより必要になってくるのでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/theme-and-thought-for-momentum/20260126004415.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;外の理解を得る&quot;&gt;&lt;strong&gt;外の理解を得る&lt;/strong&gt;&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;またそうしたテーマや思想を語ることは、同時にエコシステム外へのコミュニケーションにもなります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;特に昨今の様子を見るに、&lt;strong&gt;日本社会の中でスタートアップの位置づけや役目を改めて訴えていく&lt;/strong&gt;必要もあるのではないかと思っています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ここ数年、スタートアップは日本政府や自治体の成長戦略の中心に据えられました。またそれより前からオープンイノベーション等による大企業の注目もありました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;こうした雰囲気の中で、エコシステム全体としては非常に大きなモメンタムがあったため、なぜスタートアップが大事なのか、という説明をする必要はそこまでない状況が続いていました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;しかし、政府や企業が「事業成長」「経済成長」よりも「経済安全保障」などが優先的な課題になりつつある今においては、スタートアップやそのエコシステムが日本経済におけるどういった価値を持つのかを明確に説明していく、あるいは現在の社会的アジェンダに明示的にアラインしていく必要が改めて出てきているのではないかと感じています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/theme-and-thought-for-momentum/20260126004445.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;また企業で働く人たち、特に学生の就職意識の状況を見ていても、&lt;a href=&quot;https://www.mynavi.jp/news/2025/04/post_48659.html&quot;&gt;マイナビの就職の意識調査&lt;/a&gt;では、この10年で「安定している会社」が好まれるようになっており、この5年でもさらに上がっています。&lt;/p&gt;
&lt;figure&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/theme-and-thought-for-momentum/20260126125637.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;figcaption&gt;
&lt;p&gt;&lt;a href=&quot;https://www.mynavi.jp/news/2025/04/post_48659.html&quot;&gt;https://www.mynavi.jp/news/2025/04/post_48659.html&lt;/a&gt;&lt;/p&gt;
&lt;/figcaption&gt;
&lt;/figure&gt;
&lt;p&gt;&lt;a href=&quot;https://www.recruit-ms.co.jp/news/pressrelease/7236681484/&quot;&gt;リクルート&lt;/a&gt;や&lt;a href=&quot;https://www.dentsu.co.jp/news/release/2025/0428-010875.html&quot;&gt;電通の調査&lt;/a&gt;では安定さを重視されていつつも、「やりたい仕事」はまだ上位にランクインしているため、おそらくは、&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;「やりたい仕事」は最終決定の局面において重視される&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;しかし複数条件の比較したときには後退している&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;といった状況なのではないかと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;今後、物価上昇と実質購買力の不安定さが、最低限の衛生要因の重要性を高め、満足度よりも給与を重視する傾向が強まることも十分に考えられます。スタートアップも給与水準は高まっていますが、一方で中長期で安定しているかといえばそういうわけではないため、こうした従業員の方々向けへのメッセージもより必要になってくるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうした意味でも、&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;大企業から見たスタートアップの価値&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;従業員・転職者から見たスタートアップの価値&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;さらには海外の諸外国から見たときの日本のスタートアップの価値&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;など、外から見たときの日本のスタートアップの価値や社会的役割を再定義して、伝えていくことが求められているのではないか、と思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/theme-and-thought-for-momentum/20260126004526.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;まとめ&quot;&gt;&lt;strong&gt;まとめ&lt;/strong&gt;&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/theme-and-thought-for-momentum/20260126004604.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;何事もモメンタムが下がることはあります。何かを進める中で、問題が出てくることは仕方がありません。とはいえ問題があれば解決すればいいだけで、その問題をきちんと把握して手を打っていく、ということができればと思っています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その一環として、たくさんのスタートアップのテーマやアイデア、勝ち筋がどんどんと出てくること、それを外に伝えること、未来を伝えていくことなど、やれることはたくさんあると思います。それはある意味での思想を作っていくことでもあるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もちろん、語ることですべてが解決できるわけではありませんし、それをやる人は一部で良いでしょう。それでももう少し、そうしたコミュニケーションが出てきても良いのでは、と思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それに、そうした未来のことを考えられる職種は限られています。スタートアップに関わっているということは、そうした未来や理想を語れる、という良いポジションにあるのではとも思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もちろん投資家や支援側にとってみれば金融的なリターンを出すことが仕事です。とはいえ、単なる金銭的リターンだけを求めているならおそらく別の金融の職を取るほうが合理的であり、そうした道ではないと思ったからこそスタートアップの業界に身を置いた人も多いはずです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その意味がもし未来や理想にあるのであれば、まさに今、そうした発信の機会でもあるのではないかと個人的には思っています。&lt;/p&gt;</content:encoded><dc:creator>馬田 隆明</dc:creator><category>オピニオン</category><category>スタートアップエコシステム</category></item><item><title>💯「100兆円スタートアップを作るには？」という問いを持つ</title><link>https://takaumada.com/blog/1-trillion-dollar-startup/</link><guid isPermaLink="true">https://takaumada.com/blog/1-trillion-dollar-startup/</guid><description>SpaceX が時価総額約200兆円で上場するという噂があるほか、OpenAIが125兆円、Anthropicは50兆円といった評価額で資金調達を行っているという報道があります。 100兆円の時価総額を超える会社は日本にはありません。日本の…</description><pubDate>Mon, 12 Jan 2026 06:08:04 GMT</pubDate><content:encoded>&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/1-trillion-dollar-startup/20260112143529.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;SpaceX が時価総額約200兆円で上場するという&lt;a href=&quot;https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB160LZ0W5A211C2000000/&quot;&gt;噂&lt;/a&gt;があるほか、OpenAIが&lt;a href=&quot;https://techcrunch.com/2025/12/19/openai-is-reportedly-trying-to-raise-100b-at-an-830b-valuation/&quot;&gt;125兆円&lt;/a&gt;、Anthropicは&lt;a href=&quot;https://techcrunch.com/2026/01/07/anthropic-reportedly-raising-10b-at-350b-valuation/&quot;&gt;50兆円&lt;/a&gt;といった評価額で資金調達を行っているという報道があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;100兆円の時価総額を超える会社は日本にはありません。日本の&lt;a href=&quot;https://www.nikkei.com/marketdata/ranking-jp/market-cap-high/&quot;&gt;時価総額トップ&lt;/a&gt;はトヨタで、現在50兆円近くです。その規模以上に評価されている会社が今やアメリから続々と生まれてきている、ということです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;並行して、この月には米国VCの&lt;a href=&quot;https://a16z.com/why-did-we-raise-15b/&quot;&gt;a16zが総額約2.3兆円のファンドを作りました&lt;/a&gt;（※同時設立した複数のファンドの合計です）。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たった1つのVCが&lt;a href=&quot;https://initial.inc/articles/japan-startup-finance-2025h1&quot;&gt;日本の年間VC投資額の約3倍&lt;/a&gt;に当たるファンドを組成したということであり、約10年後には数兆円リターンを返すというコミットをしたということです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;こうした動きを見ていると、今やアメリカのスタートアップエコシステムは&lt;strong&gt;「100兆円スタートアップを作り出す」ことが目標💯&lt;/strong&gt;になりつつあるように見えます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;アメリカのスタートアップも少し前までは、&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;数年に1度ぐらいに10兆円規模 (Facebook, Stripe, Databricks など)&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;年に数社ぐらいは数兆円規模&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;といった規模感でした。