<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?><rss version="2.0" xmlns:content="http://purl.org/rss/1.0/modules/content/" xmlns:atom="http://www.w3.org/2005/Atom" xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"><channel><title>馬田 隆明のブログ（ディープテック）</title><description>馬田隆明のブログの「ディープテック」の記事。</description><link>https://takaumada.com/blog/tags/deep-tech/</link><language>ja</language><atom:link href="https://takaumada.com/blog/tags/deep-tech/rss.xml" rel="self" type="application/rss+xml"/><item><title>研究開発助成のメタサイエンスが重要な理由</title><link>https://takaumada.com/blog/metascience-for-funding/</link><guid isPermaLink="true">https://takaumada.com/blog/metascience-for-funding/</guid><description>日本の研究力をめぐって厳しい話題が続いています。注目度の高い論文（Top10％補正論文数）の順位では、2022〜2024年平均の分数カウントで日本は13位にとどまり、大学教員の研究活動時間の割合も長期的に低下しています。博士課程入学者が3年…</description><pubDate>Sun, 06 Sep 2026 09:56:42 GMT</pubDate><content:encoded>&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/metascience-for-funding/20260906172058.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;日本の研究力をめぐって厳しい話題が続いています。&lt;a href=&quot;https://www.nistep.go.jp/sti_indicator/2026/hyoudata/STI2026_4-1-06.xlsx&quot;&gt;注目度の高い論文（Top10％補正論文数）の順位&lt;/a&gt;では、2022〜2024年平均の分数カウントで日本は13位にとどまり、大学教員の&lt;a href=&quot;https://www.mext.go.jp/content/20250418-mxt_chousei01-000040124.pdf&quot;&gt;研究活動時間の割合&lt;/a&gt;も長期的に低下しています。&lt;a href=&quot;https://www.nistep.go.jp/sti_indicator/2026/NR212_table.html&quot;&gt;博士課程入学者が3年連続で増加する&lt;/a&gt;など明るい変化もありますが、研究環境には引き続き多くの課題が残っています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そして、この種の議論は多くの場合、最終的に「&lt;strong&gt;研究費をいくら増やすか&lt;/strong&gt;」という金額の話に行き着きます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;私も研究費の総額が重要だと思っています。その前提のうえで、本稿で取り扱いたいのは、金額とともに成果を左右するもう一つの要素、&lt;strong&gt;研究費を「どう配るか」という、配り方の設計です。&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;日本では毎年、多くの公的資金が競争的資金や運営費交付金として研究に配分されています。その際、「どういった目的に設定するか」「審査員は何人必要か」「1件あたりいくらを、何年間配るか」「申請はどの程度大変か」といった設計によって、申請や審査の負担も、そして研究者が挑戦できる内容も変わってきます。これまでも&lt;a href=&quot;https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/40_kaikaku/tenken.html&quot;&gt;科研費の審査システム改革とその点検&lt;/a&gt;など、日本でも改善は進められてきましたが、そこからさらに改善していく余地もあるのではないか、というのがこの配り方についての問題意識です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/metascience-for-funding/20260906171550.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;というのも私自身、これまで様々な助成制度に審査員として関わったり、補助金や助成金に申請するスタートアップや研究者を支援したりしてきました。そこで強く感じてきたのは、&lt;strong&gt;配り方や審査の仕組み自体を変えなければ、大きな成果を出す可能性のある研究に十分な資金を届けられず、結果的にイノベーションやスタートアップも起きづらいのではないか&lt;/strong&gt;、ということです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうした問題意識から、これまで&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/random-lottery-funding/&quot;&gt;ランダムファンディング&lt;/a&gt;や&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/innovation-of-grant-choice/&quot;&gt;審査のイノベーション&lt;/a&gt;、&lt;a href=&quot;https://speakerdeck.com/tumada/duo-yang-hua-suruinobesiyonzheng-ce&quot;&gt;多様化するイノベーション政策&lt;/a&gt;などについて記事を書いてきました。そして最近、国内外でこの領域で新しい動きが相次いでいます。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;メタサイエンスへの注目の増加&quot;&gt;メタサイエンスへの注目の増加&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;科学の進め方や、それを支える制度そのものを研究する分野は、&lt;a href=&quot;https://www.macroscience.org/p/the-six-camps-of-metascience&quot;&gt;メタサイエンス（メタ研究）&lt;/a&gt;と呼ばれます。研究資金の配り方もその対象の一つです。以前から蓄積のある研究領域ですが、この数年で、政府や資金配分機関が自ら実験に取り組む動きが広がってきました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえば英国は、政府とUKRIにまたがるMetascience Unitを2024年に設け、審査方式などの実験を進めています。&lt;a href=&quot;https://www.gov.uk/government/publications/a-year-in-metascience-2025/a-year-in-metascience-2025-executive-summary&quot;&gt;2025年の初年度報告&lt;/a&gt;では、審査期間の短縮や審査員間の評価の一致度などを検証しています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;米国の科学技術政策局（OSTP）が2026年に公表した&lt;a href=&quot;https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2026/07/Science-A-New-Golden-Age.pdf&quot;&gt;『Science: A New Golden Age』&lt;/a&gt;は、各連邦科学機関に、助成制度の実験を行うメタサイエンス部門を置くことを提案しています。