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;これであればまだ日本も頑張れば少しは追いつけるかもしれない（かなり難しいけれど）、という印象でしたが、今やその差はさらに大きくなっています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そして日本が時価総額1000億円のスタートアップを十分な数生み出せておらず、1兆円もまだ継続的に出せている状況ではない中で、アメリカのスタートアップエコシステムでは10兆、100兆と、期待と掛け金が上がってきています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;世界がこのように動いている中で、日本の対応も求められます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もちろん、「日本のスタートアップエコシステム」の課題と改善も大事です。ただ一方で、この世界の状況に何かしらの形で対応していかないと、日本のスタートアップだけではなく、日本の産業自体が縮小均衡へ向かう可能性もあるのでは、と思っています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;だからこそ、日本にいる私たちも「&lt;strong&gt;日本から100兆円級のスタートアップを作るには？&lt;/strong&gt;」という問いを、もっと日常的に交わしていく必要があるのではないか、と考え始めており、このブログ記事はその考えの整理のために書いています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;NotebookLM によるまとめ&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;div class=&quot;embed&quot; data-embed=&quot;google-slides&quot;&gt;&lt;p class=&quot;embed-link&quot;&gt;&lt;a href=&quot;https://docs.google.com/presentation/d/e/2PACX-1vRsRsJza8Oyu_WVgGrVvOz5sleG-yNSC18UZT45MDu6VB49GUt8J1MSBDgvYBgYCwC1BpC5QnMFDrPh/pub?start=false&amp;amp;loop=false&amp;amp;delayms=3000&quot;&gt;https://docs.google.com/presentation/d/e/2PACX-1vRsRsJza8Oyu_WVgGrVvOz5sleG-yNSC18UZT45MDu6VB49GUt8J1MSBDgvYBgYCwC1BpC5QnMFDrPh/pub?start=false&amp;amp;loop=false&amp;amp;delayms=3000&lt;/a&gt;&lt;/p&gt;&lt;/div&gt;
&lt;h2 id=&quot;-a16zの23兆円ファンドが示す勝負の桁&quot;&gt;💸 a16zの2.3兆円ファンドが示す勝負の「桁」&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;a16zのファンドの話に戻ります。粗い計算ではありますが、VCとして10年後に3倍のリターンを狙うとすると、彼らの2.3兆円のファンドは、10年後に約7兆円規模のリターンが必要になってきます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この「7兆円」のリターンを実現するためには、以下のどれかになります。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;100兆円企業の（最終的に）数％の株式価値を取れるような案件が複数必要&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;10兆円級の企業が複数生まれ、それぞれで一定割合を取る必要&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;それに準ずる大型エグジットが必要&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;もちろん現実はポートフォリオで分散し、希薄化もあるので単純ではありません。ただ、それでも「&lt;strong&gt;これから10兆、100兆の企業を生み出す&lt;/strong&gt;」という勝負の構えが、ファンド規模から見て取れる、ということは事実でしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/1-trillion-dollar-startup/20260112143602.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;a16zのファンドは象徴的な一例です。これに限らず、この規模に近いところではLightspeedが約1.2兆円、Founders Fund が約9000億円のファンドを組成しています。リターンが3倍としたら、それぞれ3.6兆円、2.7兆円をコミットしているということであり、これらのファンドも同じ目線感で物事を考えているはずです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;こうした規模のファンドでは、&lt;strong&gt;ユニコーンやデカコーンをいくら生み出そうと、ほとんど意味がありません&lt;/strong&gt;。1000億円の企業の20%を持っていたとしても200億円でしかなく、ファンドの求めるリターンの1%にもならないからです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/1-trillion-dollar-startup/20260112143343.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;さらにこれらを足し合わせると、アメリカのスタートアップエコシステム全体としては10兆円以上のリターンを出していくことをコミットしており、それは100兆円のスタートアップを何個も出していく、という企てをしていることになります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;アメリカにも「VCのファンドサイズが大きすぎる」という批判は常にあります。しかしa16zはSpaceXやOpenAI、そしてDatabricksにも積極的に投資しており、特に現時点で20兆円の時価総額と言われるDatabricksに至っては、a16zが&lt;a href=&quot;https://www.notboring.co/p/a16z-the-power-brokers&quot;&gt;15%程度のシェアを維持していると仮定した関係者の話&lt;/a&gt;も出ているぐらいで、それは&lt;strong&gt;a16zは3兆円近いリターン&lt;/strong&gt;を出せるかもしれない、という状況です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それに実際、&lt;a href=&quot;https://www.notboring.co/p/a16z-the-power-brokers&quot;&gt;過去の a16z のファンドもリターンを生んでいる&lt;/a&gt;ことから、それは不可能ではないという説得力を持ち始めています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;これは関係のない他国の話ではなく私たちもつながっている世界の話&quot;&gt;🌎これは「関係のない他国の話」ではなく、「私たちもつながっている世界の話」&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/1-trillion-dollar-startup/20260112145927.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;これは「対岸のこと」ではなく、日本にも以下のような「投資の空洞化」が起こりうるのではと思っています。&lt;/p&gt;
&lt;h5 id=&quot;1-海外の投資家の目線感が上がる&quot;&gt;(1) 海外の投資家の目線感が上がる&lt;/h5&gt;
&lt;p&gt;まず日本のスタートアップエコシステムとして、ミドル・レイトステージの資金の出し手が十分ではなく、海外の投資家からお金を引っ張ってきたい、という議論が常にあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そんなとき、海外のTop TierのVCから投資を受けようとすると、彼ら彼女らは上述した&lt;strong&gt;時価総額100兆円規模や、米国並みの成長率・ストーリーを求めてくる&lt;/strong&gt;ことになります。つまり、そうした目線感で目標を設定していなければ、彼らの投資は受けられないということです。（もちろん海外のVCや上場にも様々な規模があり、必ずしもそうではありません）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;海外のVCも「大規模」と「専門家」の&lt;a href=&quot;https://www.youtube.com/watch?v=dfGANTiLlwE&quot;&gt;二極化が進みつつある&lt;/a&gt;という議論があります（ややa16zのポジショントークもあれど）。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうしたトレンドを追いかけておかないと、日本のスタートアップエコシステムが海外の資金を獲得する、というのは難しくなるのではと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/1-trillion-dollar-startup/20260112143747.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h5 id=&quot;2-人材顧客が海外スタートアップに取られる&quot;&gt;(2) 人材・顧客が海外スタートアップに取られる&lt;/h5&gt;
&lt;p&gt;おそらく今後大きく資金調達をするスタートアップがどんどん出てきます。優秀な人材の報酬相場も上がっていくでしょう。そうすると、&lt;strong&gt;日本の優秀な人材は海外で多額を調達したビッグスタートアップにどんどん流れていく&lt;/strong&gt;ことになります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それだけではなく、顧客となる大企業の目線もグローバルを向くことになるでしょう。スタートアップの優劣や勝敗は、サービスの継続性にも直結するからです。小さなスタートアップにどれだけ優れた技術があろうと、その差がわずかであれば、規模による安心感のほうが企業社内の稟議の好材料となりやすいはずです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もちろん、商習慣や言語などの障壁もあるかと思いますが、LLMの発達等で可能になりつつあるUIの自動適応なども進んでいけば、従来よりも障壁は下がっていくように思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;実際、LLM に関しては、SaaS とは異なり、日本のサービスを使うというよりも、海外の企業のサービスを直接的に使うケースが増えてきているのでは、と思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/1-trillion-dollar-startup/20260112143801.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h5 id=&quot;3-日本の企業資金による海外スタートアップへの投資が進む&quot;&gt;(3) 日本の企業・資金による海外スタートアップへの投資が進む&lt;/h5&gt;