また、NSFは独立した研究組織を支援する&lt;a href=&quot;https://www.nsf.gov/news/nsf-announces-15b-nsf-x-labs-initiative-pursue-generational&quot;&gt;X-Labs&lt;/a&gt;の事業を発表し、研究開発を担う組織の形も広げようとしています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;日本でも、審査にAIの補助的活用と無作為抽出を取り入れる文部科学省の&lt;a href=&quot;https://www.mext.go.jp/aifors_spread/&quot;&gt;SPReAD&lt;/a&gt;が始まりました。2027年度に向けては、研究者と行政官が協働して科学技術政策の新しい手法を研究する&lt;a href=&quot;https://www.mext.go.jp/content/20260825-ope_dev02-000051779-7.pdf&quot;&gt;CATALYST&lt;/a&gt;に、5億円の概算要求が出されています。また官庁だけではなく、有志による&lt;a href=&quot;https://sites.google.com/view/metascience/home&quot;&gt;メタサイエンス研究会&lt;/a&gt;なども行われています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;科学機関へのメタサイエンスユニット設置は、&lt;a href=&quot;https://ifp.org/science-agencies-need-metascience-units/&quot;&gt;Institute for Progress (IFP) も提言&lt;/a&gt;しています。IFP とも関係を持つCaleb WatneyとJenn Gusteticは、メタサイエンスを&lt;a href=&quot;https://www.macroscience.org/p/the-six-camps-of-metascience&quot;&gt;六つの潮流&lt;/a&gt;に整理しています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;(1) 研究の公正性・再現性を高める研究、(2) 知識の公開と共有を進めるオープンサイエンス、(3) 科学の活動や成果を測る科学計量学、(4) 資金や誘因の効果を調べるイノベーション経済学、(5) 研究組織の運営や制度の実装を研究するR&amp;amp;Dマネジメント、そして(6) 新しい研究組織をつくる制度起業家の取り組みです。ファンディング研究は、とくに後半の三つと深く関わります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;本稿では、「&lt;strong&gt;メタサイエンスがなぜいまの日本にとって重要なのか&lt;/strong&gt;」について、とくに研究開発助成という観点から、個人の意見を簡単にまとめておきます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/metascience-for-funding/20260906171658.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;理由1人と財源の制約のなかでより多くの成果を出すため&quot;&gt;理由（1）人と財源の制約のなかでより多くの成果を出すため&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;日本のようなミドルパワーの国が、米国や中国とあらゆる分野で競うことはもはや難しlくなってきています。財政的にも米中レベルまで投資するのは厳しく、そもそもの担い手候補である生産年齢人口も今後減少していきます。となると、国内の研究費の拡充だけではなく、国外の科学系財団等の資金の獲得や、海外からの人材受け入れを進めつつ、限られた人と資金をどう配分するかが、ますます重要になります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もし&lt;strong&gt;資源を効果的に配分ができれば、同じ金額でも、より多くの科学的成果が挙げられるようになるかもしれません&lt;/strong&gt;。だからこそ、同じ科学的資源の投入量に対して、より多くの成果を出していくための方法を探っていくのは、資源の少ない日本だからこそ意識的に行っていく必要があるように思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そのときに重要なのがメタサイエンスのような取り組みです。どういった配分であれば、コストを落としながらより多くの成果を出せるのか、ということに対して改善案を常に出していくことが大事になってきます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;特に研究費というのは単に科学研究に直接使える費用だけではありません。そこには審査や運用のプロセスにかかるコスト（運用の外注費等含む）もあります。総額の科学研究費が増えていても、そのほとんどが運用のコストアップやアウトソーシング先のコンサルティング会社に吸収されていたら、研究者の手に残る研究費は変わらないかもしれません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうしたことがないように、どのようにすれば研究費をうまく使えるのかを見極めていくことは、日本にとって切実な問題だと考えています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;理由2科学の生産性を高めるため&quot;&gt;理由（2）科学の生産性を高めるため&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;上記は主に日本の事情でしたが、現在は科学全体でも問題を抱えています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;研究への投入を増やしても、それに見合う進歩が得られにくくなっているという問題は、海外でも指摘されています。&lt;a href=&quot;https://www.aeaweb.org/articles?id=10.1257/aer.20180338&quot;&gt;Bloomらの研究&lt;/a&gt;は、複数の産業や技術で、研究投入の増加と研究生産性の低下が同時に起きていることを示しました。OSTPの&lt;a href=&quot;https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2026/07/Science-A-New-Golden-Age.pdf&quot;&gt;2026年報告書&lt;/a&gt;も、研究開発投資の収益逓減を問題視し、制度と研究課題の適合を問い直しています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;研究課題そのものが難しくなっている可能性もあり、配り方だけが原因とは言えませんが、現在的な科学的課題に合った形に資源配分をしていくことで、より多くの成果が出せるかもしれません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえば、研究者個人に長期間自由なお金を渡すことで、より多くの成果が出るかもしれません。一方、特定のミッションを持たせた時限付きのチームの方が良い場合もあるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;米国エネルギー省（DOE）の&lt;a href=&quot;https://www.nationalacademies.org/read/24778/chapter/4&quot;&gt;ARPA-E&lt;/a&gt;は、従来の仕組みでは支えにくい、高リスクで変革的なエネルギー研究への支援機関です。研究を実施する組織にも、&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/fro-introduction/&quot;&gt;FRO（Focused Research Organization）&lt;/a&gt;という試みがあります。