&lt;p&gt;さらに、海外スタートアップへ投資しやすい環境が加速する可能性もあるように思います。たとえば以下のような要因によるものです。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;投資機会（と資金）が米国に偏在してきている&lt;/strong&gt; - US企業へのVC投資額は、2024年には全世界の56%だったものが、2025年には64%まで上がった、と &lt;a href=&quot;https://news.crunchbase.com/venture/funding-data-third-largest-year-2025/&quot;&gt;Crunchbase は報告&lt;/a&gt;しています。2019年から2023年まではUSが占める割合は47%前後だったところから大幅に上がっています。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;LPとなる日本企業の売上の海外比率が上がっている&lt;/strong&gt; - 現在、日本の大企業の多くは売上の約半分が海外売上になっているところも多く、これに伴い、海外子会社側に外貨資金が滞留しやすくなり、外貨建てでのスタートアップ投資やLP出資のコミットがしやすいという面があります（ただし必ずそうというわけではありません）。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;企業側からは日本のスタートアップやVCにこだわる必要はない&lt;/strong&gt; - 特にディープテック領域では、大企業は非日本のスタートアップに対してよく投資を行っています。これは世界中のスタートアップをフラットに並べたときに、日本のスタートアップは少ない＆小さすぎて投資の対象に入ってこないから、ということも言われます。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;日本のVC全体のパフォーマンスとUSのパフォーマンスの違い&lt;/strong&gt; - USでも「ファンドサイズが大きすぎる」という議論はありますが、AI/宇宙などの領域で超大型の勝ち筋が見えやすくなっており、結果としてVCという器が正当化されやすい（資金が集まり、さらに案件も集まる）状況にあります。&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;こうした話は直近の Repeat Rhyme 『&lt;a href=&quot;https://www.youtube.com/watch?v=uX6zGpZz_Xk&quot;&gt;2026年のVC・スタートアップ業界のトレンド予想、2024年の予想の振り返り #182&lt;/a&gt;』でも話されていましたが、まさにこうした変化をどう日本として受け止めていくのかを考えていかなければならないのだろうと思います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;地域ごとの産業タイムマシン経営が難しくなってきている&quot;&gt;⏰「地域ごとの産業」「タイムマシン経営」が難しくなってきている&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/1-trillion-dollar-startup/20260112143417.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;過去においては、1つの各発明に対して、各国で各産業が生まれてくる時間的な余裕がありました。たとえば、先進国各国に代表的な自動車会社がそれぞれ存在しています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ITの時代になって、いわゆるタイムマシン経営ができたのも、「時差」や「参入障壁」があったからです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;しかし人・もの・金・情報がグローバルでより緊密につながった世界では、1つの国で生まれた発明は短い時間で世界に広がります。その結果、1つの場所に資源が集まりやすくなっていて、タイムマシン経営が可能な時差が短くなり、資本も先行する国に集約するので、やりづらくなっていくのだろうと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえばOpenAIをはじめとしたAIのフロンティアモデルを作っている企業は、米国と中国以外からほぼ出ていません（フランスのMistralもいますが、事業的にはやや遅れてしまっているように見えます）。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;また参入障壁となっていた言語や規制などについても、今後AI等によってその障壁は徐々に下がってくる可能性もあります。（開発コストが下がれば各国の規制対応もやりやすくなるため）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;これは以下のような構造的な問題です。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;技術やプラットフォームは複利で進む（先行者がより先行する）&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;人材は集積に集まる（強いチームがさらに強いチームを呼ぶ）&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;資本は勝ち組に集中する（勝ち組のいる場所にさらに資本が集まる）&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;つまり問題は単に「遅れること」ではなく、世界規模に見たときに「遅れが固定化されること」であり、特定の産業で見たときには国単位のパワーローが働きやすくなっているのでは、ということです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;よって、その差が固定化される前にどういう動きをするかが大事になってくるということであり、機会の窓が閉じる前に、どのように勝ち筋を設計するかが大事だということです。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;-why-japan&quot;&gt;🗾 Why Japan?&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;富は移動しやすく、偏って存在する傾向にあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それは主に国内の話で語られていましたが、昨今はグローバルで見てもそうなってきているように思います。世界規模でのWinner Takes Allです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;昔は国ごとに独占禁止法などの歯止めがありましたが、それは主に国内での健全な競争を促すためのものでした。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;現在は国家間の軋轢が複数生まれており、自国での企業の独占を過剰に禁止すると他国との競争に負ける、という危機感も生まれつつあります。そうすると、国内外ともに独占に対する歯止めがやや効きづらい状況にもあるように思いますし、むしろ国内で独占企業が生まれても、その事業が諸外国にうまく刺さるようであれば国として支援していく、ということもありえます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（ただし&lt;a href=&quot;https://ecodb.net/exec/trans_country.php?d=NGDPD&amp;amp;c1=JP&amp;amp;c2=US&amp;amp;c3=CN&quot;&gt;中国のアメリカへの急速な追い上げ&lt;/a&gt;がいったん緩まり、名目GDP比での米中の比は、2021年の78%ぐらいをピークに、2022年以降は下がって、2024年は65%程度になっているので、また異なる状況になるかもしれませんが…。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;これまでスタートアップに対してWhy Japanが問われることは多く、またVCに対してWhy Japanが問われることも多いところでした。それに加えて最近は、日本のLPが投資先をグローバルにフラット化していく中で、&lt;strong&gt;日本全体に対する「Why Japan」&lt;/strong&gt;が改めて問われている、ということでもあるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（もちろん、リスクヘッジのために日本やアジアに一部を配分することは続くと思いますが…。それはあまり積極的な理由ではありません。）&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;成長産業があるから日本という答え&quot;&gt;「成長産業があるから日本」という答え&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/1-trillion-dollar-startup/20260112150107.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;実際、日本企業も含めた多くの企業が「人口等を考えると日本は成長しづらい」と見做しており、日本に投資対象もないため、海外で稼いだお金が日本円として戻ってきていない、ということは最近しばしば指摘されていることです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;これもまた「Why Japan」にうまく答えられていないが故に起こっていることです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;トランプ大統領の関税関連でも、日本はアメリカに80兆円の官民の投資をすることになりましたが、その投資の結果、仮に日本企業がアメリカで儲かったとしても、そのお金はアメリカの中でぐるぐると投資に使われることになるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それは円安圧力となり、輸入に頼る日本は厳しい状況に置かれ、さらに成長の可能性が削がれていきます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうした悪循環から抜け出すためにも、日本には成長産業や成長する企業が必要です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それが海外からの投資を呼び込み、そうした投資によって成果を上げ、成果を賃金に回して実質賃金を上げて、より多くの人たちが豊かになり、消費も盛んになって内需も増えて投資も増えていく、そうした富の循環が起こるような社会にしていく必要があるだろうと思っています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;だからこそ、&lt;strong&gt;日本にいる私たちもまた「100兆円スタートアップを作るには？」といった思考や構想をもっと多くの人がしていかなければならないのでは&lt;/strong&gt;、と思っています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;100兆円とはどのような規模か&quot;&gt;💯100兆円とはどのような規模か&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/1-trillion-dollar-startup/20260112145944.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;時価総額100兆円はどれぐらいの規模でしょうか。日本の&lt;a href=&quot;https://www.nikkei.com/marketdata/ranking-jp/market-cap-high/&quot;&gt;時価総額トップ&lt;/a&gt;はトヨタで現在50兆円近くということは先に述べました。金融系を抜けば、トヨタ＋ソニー＋日立で100兆円です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;車業界で言えば、Teslaはすでに1社で100兆円を超えていますが、続く企業としてはトヨタ、BYD、GM、ベンツを合わせてようやく100兆円となっています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;100兆円の時価総額というのは、利益で言えばPERが50倍なら利益は2兆円、PERが25倍なら利益を4兆円を出すような、そんな規模となります。そのための顧客数や顧客単価、粗利率などを考えていくと、かなり難しいことは分かります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「時価総額＝社会的インパクト」ではありませんが、一方で、資本を集め、雇用を生み、サプライチェーンや標準を動かし、産業構造を変える力は、やはり時価総額（あるいはそれに相当する市場の期待）と強く結びつきます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;企業の規模感は、時価総額が1桁上がるごとに、&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;1000億円 - 国内社会や既存企業のかなり大きな課題を解決する&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;1兆円 - 世界の大きな課題を解決する&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;10兆円 - 国内規模の産業やインフラを作る&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;100 兆円 - 世界規模・人類文明のインフラを作る&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;といったような印象があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;10兆円以上を達成するには、「複利が効くような（べき乗則が働くような）ビジネス」であり、「既存の社会の基盤を大きく揺るがすような何か」が必要なのだろうなと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;最近だとAIやLongevity、過去には電気や車のように、&lt;strong&gt;人類を脅かすような議論を呼ぶような面もあるけれど、世界を大きく良くするような、そんな発想の実現&lt;/strong&gt;が必要な領域なのでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;いわば、私たちが目指すべきなのは、月を越えて火星、あるいは木星なのかもしれません。