&lt;a href=&quot;https://www.nsf.gov/funding/initiatives/nsf-x-labs&quot;&gt;NSFのX-Labs&lt;/a&gt;も、独立した専任チームで課題に取り組む点で、FROに近い発想だと考えています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;大学や国立の研究機関といった仕組みも、ある意味で、当時の社会の外部性をうまく取り込むための「発明」でした。しかし、現在ではそれぞれが発明当時より広い責任が求められるようになってきており、その役目を見直す時期にもさしかかっているようにも思います。場合によっては、たとえば&lt;a href=&quot;https://www.unbundle-the-university.com/&quot;&gt;大学をアンバンドルする&lt;/a&gt;ことも視野に入れた方が良いと感じています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;組織の形以外でも、同じ資金を与えたときに、どういった形なら科学的成果を最も挙げられるのか、は科学全体での課題となりつつあります。それに対して日本も貢献していく、あるいはより良い答えを出すことで、より多くの科学的成果を日本から出していくことには一定の意義があるのではないかと思っており、そのためには単に資金量を増やすだけではなく、科学技術研究の営み自体をメタに見ていく必要性が増してきているように思います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;理由3aiによって研究工程が変わるかもしれない&quot;&gt;理由（3）AIによって研究工程が変わるかもしれない&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;より現代的な課題として、新しいAIというツールが出てきたことによる研究プロセスの転換の可能性があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;現在は論文執筆や査読の問題などが挙げられていますが、今後、AIが電気と同様の汎用的技術として知的作業を補助する形で導入されていくのであれば、科学の方法論にも大きな変化が起こる可能性があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;100年ぐらい前の電気の科学研究プロセスの導入は、照明や冷却など研究環境を変え、電気分解のような操作も可能にしました。オシロスコープや電子顕微鏡などにより、観測できる現象や測定方法も広がりました。その後、コンピュータの発展により、複雑な分析や実験の自動化も進んでいます。（工学史は&lt;a href=&quot;https://ethw.org/Electrical_Technology_Comes_to_the_Laboratory&quot;&gt;ETHWの解説&lt;/a&gt;も参考になります。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;AIもまさにそうしたツールの一種である可能性があります。理工系のみならず、人文社会系も、その研究のプロセスが大きく変わってくる可能性は高いように思います。そしてそのための最適な方法を見つけることが、まさに今科学のメタレベルで求められているとも言えるでしょう。それこそ、もしかしたらChatGPT Proを全員に配ることで、より多くの成果が生まれる、ということもあるかもしれません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ただしこれは単に従来のプロセスを効率化するだけではなく、組織の単位でも考えていくことも大事です。ビジネス組織におけるAI利用は&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/tags/ai/&quot;&gt;別のブログ記事等&lt;/a&gt;で解説していますが、科学もそれと同様に、AIが有望な実験候補を短時間で提案できても、装置が埋まっていたり、操作する人が足りなかったりすれば、実験できる件数は増えないかもしれません。その場合、追加の研究費を共用設備の運営や技術職員の雇用に使う方が、研究全体を進められる、といった資源配分を行った方が全体最適になる、ということもありえます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そして研究者にAIを使ってもらうときには、設備を誰が動かし、必要な計算資源とデータをどう提供するかも、一緒に考える必要があります。一つの工程が速くなれば、別の工程に必要な資源が増えるため、適切な配分も変わっていきます。たとえばOSTPでも、&lt;a href=&quot;https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2026/07/Science-A-New-Golden-Age.pdf&quot;&gt;検証基盤への投資&lt;/a&gt;を提案しているように、AIの普及に合わせて、結果を確かめる能力も高める必要があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;AIを個々の研究工程で使うだけでなく、科学技術研究のプロセス全体にどう受け入れるかを考える必要があります。そこにもメタな視点が必要ではないかと思いますし、実験的な資源配分をしていく必要があるように思います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;理由4研究の重み付けの変化&quot;&gt;理由（4）研究の重み付けの変化&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;科学の内側の変化に加えて、社会から研究に求められることも変わってきています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;2022〜2023年に68か国で行われた&lt;a href=&quot;https://www.nature.com/articles/s41562-024-02090-5&quot;&gt;調査&lt;/a&gt;では、回答者が望む科学の優先順位と、科学が重視していると感じる優先順位に隔たりがありました。また、日本での科学者への信頼は5段階で3.37と、調査全体の平均3.62を下回っています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;今後日本国内で様々な供給不足が続いているであろう中で、科学技術がそうした国民の目の前の課題に貢献できていなければ、科学への信頼度はまた下がり、それに伴って配分される予算も減少していくかもしれません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それと並行して、各国政府では社会的な目標の達成を目指す&lt;a href=&quot;https://www.oecd.org/en/publications/forging-new-frontiers-in-mission-oriented-innovation-policies_d13d0142-en.html&quot;&gt;ミッション志向のイノベーション政策&lt;/a&gt;などが近年行われようとしています。研究者の好奇心ドリブンの研究だけではなく、ミッションドリブンの研究も、様々な観点から求められてきているのが現状です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;科学者による好奇心ドリブンの研究も引き続き必要だと思いますが、本稿で扱う公的な研究開発助成は税金で支えられていることを考えると、このような社会の要請に応えていくことも重要ではないかとも思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ではそのミッション志向の研究をどのようにうまく管理していくのか、というのは、どの国もまだ&lt;a href=&quot;https://fas.org/publication/moonshots-using-evidence-to-design-transformative-initiatives/&quot;&gt;模索している段階&lt;/a&gt;のように見えます。これもまた実験や改善の対象となります。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;理由5国内の研究能力と国際協力の分配&quot;&gt;理由（5）国内の研究能力と国際協力の分配&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;理由（1）で述べたように、日本という国を、すべての分野で最大規模の研究を行うことを前提としないミドルパワーの国として考えるなら、すべてを実施することはできません。だからこそ、様々な国と手分けしながら自らの強みを磨いていく必要があります。しかし一方で、だからといって完全にメリハリをつけると、吸収能力が失われてしまう可能性もあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;経営学でいう&lt;a href=&quot;https://www.business-research-lab.com/251216-3/&quot;&gt;吸収能力&lt;/a&gt;は、外部の知識の価値を認識し、取り込み、活用する能力です。その形成には、自ら蓄積した知識が関わります。この考え方を日本の科学技術戦略にも広げれば、海外の技術を使うためにも、国内に研究者や技術者を育てておくことも大切な一面です。現在アメリカが製造業の再興で苦労しているように、一度失った能力は、後からかなりの金額を払っても、同じ能力が戻るとは限りません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;一方で、既存の研究への配分が固定されれば、新しい研究方向への参入を妨げる可能性があります。米国の生命科学では、著名研究者の死後、その人と共著関係のない研究者、とくに分野外からの参入者の論文が増えたという&lt;a href=&quot;https://mitsloan.mit.edu/shared/ods/documents?PublicationDocumentID=5663&quot;&gt;研究&lt;/a&gt;もあります。資金配分の変更効果を直接示す結果ではありませんが、新しい研究方向への参入も配分設計で考えたい論点でもあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;これはまさに配分の問題であり、そして論文数では捉えにくい問題です。こうした能力に、どれだけ投資し、何を確かめるかは、国際協力の条件が変わるいま、改めて検証する意味は大きいと考えています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/metascience-for-funding/20260906171736.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;資源配分は戦略である&quot;&gt;資源配分は戦略である&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;ここまで理由をいくつか見てきました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;科学には現在、内在的な要因による変化もあれば、外在的な脅威による変化もあります。今後も公的な研究投資を続け、増やしていくためには、科学のプロセス自体をどのように変化させて成果を出し、信頼を高めていくかが重要であり、そのための大きな変数となりうるのが、資金配分の方法であるとも思います。（※ただし成果を出せば自動的に政治的信認が得られるわけではないので、成果と同時に別の手段も必要です。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;チャンドラーの古典定期な定義によれば、戦略とは「企業における基本的な長期目標や目的を決定し、それらを実現するために必要な行動計画を採択するとともに、リソースを配分すること」です。資源配分は戦略の一部であり、科学の資源配分も国の科学戦略を左右する重要な問題です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そして期待した成果が出なかったとき、研究者に理由を求めるのと同じように、配分する側も支援条件を検証する必要があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;科学が仮説と観察・実験で理解を更新するように、科学を支える制度にも、その方法を取り入れられるはずです。申請書の短縮、支援期間の延長、資金の空白をつなぐ支援を試し、結果を次の設計に生かす実験が求められます。その際、実験・評価の費用も含め、短期の審査効率と長期の研究成果を分けて確かめる必要があると考えています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;こうした変化の時期は、正解が変わっていく時期でもあります。だからこそ、研究を支える側も学ぶ能力が重要になります。配分する側が自らの方法を確かめ、改善を続けられる仕組みを、日本で育てていくことが、今まさに大事なのではないかと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/metascience-for-funding/20260906171814.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;</content:encoded><dc:creator>馬田 隆明</dc:creator><category>AI</category><category>政策</category><category>ディープテック</category><category>イノベーション</category></item><item><title>12のマスで考えるイノベーションの戦い方と時間軸</title><link>https://takaumada.com/blog/12-innovation-time/</link><guid isPermaLink="true">https://takaumada.com/blog/12-innovation-time/</guid><description>ガソリン自動車の原型を作ったのは、1886年のドイツのベンツでした。それを移動式組立ラインによる大量生産へ持ち込んだのは、米国のフォードです。戦後には、日本の自動車企業が生産方式と品質管理を磨き、価格と信頼性を改善して世界市場で大きな地位を…</description><pubDate>Sun, 30 Aug 2026 06:14:35 GMT</pubDate><content:encoded>&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/12-innovation-time/20260830150009.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ガソリン自動車の原型を作ったのは、1886年のドイツのベンツでした。それを移動式組立ラインによる大量生産へ持ち込んだのは、米国のフォードです。戦後には、日本の自動車企業が生産方式と品質管理を磨き、価格と信頼性を改善して世界市場で大きな地位を築きました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それぞれ、新しい製品原理を成立させたベンツ、大量生産の仕組みを作ったフォード、生産現場で品質と原価を改善し続けた日本企業群は、それぞれ異なる知識と組織能力を発揮して、それぞれの段階で経済的価値を生み出し、回収しました。ただし、前段階で勝ったからといって、後段階で勝ち続けるわけではなかったのと、発明で先行した国や企業が最大の経済的価値を回収するわけでもありませんでした。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;私たちはイノベーションを、研究から開発、事業化、量産、普及へ進む一本の流れとして描きがちで、かつ最初に研究や開発ができた人が勝つと考えがちです。しかし、以前の「&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/non-linear-sti/&quot;&gt;イノベーションは『線形』ではない&lt;/a&gt;」でも書いたように、技術が進展する順序は線形ではないし、研究開発で先行すれば自動的に経済的価値が得られる、というわけではありません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;こうした整理や歴史を振り返ったのは、いまの日本のイノベーション論が、アメリカを模範にしがちであり、政策支援もそこに合わせようとしているからです。