それは月へと向かうムーンショットを越えて、SpaceXが狙う&lt;strong&gt;マーズショットや、その先のジュピターショット&lt;/strong&gt;を狙わなければ達成できない、ということです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/1-trillion-dollar-startup/20260112123232.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（ただし、これを進めると容易に駄目な加速主義的な結論になりやすいとも思っており、その点には注意が必要だと思っています。）&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;100兆円企業による国への貢献&quot;&gt;100兆円企業による国への貢献&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/1-trillion-dollar-startup/20260112150021.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;こうした規模の企業を生み出すことは、国の次なる産業の土台となります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それだけではなく、前述の通り、日本に投資を呼び込むきっかけにもなり、それが賃金にもつながっていくのではと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;投資収益自体は海外でも得られるますが、国内に残るものは少ないですし、資本家が大きく得をする構造になるため、裨益の幅を日本社会全体に拡げていくためには、やはり国内でどう作っていくかを考えていかなければなりません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;こうした規模の企業や産業は、国の安全保障にも貢献します。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえば中国の台湾侵攻の抑制が、TSMC等によるシリコンシールドという一定の効果があるという説もあるように（TSMCの時価総額は250兆円程度）、日本ならではの技術的・事業的な不可欠性を持つ企業をいかに大きな規模で作っていけるかは、経済安全保障や伝統的安全保障（防衛）という観点でも重要なように思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;EU諸国は陸続きであり、諸国が協力するインセンティブがあるように思いますが、日本は島国であるがゆえに、そうした協力のインセンティブはそこまで高くないからこそ、アメリカやその他の国に必要とされる日本をどう作っていけるかは、経済活動にも大いに依拠します。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/1-trillion-dollar-startup/20260112143831.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;a16zが作った&lt;a href=&quot;https://a16z.com/why-did-we-raise-15b/&quot;&gt;2.3兆円のファンドの記事&lt;/a&gt;の中で『&lt;strong&gt;我々の使命は、アメリカが今後100年にわたる技術競争で勝利することを保証すること&lt;/strong&gt;』と述べています。いわば技術覇権の争いに、スタートアップ側から参入し、貢献するという意思表明でしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それだけの覚悟があって、大きな期待が集まり、大きな資源が集まるのだとしたら、日本のスタートアップエコシステムもそうした覚悟を持てるかどうか、というのが問われているようにも思います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;問いを持たなければ答えは出ない&quot;&gt;❓問いを持たなければ、答え❗は出ない&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;個人的に、2年前に書いた&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/startup-ecosystem-beginning-of-the-end/&quot;&gt;「終わりの始まり」の記事&lt;/a&gt;のときよりも、危機感は高まっています。あの記事は主に国内の話に止まっていましたが、今は日本という国の国際的な立ち位置が揺れるなかで、新しい規模の事業を作っていかなければならない、そんな状況だからです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もちろん、&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/labor-supply-startups/&quot;&gt;供給力の記事&lt;/a&gt;でも解説したように、日本社会の維持を効率化していくようなスタートアップも大事です。気候変動等の&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/make-something/&quot;&gt;世界規模の課題&lt;/a&gt;を解決することで、大きなスタートアップを生んでいけるとも信じています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;一方で、日本社会を豊かにしていくためにも、次世代の新産業を作っていくスタートアップも重要だと思っています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その新産業を作るというときの規模は、おそらく1兆円ではなく、10兆円、100兆円を目指していかなければならないのでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/over-the-disillusionment/&quot;&gt;スタートアップの幻滅期を越えていけ&lt;/a&gt;』という記事では、大きな構想を作っていくことの重要性を述べましたが、まさに今、「いかにユニコーン企業を作るか」「いかにデカコーン企業を作るか」を超えて、「どうやって100兆円企業を作るか」を考えていかないと、日本がグローバル市場での一定の立ち位置を確保できないのではないか、という危機感があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もちろん、実現は難しいでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;しかし、&lt;strong&gt;問いを持たなければ、答えは出てきません&lt;/strong&gt;。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ただしこれは、アメリカにとっても挑戦のはずです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それはある意味で、「終わりの始まり」どころか、新しいレースの始まりの号砲とすら言えます。その号砲に応じて走り始めるか、それとも別のレースを走るのかを決めなければなりません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もちろん参加しない選択肢もありますが、グローバルで市場がつながり続ける以上、何かしらのスタンスを取るべきなのだろうと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その1つがレースに何らかの形で参加するということです。だからこそ、&lt;strong&gt;私たちは「100兆円スタートアップを作るには？」という問いをもっと持って行くべきなのではないか&lt;/strong&gt;と思います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;事例が出てきたから考えられるはず&quot;&gt;事例が出てきたから考えられるはず&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/1-trillion-dollar-startup/20260112150128.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;希望はあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;OpenAIなどがその規模を10年で実現した、という事実です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;仮にOpenAI の評価額自体がAIバブルの産物であったとしても、SpaceXはその規模を達成しています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;スポーツやキャリアなど、かつては「&lt;strong&gt;乗り越えることが不可能だと思われていた壁&lt;/strong&gt;」も、一度誰かが乗り越えると、続々とその壁を乗り越えていく人たちがいるものです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;私たちも原理的に不可能というわけではありません。私たちもその発想ができるようになるはずです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;だからこそ、「100兆円スタートアップを作るには？」という問いの回数を日本全体でどのように増やしていくのか、それがまずは第一歩目の試練のように思います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;仮説の例人類課題の-focused-research-organization&quot;&gt;仮説の例）人類課題の Focused Research Organization&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/1-trillion-dollar-startup/20260112143513.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;問題提起だけでは不十分だと思うので、私も1つの仮説を提示しておきます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;まず真っ向から勝負したら、大きな資本の前で太刀打ちできないので、同じ土俵で戦うのはなるべく割けて、戦略的に取り組んでいく必要があるでしょう。できることなら、アメリカや中国が目をつけていないところに対して先行的に投資できていることが望ましいと考えます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;やはり100兆円となると、かなり根本的な変革をもたらすものが必要となります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そのときに必要なのは、&lt;strong&gt;根本的な変化を起こしうる研究課題&lt;/strong&gt;に取り組むことなのではないかと思っています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;実際、現在話題となっているOpenAI は、2015年に非営利の研究機関として設立されました。それが今や100兆円を超える企業となっています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/1-trillion-dollar-startup/20260112150206.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;気をつけなければならないのは、足下は確かに「研究から始まる」のですが、「&lt;strong&gt;世界を変えるようなテーマ設定&lt;/strong&gt;」から始まっているのだろうと思います。人類社会を大きくひっくり返すような、OpenAI にとってのAGIのような、SpaceXにとっての火星への移住のような、そんな研究が大事なのではないか、というのが今のところの仮説です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そのために、&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/fro-introduction/&quot;&gt;Focused Research Organizationのような仕組み&lt;/a&gt;（どちらかというとNSFのTech Labs Initiativeに近い性格のもの）を使い、大きな変革を起こしうるテーマを設定して、FROを10個作り、10個に1個が大きく当たればいい――という賭けです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;振り返ってみればOpenAIなどもFROのようなものから始まりました。