アメリカのような、フロンティア研究への大規模な投資と、ソフトウェアという利用可能な技術の活用可能性の探索を行った上で、そこに対してVCによる大規模な資金を注入して急速な事業拡大をしていく、といったやり方は大きな成果を上げてきましたし、今後の日本でも成果が上がる可能性は十分にあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;しかし、昨今の米国のスタートアップを見ていると、少し日米の状況が乖離してきているようにも見えます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえば&lt;a href=&quot;https://heronpower.com/news-stories/heron-power-raises-140-million-to-build-a-next-generation-power-grid-in-series-b-co-led-by-andreessen-horowitz-breakthrough-energy-ventures&quot;&gt;Heron Power&lt;/a&gt;は、2024年に元Teslaの上級幹部が創業した変圧器のスタートアップで、データセンター需要の立ち上がりを捉えて累計1.78億ドル（日本円で約280億円）を調達しています（以前 &lt;a href=&quot;https://www.youtube.com/watch?v=3Ve9NMQ2FJg&quot;&gt;YouTube&lt;/a&gt; でも紹介しました）。製品であるソリッドステート変圧器（SST）の販売は2027年予定ですが、すでに&lt;a href=&quot;https://www.canarymedia.com/articles/climatetech-finance/heron-power-raises-140m-electrical-transformers&quot;&gt;50GWの先行注文&lt;/a&gt;を獲得している、という状況です。設立からたった数年、機会の窓が開いているうちに事業と技術を組み立てようとしている、ということです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;これを可能にするのは、第一に資本量の差でしょう。2025年の米国のVC投資は&lt;a href=&quot;https://nvca.org/2026-nvca-yearbook/&quot;&gt;約3,200億ドル&lt;/a&gt;、日本のスタートアップの資金調達は&lt;a href=&quot;https://initial.inc/articles/japan-startup-finance-2025&quot;&gt;7,613億円&lt;/a&gt;でした。1ドル160円で単純換算すると70倍ほどの開きがあります。1投資案件あたりの規模も、米国では大きくなっています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;日本で Heron Power と同じ製品かつ同じ戦い方をしようとすると、最初に数千万円を集めるのにも苦労するでしょうし、設立2年で280億円を集めるのは難しく、データセンター建設という機会の窓が開いているタイミングには間に合わなくなってしまうのは容易に想像がつきます。彼我の差を考えると、同じ戦い方をしていても勝つのは難しい、というのを感じるところです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そこでこうした状況の中で、日本のスタートアップやその他の企業にはどういう戦いがあるのか、その中でどこでどう勝つのかを改めて考えなければならないと感じており、現在の整理をまとめておきます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/12-innovation-time/20260830145455.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;需要と供給&quot;&gt;需要と供給&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;『&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/risk-and-approach/&quot;&gt;「需要リスク ⇔ 供給リスク」「ボトムアップ ⇔ トップダウン」でスタートアップを整理する&lt;/a&gt;』という記事でも少しまとめましたが、イノベーションが経済的価値になるには、作る側（供給）と買う側（需要）が揃う必要があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;供給&lt;/strong&gt;は、必要な性能、安全性、価格、数量で技術や製品を作って届ける側です。科学的な成立から、複数技術の統合、量産工程、顧客現場への導入、運用、保守までを含みます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;需要&lt;/strong&gt;は、採用して使い続け、費用を払う側です。課題が存在し、予算を持つ買い手と支払主体がいて、導入を決める手順と時期が見えて、はじめて取引可能な需要になります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もちろん、供給と需要が見えていても、その二つがそのまま反復可能な取引になるとは限りません。冒頭の変圧器なら、規格への適合、送配電設備への接続、増産資金の確保なども重要な要素です。以下ではいったん供給と需要だけを二つの軸に置き、制度、共通基盤、金融の条件はのちほど整理します。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/12-innovation-time/20260830145533.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;供給リスクの-4-種類&quot;&gt;供給リスクの 4 種類&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;供給側では「次の状態への移行を何が最も強く妨げているか」を見ます。これを供給リスクと呼び、&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/trl-and-arl/&quot;&gt;TRL&lt;/a&gt; を参考にしながら、次の四種類に分けて考えます。&lt;/p&gt;
&lt;ol&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;導入・運用リスク&lt;/strong&gt; - 完成した製品やサービスを、異なる顧客や現場へ反復して導入し、安定して運用・保守できるかです。住宅施工、送配電工事、業務ソフトの導入支援のように、現場ごとの差を吸収しながら同じ結果を再現できるかが焦点です。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;スケールアップリスク&lt;/strong&gt; - 必要な数量を、目標とするコスト、品質、納期で継続供給できるかです。工場で作る製品だけでなく、GPU計算容量、建設能力、発電容量、物流能力、専門人材によるサービス供給もここに含みます。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;エンジニアリングリスク&lt;/strong&gt; - 複数の要素を統合し、想定する実環境で要求性能、安全性、信頼性を満たせるかです。製品内部の技術統合やシステム設計は、この行で扱います。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;サイエンスリスク&lt;/strong&gt; - 想定する物理現象、生物学的作用、治療効果などが、再現可能な形で成立するかです。原理の観察だけではなく、効果量や因果関係を外部から検証できるかまでを含みます。&lt;/li&gt;
&lt;/ol&gt;






























&lt;table&gt;&lt;thead&gt;&lt;tr&gt;&lt;th&gt;供給リスク&lt;/th&gt;&lt;th&gt;判定のための問い&lt;/th&gt;&lt;th&gt;代表的な指標&lt;/th&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/thead&gt;&lt;tbody&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;導入・運用リスク&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;複数の顧客や現場へ反復して導入・運用できるか&lt;/td&gt;&lt;td&gt;導入期間、納期遵守率、稼働率、保守工数、案件収支&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;スケールアップリスク&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;目標コスト・品質・納期で必要量を継続供給できるか&lt;/td&gt;&lt;td&gt;歩留まり、単位コスト、生産時間、欠陥率、年間供給量&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;エンジニアリングリスク&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;実環境で要求性能・安全性・信頼性を満たせるか&lt;/td&gt;&lt;td&gt;性能値、故障率、耐久性、統合試験、認証用の試験結果&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;サイエンスリスク&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;想定する現象や効果が再現可能に成立するか&lt;/td&gt;&lt;td&gt;効果量、再現性、外部検証、臨床結果、因果的証拠&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/tbody&gt;&lt;/table&gt;
&lt;h2 id=&quot;需要リスクの-3-段階&quot;&gt;需要リスクの 3 段階&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;需要側の軸は&lt;strong&gt;需要リスク&lt;/strong&gt;です。取引可能な需要をどれだけ特定できるかを主に見ます。&lt;/p&gt;
&lt;ol&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;低い状態&lt;/strong&gt; - 用途、顧客、要求性能、支払主体、予算、導入時期を概ね特定できます。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;中程度&lt;/strong&gt; - 必要性と顧客候補は見えているものの、支払主体、予算、導入時期、要求仕様、価格の一部が定まっていません。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;高い状態&lt;/strong&gt; - 用途、顧客、支払意思の少なくとも一つが未確定です。「社会的に必要である」という認識だけでは、需要リスクが低いとは判定しません。&lt;/li&gt;
&lt;/ol&gt;
&lt;p&gt;需要リスクには、買い手を特定できないリスクだけでなく、見えていた需要の数量や時期が変わるリスクも含まれます。後者は、需要リスクが低い列でもゼロにはなりません。増設には年単位の時間差があるため、発注が集中してから設備が完成する頃には需要が減速していることがあり、半導体のシリコンサイクルのように過剰能力の循環が生まれます。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;12-マスでの整理&quot;&gt;12 マスでの整理&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;ここまでの需要と供給の整理を掛け合わせると12のマスになり、それぞれで異なる競争や経営が求められます。以下では各マスに便宜的に名前をつけて (1)〜(12) の番号で参照します。&lt;/p&gt;



































&lt;table&gt;&lt;thead&gt;&lt;tr&gt;&lt;th&gt;供給側の支配的リスク＼需要リスク&lt;/th&gt;&lt;th&gt;&lt;strong&gt;低い&lt;/strong&gt;&lt;/th&gt;&lt;th&gt;&lt;strong&gt;中程度&lt;/strong&gt;&lt;/th&gt;&lt;th&gt;&lt;strong&gt;高い&lt;/strong&gt;&lt;/th&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/thead&gt;&lt;tbody&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;導入・運用リスク&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;(1) ロールアウト競争&lt;/strong&gt;——住宅施工、送配電工事、充電設備の設置・保守&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;(2) 案件組成型実装&lt;/strong&gt;——水素供給網、蓄電池の系統利用、CCUS輸送・貯留&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;(3) 有償ユースケース探索&lt;/strong&gt;——AI業務アプリ、配膳・配送ロボット&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;スケールアップリスク&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;(4) キャパシティ競争&lt;/strong&gt;——変圧器、電力ケーブル、GPU計算容量&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;(5) 段階的スケールアップ&lt;/strong&gt;——SAF、低炭素セメント、電解装置&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;(6) 量産と用途の同時探索&lt;/strong&gt;——グラフェン材料、培養肉、合成生物由来素材&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;エンジニアリングリスク&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;(7) 目標仕様開発&lt;/strong&gt;——新型変圧器、再使用ロケット、特定任務向け自律システム&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;(8) ロードマップ先行開発&lt;/strong&gt;——EUV露光装置の1990〜2000年代、全固体電池&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;(9) 製品と用途の同時探索&lt;/strong&gt;——汎用ヒューマノイド、量子センサーの新用途&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;サイエンスリスク&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;(10) ミッション型検証&lt;/strong&gt;——パンデミック時の新規ワクチン候補、アルツハイマー病治療&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;(11) オプション形成研究&lt;/strong&gt;——2000年代のmRNA基盤技術、核融合&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;(12) フロンティア探索&lt;/strong&gt;——深層学習前夜、CRISPR前夜、新規物理現象&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/tbody&gt;&lt;/table&gt;