そうした挑戦が必要なのだろうと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;最近話題のヒューマノイドに賭けるなどでは遅く、2015年におけるAGIのような、兆しは見えているが早いと思われているような領域を選ぶ必要があるのだろうと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえば、バイオものづくりのOSかもしれませんし、出産や子育ての在り方を変えて社会を変えるような人工子宮かもしれません。そうした大きく人類の生活を変えるような領域の研究を特定の目標を持って推進することが、一案ではないかと考えています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;まとめ&quot;&gt;まとめ&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;次世代の産業というときに、どういった規模で物事を考えていかなければならないのかを改めて考えてみました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もちろん、まずはスタートアップ投資のリターンを返すというところも考える必要はありますし、今現在、スタートアップに挑戦中の人たちもいるので、すべての人たちがそうであるべきだとは思いません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ただ少数でも、こうした規模感で何かを企てていくような、そんな人たちが必要なのだろうと思っています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/tags/opinion/&quot;&gt;これまでの私個人の問題意識&lt;/a&gt;も引き続き持ちつつ、私自身も「&lt;strong&gt;日本から、私たちの世代から、100兆円スタートアップを作るには？&lt;/strong&gt;」という問いをもっと持ち、多くの人とその問いを交わして、仮説を作っていければと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/1-trillion-dollar-startup/20260112150143.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;</content:encoded><dc:creator>馬田 隆明</dc:creator><category>スタートアップエコシステム</category><category>オピニオン</category></item><item><title>フルスタック・ディープテック・スタートアップという戦略</title><link>https://takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/</link><guid isPermaLink="true">https://takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/</guid><description>2014 年に Chris Dixon が提唱した『フルスタック・スタートアップ』という概念について、以前から翻訳したり、記事を書いたりしていました。 このフルスタック・スタートアップにディープテックを組み合わせたものが、『フルスタック・デ…</description><pubDate>Sun, 11 Jan 2026 07:37:33 GMT</pubDate><content:encoded>&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111151547.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;a href=&quot;https://cdixon.org/2014/03/15/full-stack-startups&quot;&gt;2014 年に Chris Dixon が提唱&lt;/a&gt;した『フルスタック・スタートアップ』という概念について、以前から&lt;a href=&quot;https://review.foundx.jp/search?q=%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%83%E3%82%AF&quot;&gt;翻訳したり&lt;/a&gt;、&lt;a href=&quot;https://blog.takaumada.com/search?q=%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%83%E3%82%AF&quot;&gt;記事を書いたり&lt;/a&gt;していました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;このフルスタック・スタートアップにディープテックを組み合わせたものが、『&lt;strong&gt;フルスタック・ディープテック・スタートアップ&lt;/strong&gt;』です。アメリカのVCである &lt;a href=&quot;https://medium.com/cantos-ventures/full-stack-deep-tech-c6a5c5aa5974&quot;&gt;Cantos Ventures の Ian Rountree&lt;/a&gt;が提唱しています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;フルスタック・ディープテック・スタートアップの特徴は、&lt;/p&gt;
&lt;blockquote&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;「画期的な技術」&lt;/strong&gt;を販売するのではなく、&lt;strong&gt;「最終製品」&lt;/strong&gt;を提供すること&lt;/p&gt;
&lt;/blockquote&gt;
&lt;p&gt;です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;宇宙領域で言えば、「高度なロケットエンジンを売る」という事業をするのではなく、ロケットを売る（あるいはそのサービスを売る）のがフルスタック・ディープテック・スタートアップです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111162940.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そして、私自身も、&lt;strong&gt;ディープテック・スタートアップだからこそ、フルスタック志向のほうが良いのでは&lt;/strong&gt;、と感じることが多々あります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ではなぜディープテックはフルスタックのほうが適しているのか――Ian が出演した&lt;a href=&quot;https://www.latitudemedia.com/news/catalyst-the-vc-case-for-full-stack-deeptech/&quot;&gt;年始の Energy Impact Partners の Podcast&lt;/a&gt; を聞いて、改めてその考え方を日本でも広く知っておいてほしいと改めて感じたので、記事にもまとめておきます。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;簡単な要約&quot;&gt;簡単な要約&lt;/h2&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;フルスタック化は、スタートアップが各種の摩擦（統合・運用・販売・責任）を自社で吸収し、学習速度と実装速度を上げる戦略です。結果として、TAM拡大や参入障壁にもつながります。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;ただし、事業範囲が広がるため、CAPEX・規制・オペレーションのリスクを抱えるため、向き不向きの見極めと、事業構想がとても大事になります。&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;h2 id=&quot;課題なぜディープテックスタートアップはシリーズaで止まるのか&quot;&gt;課題：なぜディープテックスタートアップはシリーズAで止まるのか&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;ディープテック・スタートアップは、主に大学の研究等の「Technology Readiness Level は低いが、大きな可能性のある技術」を中心に商用化することで、事業としての急成長を目指す、起業の一形態と見做されています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その範囲は、宇宙、素材、創薬、電子機器、など様々な領域にまたがります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;共通しているのは、技術自体が事業のコアコンピタンスになる、ということです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そのため、従来のディープテック・スタートアップのアプローチは、「画期的な技術を既存企業に売る」ことでした。&lt;/p&gt;
&lt;h4 id=&quot;技術は歯車でしかない&quot;&gt;技術は「歯車」でしかない&lt;/h4&gt;
&lt;p&gt;しかし『&lt;a href=&quot;https://speakerdeck.com/tumada/ji-shu-toshi-ye-wo-sisutemu-to-reiyagou-zao-deli-jie-suru&quot;&gt;レイヤー構造&lt;/a&gt;』のスライドで解説したとおり、技術は製品というシステムの一部でしかありません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111134533.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;別の言い方をすれば、&lt;strong&gt;技術は製品がうまく機能するための『歯車』の1つ&lt;/strong&gt;です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そして製品は工場での生産等の歯車の1つであり、さらに製品は会社の利益創出活動の歯車の1つといえます。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;1つの歯車のために全体を置き換えるか&quot;&gt;1つの「歯車」のために全体を置き換えるか？&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111162926.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;歯車は他の歯車とうまく組み合わさることで、その機能を十全に発揮します。しかし噛み合わせが悪いとなめらかに機能しません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;事業全体のパフォーマンスを上げるということは、この歯車が連続的にかみ合うこと、いわゆるワークフローが流れていることが大事だということです。そのため、1つの歯車がどれだけ優秀だろうと、その歯車を採用するために、他の全てを変えようという判断にはなかなか至らないでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その結果、&lt;/p&gt;
&lt;blockquote&gt;
&lt;p&gt;「1つの歯車がどれだけ優秀でも、その歯車の採用のために他の歯車を全部入れ替える判断はしにくい」&lt;/p&gt;
&lt;/blockquote&gt;
&lt;p&gt;という意志決定が起こりやすくなります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;例）高速な名刺のスキャン&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;身近な具体例を考えてみるとより分かりやすくなります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえば私たちの普段のワークフローにおいて、「AIで名刺スキャンが5倍の速さになります」と言われたところで、名刺管理CRMの入れ替えはあまり考えないはずです。名刺のスキャンというのは、全体のワークフローのほんの一部でしかないからです。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;技術売りで生まれやすい課題とリスク&quot;&gt;「技術売り」で生まれやすい課題とリスク&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111163132.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;従来型の「技術を部品として売る」モデルでは、次の摩擦が起きがちです。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;統合摩擦&lt;/strong&gt;：既存ワークフローに合わせるための調整・カスタマイズが膨らむ&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;意思決定摩擦&lt;/strong&gt;：顧客社内の力学（稟議・調達・情報システム・現場・法務・監査）で結論が出るのが遅い&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;運用摩擦&lt;/strong&gt;：導入後の運用負荷（教育、保守、監視、監査対応）が増えやすい&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;調達摩擦&lt;/strong&gt;：部分最適のROIだと予算科目に乗りにくい／「今ある仕組みで十分」とされる&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;実証から商用への断絶&lt;/strong&gt;：PoCは通るが、本番運用の要件（品質・供給・安全・規制）で止まる&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;さらに困難を生むのは、こうした摩擦が事後に分かることによって、技術に求められるスペックや要求がどんどんと変わっていき、技術開発の方向性すらも変わっていく可能性があることです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;技術開発にどれだけリソースを注いでいたとしても、スペックが変われば、それまでの開発自体が無駄になることも多くあります。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;技術開発の進捗という偽の進捗&quot;&gt;「技術開発の進捗」という「偽の進捗」&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;ディープテックでこの難しさが露呈するのがシリーズAやその後のように思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;技術自体の開発が進捗していることが事業の最初期には「評価」されます。一部の投資家から初期の資金調達まではできるでしょう。この結果、「この方向で良いんだ」とチームは思ってしまい、技術開発を進めてしまいます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;しかしいざ技術がある程度の性能になったあと、実際に顧客の現場に適用しようとすると、上記のような摩擦が生まれてきます。そうして技術開発の方向性がどんどんと変わり、余った資金で追加の技術開発をしていくことになります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そしてシリーズAあたりにさしかかると、投資家の評価軸は「技術進捗」ではなく「売上」や「規模の可能性」などに変わってきます。しかしその準備ができていないチームは、往々にして残った資金で投資家の期待にマッチする十分な事業進捗（技術進捗ではなく）を出すことが難しくなっており、補助金でなんとか技術開発を進めていく道を選ばざるを得なくなる……ということが容易に起こります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうした評価される進捗の質的な変化を予見できていないことや、直近の投資家からの「技術進捗だけ」による高い評価によって、本来必要とされる活動に対して資源を割り当てられない、ということが起こりやすくなります。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;フルスタックディープテックスタートアップによる課題解決&quot;&gt;フルスタック・ディープテック・スタートアップによる課題解決&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;そこでフルスタック・ディープテック・スタートアップ (Full-stack Deep Tech Startup: FDTS) です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;フルスタック・ディープテック・スタートアップは、これらの「技術売り」で発生しやすい摩擦を自社で吸収し、バリューチェーンを伸ばして、&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;従来：部品売り&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;FDTS：製品売り&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;へと変えることです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111163001.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もう少し抽象化して話すと、摩擦はどこでも生まれるものの、従来起こっていた外部との激しい摩擦の部分は自社に内包し、外部との摩擦の少ないところまでバリューチェーンを伸ばすことで、相対的に摩擦を少なくする、ということなのかなと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それがコモディティであれば、そのコモディティ製品を提供することなので、部品売りではなく製品売りとなります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ただし、場合によってはモジュールを提供することだったり、あるいは製品以上のサービスを提供することだったりするかもしれません。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;フルスタックディープテックスタートアップのメリット&quot;&gt;フルスタック・ディープテック・スタートアップのメリット&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;フルスタック・ディープテック・スタートアップのアプローチを取ることには、以下のようなメリットがあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111140626.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;1-自社でコントロールできる範囲が増え学習と実装が速くなる&quot;&gt;(1) 自社でコントロールできる範囲が増え、学習と実装が速くなる&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;まず自社でコントロールできる範囲が増えることです。外部（既存企業の都合）に律速される範囲が減り、試行錯誤のループが回ります。スタートアップにとっての「スピード」は、単なる開発速度ではなく学習速度であるはずです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;スタートアップにはスピードが命だと言われます。『&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/limitation-of-lean-startup/&quot;&gt;リーンスタートアップの限界&lt;/a&gt;』や『&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/demand-side-first-penguin/&quot;&gt;需要家のファーストペンギン&lt;/a&gt;』などの記事で、「顧客がビジネスの方向性を左右する」と書きましたが、自社の速度が外部によってどのように制約されないようにするかを考えるとき、フルスタックは1つの手法となります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もちろん、その制約をトップ営業などでクリアできるなら、その限りではありません。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;2-市場tamを大きく取りに行ける&quot;&gt;(2) 市場（TAM）を大きく取りに行ける&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;技術という部品を売るのは、その技術に相当な独占性がない限り、基本的にはスマイルカーブの中流に当たります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;一方バリューチェーンを伸ばしていくことで、収益性の高いところもカバーできるようになり、さらに大きなTAMにアプローチすることができます。また最終的に技術やオペレーションを磨いていけば、利益の幅も大きくなっていきます。顧客を掴むことで、さらなる製品開発も可能となるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;SpaceXはロケットエンジンを売るのではなく、ロケットを作り、衛星打ち上げサービスというインフラを売ったからこそ、宇宙産業が生まれ、Starlinkなどの新しい自社サービスを生み出すことができました。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;3-参入障壁を築ける&quot;&gt;(3) 参入障壁を築ける&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;フルスタックはデメリットも大きい（CAPEXや組織の複雑性）ですが、裏返すと、その高い山を乗り越えられれば他社に模倣されづらくなるということです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえばTeslaなどの模倣はなかなか難しいものです。そのため、勝ちきってしまえば利益率が高まる可能性も高くなります。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;なぜ今フルスタックディープテックスタートアップなのか&quot;&gt;なぜ今、フルスタック・ディープテック・スタートアップなのか&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;スタートアップがそうであるように、こうした概念には「なぜ今か」についての仮説が必要です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111163027.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;1-ソフトウェアによる再構築の機会&quot;&gt;(1) ソフトウェアによる再構築の機会&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;既存企業ではない形でソフトウェアが多くで使われるようになってきており、接続性が高まりつつあります。蒸気機関で動く工場から電気で動く工場への転換の際に必要だったのは、動力の技術的な転換そのものではなく、電気モーターによって生産レイアウトが変わったことであったように、工場の設計思想（生産アーキテクチャ）を変える点にあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;逆に従来型の工場は、既存の設備があり、さらに投資もしてしまっているため、新しい電気という技術への乗り換えが遅れたという指摘もあります。（最近だと Duke の &lt;a href=&quot;https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0014498325000014&quot;&gt;Damron (2025)&lt;/a&gt; など）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;従来型の決定論的なソフトウェアによる確実性と、近年の確率的なソフトウェア（AI）による柔軟性の発展をうまく組み合わせることで、機械が agentic に動ける範囲と適用可能性が増えている、という風にも言えます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ある意味で、今なら&lt;strong&gt;「Software-native」な「Full-stack Deep Tech スタートアップ」を作れること&lt;/strong&gt;が、Why now の1つの理由です。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;2-資金の獲得のしやすさ&quot;&gt;(2) 資金の獲得のしやすさ&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;10年前よりも、スタートアップが大きな資本を獲得できる環境が広がっています。フルスタックは初期に資本が要るので、この構造変化は重要です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（おそらく10年前には歯牙にもかからないアイデアだったでしょう）&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;3-需要の変化脱炭素地政学など&quot;&gt;(3) 需要の変化（脱炭素、地政学など）&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;グリーンな製品への需要や、政治的リスクによるサプライチェーンの再編の需要など、従来の需要と異なる需要が立ち上がりつつあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この波は一過性ではなく、産業構造の再構築に接続し得るため、フルスタック型の「作って供給する」プレイヤーが価値を取りやすい局面が増えています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;フルスタックディープテックスタートアップの例&quot;&gt;フルスタック・ディープテック・スタートアップの例&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;では実際にこうしたスタートアップがいるのか、ということを振り返ってみます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;古いところでは以下のようなスタートアップが、このカテゴリに入るのではと思います。&lt;/p&gt;