&lt;p&gt;この12のマスは、企業や産業を分類する箱ではなく、それぞれの事業の状態を示す単位だと考えてください。技術開発や需要の変化によって、1つの事業の位置は変わってきて、戦い方も変わってきます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;スタートアップは従来 (3) のマス、もしくは創薬等の (10) が中心でしたが、米国を中心に扱える資本量が増えてきたために (4) (6) (7) (9) などもカバーできるようになってきた、という理解ができます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そして日本では (1) と (3) 以外すべて「ディープテック」という言葉でまとめられているため、それぞれの企業の戦い方や支援の方法が適切に配置されていないのでは、とも感じています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;同じマス内の時間差を生む-3-つの外部リスク&quot;&gt;同じマス内の時間差を生む 3 つの外部リスク&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;12 マスは、企業や研究組織の内側で次に何を学ぶ必要があるかを示します。制度、共通基盤、金融に関する不確実性や調整の難しさを、本稿では外部リスクと呼びます。外部リスクは12のマスを決める軸ではなく、各マスの所要時間を伸縮させる補助タグです。三つを合算せず、案件ごとに支配的な外部リスクを特定します。&lt;/p&gt;





















&lt;table&gt;&lt;thead&gt;&lt;tr&gt;&lt;th&gt;補助タグ&lt;/th&gt;&lt;th&gt;確認すること&lt;/th&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/thead&gt;&lt;tbody&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;制度・社会受容リスク&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;既存の許認可、規制、標準、立地ルールで進められるか。新たな合意形成が必要か&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;共通基盤・接続リスク&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;既存の電力網、通信網、輸送設備、試験設備、共通データ基盤を利用・接続できるか&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;金融成立リスク&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;案件の期間とリスクに合う融資、保証、保険、エクイティを調達できるか&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/tbody&gt;&lt;/table&gt;
&lt;p&gt;3 つの外部リスクは、それぞれ低・中・高で付けます。既存の制度・基盤・金融をそのまま利用できれば低、個別調整や増強を要すれば中、複数主体で新しい仕組みを作らなければ進めない場合は高です。利用条件が安定している外部資源は、依存していても低リスクとします。工場や実証設備の所要額は、案件固有の物理的規模として別に扱います。金融成立リスクが見るのは、その金額と事業期間に合う資金を調達できるかです。&lt;a href=&quot;https://www.energy.gov/technologycommercialization/core-risk-areas&quot;&gt;DOEのCore Risk Areas&lt;/a&gt;も、資本供給、案件形成、インフラ、製造・供給網、規制、許認可を別々のリスクとして評価しています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;12 マスとの境界が曖昧になりやすいのが、統合と認証です。製品内部で複数技術を組み合わせる統合は、エンジニアリングリスクの行に入ります。完成した製品を顧客の設備や業務へ組み込む作業は、導入・運用リスクの行です。電力網や輸送網のような共有システムへの接続は、共通基盤・接続リスクとして扱います。認証に必要な性能証拠を作る課題はエンジニアリング側に置き、規制経路や審査時期の不透明さは制度・社会受容リスクに置きます。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;12-マスから時間を見積もる&quot;&gt;12 マスから時間を見積もる&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;時間は独立した分類軸ではなく、支配的リスクと需要リスクが作る基本的な考え方に対して、案件固有の物理的規模と支配的な外部リスクが加わって決まります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;期間の仮説として、見えている需要への導入や増産が主課題の (1) と (4) は2〜3年です。試作と技術統合、認定、顧客との擦り合わせが残る (7)〜(9) は5〜15年、原理の発見と効果検証、再現性の確立が残る (10)〜(12) は10〜30年になります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;表にすると、次のようになります。&lt;/p&gt;



































&lt;table&gt;&lt;thead&gt;&lt;tr&gt;&lt;th&gt;供給側の支配的リスク＼需要リスク&lt;/th&gt;&lt;th&gt;&lt;strong&gt;低い&lt;/strong&gt;&lt;/th&gt;&lt;th&gt;&lt;strong&gt;中程度&lt;/strong&gt;&lt;/th&gt;&lt;th&gt;&lt;strong&gt;高い&lt;/strong&gt;&lt;/th&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/thead&gt;&lt;tbody&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;導入・運用リスク&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;(1) 2〜3年&lt;/td&gt;&lt;td&gt;(2) 5〜10年超&lt;/td&gt;&lt;td&gt;(3) 3〜7年&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;スケールアップリスク&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;(4) 2〜3年&lt;/td&gt;&lt;td&gt;(5) 5〜10年&lt;/td&gt;&lt;td&gt;(6) 5〜10年&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;エンジニアリングリスク&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;(7) 5〜10年&lt;/td&gt;&lt;td&gt;(8) 10〜15年&lt;/td&gt;&lt;td&gt;(9) 5〜15年&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;サイエンスリスク&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;(10) 10年前後&lt;/td&gt;&lt;td&gt;(11) 10〜20年&lt;/td&gt;&lt;td&gt;(12) 10〜30年&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/tbody&gt;&lt;/table&gt;