&lt;table&gt;&lt;tbody&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;会社&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;普通&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;フルスタック&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;SpaceX&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;ロケットエンジンを売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;宇宙サービスを行う&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;Tesla&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;バッテリーをGMに売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;EVを売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/tbody&gt;&lt;/table&gt;
&lt;p&gt;最近だと以下のようなスタートアップがあるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;table&gt;&lt;tbody&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;会社&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;普通&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;フルスタック&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;Anduril&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;防衛産業にSaaSを売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;防衛製品を売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;Solugen&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;バイオものづくり技術を売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;化学製品を売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;Hadrian&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;製造業向けSaaSを売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;アルミ部品を売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/tbody&gt;&lt;/table&gt;
&lt;p&gt;ディープテックではありませんが、ソフトウェア領域でも同様です。&lt;/p&gt;
&lt;table&gt;&lt;tbody&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;会社&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;普通&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;フルスタック&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;Flexport&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;物流業者向けソフトウェアを売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;輸送サービスを売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;Uber&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;タクシー会社向けSaaSを売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;タクシーサービスを売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/tbody&gt;&lt;/table&gt;
&lt;h2 id=&quot;デメリット&quot;&gt;デメリット&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;フルスタックは万能ではありません。主なデメリットは次です。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;初期に大きな資本が必要（CAPEX）&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;技術リスクに加えて、オペレーション／品質／供給／規制のリスクを内包する&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;サービスに寄せるほどスケーラビリティが落ちる場合がある（ラストワンマイルで人が介在する等）&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;しかしそうしたデメリットを超えてスピードが出せる、というのが、フルスタックのメリットです。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;フルスタックが合わない事業&quot;&gt;フルスタックが合わない事業&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;ただし、すべてのディープテックスタートアップがフルスタックに合っているかというと、おそらくそんなことはありません。たとえば以下のような事業はフルスタック・ディープテック・スタートアップでなくても良いかもしれません。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;現在の創薬は別で、技術だけで大きなビジネスが成立しやすいため、チャネル等も含めたフルスタックのリスクを取る必要はないでしょう。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;統合の摩擦が発生しない、技術単体がそのまま刺さるような技術もフルスタックを志向しなくても良いでしょう。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/trl-and-arl/&quot;&gt;TRL/MRL/ARL&lt;/a&gt;が極めて低いと、技術の科学的検証が律速になるので、資金を投入してもどうしようもない可能性があります。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;もし最終製品の中でとても重要な部素材であり、既存の10倍ぐらい良い性能があれば、部素材でも欲しいという人はいるため、部素材売りでも通用するでしょう。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;最終製品にブランド価値などの感覚的な価値が高いものも同じく難しいかもしれません。ただし、テスラのように、最終製品に対してブランドを作ることができれば、超過利潤を得ることができるというメリットもあります。&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;h2 id=&quot;フルスタックが合う事業&quot;&gt;フルスタックが合う事業&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111163416.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;一方、フルスタックが合う事業もあるように思います。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;1需要リスクが小さい製品&quot;&gt;(1)需要リスクが小さい製品&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;1つめは&lt;strong&gt;需要リスクが小さい製品&lt;/strong&gt;です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;作ることができれば顧客は買ってくれて、しかも大きな市場が待っている、という状態であれば、需要リスクは小さくなります。（&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/risk-and-approach/&quot;&gt;需要リスクと供給リスクの記事も参照してください&lt;/a&gt;）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;あとは技術開発やオペレーションで、供給リスクを下げながら、コストを下げることを実現できれば良くなります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえばエネルギーや化学製品のコモディティは、どういう作り方であろうと、最終製品の機能は同じです。安ければ買われます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;フルスタックは供給側のリスクを取ることになるため、需要リスクの低い製品群であれば、リスクのバランスを取りやすいでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;2-システム最適化学習曲線が競争力になる&quot;&gt;(2) システム最適化・学習曲線が競争力になる&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;ハード×ソフト×運用が密結合で、レイヤー間の結合が強いような場合、つまり単体の技術だけでは価値が出ない場合の事業もフルスタック向けだと言えます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;また学習曲線が効く領域も多いでしょう。運用データなどのフィードバックによるプロダクト改良、あるいは製造量によるコスト低減などです。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;3-実証が難しい事業&quot;&gt;(3) 実証が難しい事業&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;フルスタックを志向することの良い点は、資本（と許認可）さえあれば、&lt;strong&gt;実証までの期間を一気に短くできる&lt;/strong&gt;ことです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;あまり重要ではない部素材であったり、重要だったとしても数十パーセントの向上などであれば、おそらく顧客はその部素材のためにすべてを作り替えるという判断はせず、その説得に数年かかってしまいます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そこで規模は小さくても良いので、いったんフルスタックで作り上げて、規模拡大とともに自社の担当するバリューチェーンを短くしていく、という手があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;実際、いくつかのスタートアップはそうしたアプローチを作っています。まずは自社でフルスタックで実証して、そのあとに自分たちの利益の高い領域だけにバリュチェーンを縮めて、他の付加価値活動をパートナーに移管していく、という手です。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;4-マルチプロダクトを出せる事業&quot;&gt;(4) マルチプロダクトを出せる事業&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;フルスタックが実現できたときには、マルチプロダクト化していく傾向にあります。顧客側との接点も多く、資本も大きいため、マルチプロダクト化はしやすいし、そうしたほうが売上も上がるためです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;多くを自社で内製しているため、組織設計さえうまくいっていれば、スピードと柔軟性を担保できて、競争力も確保できます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;事業領域としては、&lt;a href=&quot;https://review.foundx.jp/entry/full-stack-startups-in-american-dynamism&quot;&gt;a16zの記事&lt;/a&gt;では以下のような領域に可能性があるのではないかと言われています。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;建設&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;教育&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;貨物輸送&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;半導体製造&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;公共事業&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;これ以外にも色々とあると思いますが、参考まで挙げてきます。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;アウトプットを超えてアウトカムへ&quot;&gt;アウトプットを超えてアウトカムへ&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111163045.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;Cantosの提唱するフルスタック・ディープテック・スタートアップは「最終製品」というアウトプットでした。しかしそれを越えてアウトカムに近づけば近づくほど、より収益は上がりやすくなります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえばWaymoも、自動運転のソフトウェアでもなく、「自動運転車」という製品でもなく、人の輸送サービスを行うからこそ、今の評価額になっていると思われます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;実際、SaaSやRobot as a Service (RaaS)、あるいは運転保障サービスなど、製品ではなくSLAつきのサービスとして提供され始めているのは、製品を超えてサービスを提供することで、そこでデータや顧客接点を得て、さらに改善につなげていくことができるからです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;一方で、アウトカムに近いことで、スケーラビリティがきかなくなっていくサービスもあります。たとえばRIZAPなどは「痩せる」「筋肉をつける」というアウトカムを提供しますが、そうであるが故に人が介在する必要があり、ラストワンマイルでスケーラビリティが取りづらい構造になっています。Uberは、最後は人が介在しなければならないところをマッチングで解消していますが、それにも限界があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;また、&lt;strong&gt;サービスに近づけば近づくほどオペレーションやリスクも増大します&lt;/strong&gt;。そのリスクをどうやってソフトウェア等で緩和するか、というのは腕の見せ所ではないかと思います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;フルスタックディープテックスタートアップのhow&quot;&gt;フルスタック・ディープテック・スタートアップのHow&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111163453.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ここからはかなり作業仮説の要素が強くなりますが、現時点で考えているHowの部分をお話します。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;1-構想力&quot;&gt;(1) 構想力&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;このフルスタックの事業は、供給のためのシステム全体を最適化していくことです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;エジソンが電球だけではなく、発電や送電、銅のコストも含めてシステム全体を考えていたように、かなり高い視座を持ちつつも、かなり細かな実験をしていくような、『&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/blueprinting-the-future/&quot;&gt;構想力&lt;/a&gt;』が求められます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ここで重要なのは、技術のロードマップの構想だけではなく、&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;製造／供給／保守&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;調達／契約／責任分界&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;規制／認証&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;価格と利益構造&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;までを含めた全体構想であることは拭きさせてください。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;2ステージゲートなどのプロセス&quot;&gt;(2)ステージゲートなどのプロセス&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;1➡10➡100➡1000など、桁を1つずつ上げていく中でステージゲートを設けていく必要はあるでしょう。Liliumなど最初から多角化すると厳しいですし、Northvolt など大きなものを一気に作ろうとすると失敗する可能性は増します。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;とはいえ、事業の競争環境によっては一部の桁を飛ばして、2桁上に行く、といったリスクを取る場合もあるかもしれませんし、技術によっては、1桁上と2桁上の規模感で異なる技術検証が必要で、その場合は1桁上げるステップを挟むのではなく一気に2桁上げるほうが合理的という場合もあります。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;3スピードの確保&quot;&gt;(3)スピードの確保&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;それぞれのステージゲート間ではシステム全体のすりあわせを一気にしていく必要があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;また、初期は学習が命ですが、売上を立てにいくと品質・納期・運用が支配的になります。この二つを同じラインで回すと破綻しやすいので、組織をどのように運用するか、なども大事になってきます。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;4リソースの確保&quot;&gt;(4)リソースの確保&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;お金や人といった資源を大量に集めながら、その資源を効果的に使っていく手腕が求められます。お金については、エクイティだけではなく、補助金やデット、プロジェクトファイナンスなど、多様なお金の調達方法を知る必要があります。また日本には事業会社からの投資も多く、それらをうまく活用しながら、こうしたモデルを模索する必要があるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;人については、研究者だけではなく、製品開発から運用担当者、法規制担当者まで幅広く揃えながら、事業として統合していく必要があります。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;起業家と投資家の会話&quot;&gt;起業家と投資家の会話&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;ディープテック・スタートアップは&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/what-is-deep-tech-startup-actually/&quot;&gt;技術の商業化ではない&lt;/a&gt;、というのを何度も書いてきました。このフルスタック・ディープテック・スタートアップの概念は、そうした議論にも有用ではないかと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ただし、このフルスタック型は投資家側のリスクが増えるアプローチであることには留意が必要です。資本リスクが上がるし、技術以外のリスクも増えるからです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;しかし一方で、ディープテックスタートアップへの中途半端な資金提供は、むしろ顧客との摩擦を生む事業構造しか作れなくなり、スピードが出せず、そのスタートアップの可能性だけではなく、その元となった技術の可能性をも殺してしまう可能性があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;最初の摩擦がある部分をどのように乗り越えるか、という点においては、最初からある程度大きな資金を投資して、技術以外の部分の垂直統合も検討した方が、投資家と起業家の両者にとってリスクが緩和されうる道筋にもなります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;仮にフルスタックでなくとも、バリューチェーンを伸ばした方が摩擦が少なくなる可能性もあると思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この記事をきっかけに、&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;「初期にどこまでバリューチェーンを伸ばす方が良いか」&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;「気になるリスクを緩和するために何を精緻にすれば良いのか」&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;「そのリスクを受容できるだけの大きな構想を描けるのか」&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;を起業家ー投資家間で議論していけるようになると良いのでは、と思っています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;まとめ&quot;&gt;まとめ&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111163111.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;良い構想を持つスタートアップに対して、より大きなお金をつけて、より大きく精緻な構想を描くように促すことが、日本からフルスタック・ディープテック・スタートアップを生み出していくためには必要です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;特に初期から大きなお金が必要になるため、投資家や補助金担当者の一部が、こうした戦略があるということを認識し、それに賛同する状況を作れなければ、おそらく「リスクが高すぎる」という判断がされ、この戦略を取れるスタートアップはいなくなってしまうでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;逆に言えば、こうした考えや戦略を持つ投資家が増えることで、この戦略を取れるスタートアップは多くなりるということです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この原稿は私の仮説であり、一種の言説です。ただこうした言説に多くの人が触れて、一部の投資家の方々がこの言説に近い信念を持つとき、お金が集まり、起業家の皆さんが実際にこうした挑戦ができるようになる類いの言説ではないかと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうした仲間捜しという意味で、こうした戦略を共有することは意味があるのではないかと思い、書いておきます。&lt;/p&gt;</content:encoded><dc:creator>馬田 隆明</dc:creator><category>ディープテック</category><category>スタートアップエコシステム</category><category>カンパニークリエーション</category></item></channel></rss>