&lt;p&gt;（年数はいずれも実測値ではなく、本稿の枠組みから置いた期間の仮説です。案件固有の物理的な規模と三つの外部リスクによって伸縮します。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;表を列で見ると、&lt;strong&gt;上の二つの行では中央の列が右の列より長くなりえます&lt;/strong&gt;。探索に掛かる時間は自社の実験の速さで縮められる一方、許認可や共通インフラのように他者が整える条件を待つ時間は、自社の努力だけでは縮めにくいからです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;制度・社会受容リスクや共通基盤・接続リスクが高ければ長期化し、(2) は許認可や共通インフラの整備次第で十年を超えることもあります。一方、需要が切迫し、既存設備を使いながら複数候補の開発と試験へ並行投資できれば、とくに (10) は数年まで圧縮可能です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そして場合によっては、線形ではない進み方を資本が時間を縮めることもできます。その経路を、4つの供給リスクに沿って整理すると次のようになります。&lt;/p&gt;






























&lt;table&gt;&lt;thead&gt;&lt;tr&gt;&lt;th&gt;分類&lt;/th&gt;&lt;th&gt;資本で短縮しやすいこと&lt;/th&gt;&lt;th&gt;資本を増やしても短縮しづらい時間&lt;/th&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/thead&gt;&lt;tbody&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;(1)〜(3) 導入・運用リスク&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;導入チーム、施工人員、保守要員を増やし、複数の現場を並行して立ち上げられます。&lt;/td&gt;&lt;td&gt;顧客との調整、現場ごとの差の学習、運用と保守の反復には時間がかかります。&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;(4)〜(6) スケールアップリスク&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;設備、人員、部材を先に確保し、供給能力を増やせます。&lt;/td&gt;&lt;td&gt;長納期設備の調達や、歩留まりと品質の改善には時間がかかります。&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;(7)〜(9) エンジニアリングリスク&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;試作と試験を並行し、複数の設計案を同時に検証できます。&lt;/td&gt;&lt;td&gt;技術統合、認定、顧客との擦り合わせには年単位の反復が必要です。&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;(10)〜(12) サイエンスリスク&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;複数の研究経路や候補を並行して試せます。&lt;/td&gt;&lt;td&gt;研究人材の形成、知見の蓄積、再現性の確立には暦の時間を要します。&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/tbody&gt;&lt;/table&gt;
&lt;p&gt;資本は設備と試行を並列化して一気に進めていくことができますが、知識や制度、現場での学習が積み上がる時間までは省けません。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;事業は時間をかけて-12-マスの間を移動する&quot;&gt;事業は時間をかけて 12 マスの間を移動する&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;事業の段階ごとに、12マスの中で移動をしていきます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;供給側で学習したらリスクの種類が変わっていきますし、需要側は自社の学習のほか、事業環境が変わってリスクが増減することもあります（たとえば近年のAI関係は供給も需要も一気に変わった例でしょう）。通常はサイエンスの行から導入・運用の行へ向かいますが、現場で見つかった故障や効果不足によって、エンジニアリングやサイエンスの行へ戻ることもあります。なお、制度や共通基盤の整備と金融可能性の向上は、マスの移動を伴わない外部リスクの低下です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ただし、(12) から (1) へと段階的に挙がっていくというわけではなく、たとえば冒頭の例のデータセンター向け変圧器のように、急に現れた事業機会については、突然競争が (7) や (4) から始まって、それも機会の窓が開いている帰還内に勝ちきらなければ、事業を成立させられないといった、時間との勝負になる場合もあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;冒頭でイノベーションは線形ではないということを伝えましたが、テクノロジー自体は線形に伸びていく（性能などは伸びていく）かもしれませんが、その技術を使う事業と、そこから生まれるイノベーションによる経済的価値は、決して線形に変わっていくわけではないというところが重要です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そして一つの事業を一つのマスに配置することと、産業全体で複数の作業が並行することは区別が必要です。技術群や産業を扱うときは、効果検証や製造増設、現場配備のように作業単位へ分け、それぞれを別のマスに配置する必要があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;mRNA技術は、この移動をよく示す例です。2000年代には、基盤技術の効果と将来需要の条件を確かめる (11) オプション形成研究に近い位置にいました。2010年代には送達技術や製造方法を含むエンジニアリングリスクの行、すなわち (8) ロードマップ先行開発へ移り、2020年春のパンデミックが需要リスクを一気に引き下げる転換点でした。その後は、候補ごとの効果検証を (10)、供給能力の増設を (4)、接種の導入・運用を (1) という別の作業として、並行して進めました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/12-innovation-time/20260830145737.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;反復能力を競う二つの行&quot;&gt;反復能力を競う二つの行&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;導入・運用リスクとスケールアップリスクは、技術そのものよりも反復能力が勝敗を分けます。需要リスクが低い左の列では、資本と動員の速度が勝負を決める傾向にあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;(1) ロールアウト競争&lt;/strong&gt;では、完成した供給物を顧客現場へ繰り返し導入し、稼働させる能力を競います。住宅施工や充電設備では、施工人材、現場調整、保守網、地域ごとの手続きが主要な制約です。&lt;strong&gt;(4) キャパシティ競争&lt;/strong&gt;では、変圧器やGPU計算容量のように、必要量を納期内に供給できるかが焦点です。設備、人材、部材を先に確保し、需要の窓が開いているあいだに供給能力を立ち上げた側が有利になります。残る需要リスクは数量と時期の変動であり、各社の増設が一斉に完成する頃に需要が減速していれば、確保した能力は過剰能力へ転じかねません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;需要リスクが中程度なら、待ち時間をうまく使いながら勝利条件を作っていく戦い方になります。&lt;strong&gt;(2) 案件組成型実装&lt;/strong&gt;では、買い手候補がいても、制度、接続、運用責任、支払条件が揃うまで配備できません。既にできている技術を使うのであれば、水素供給網やCCUS輸送・貯留では、この外部条件を誰が整えるかが争点です。&lt;strong&gt;(5) 段階的スケールアップ&lt;/strong&gt;では、将来需要に合わせて設備を増やします。SAFや低炭素セメントのような案件では、オフテイク契約や政府保証で需要リスクを買い手や政府へ移し、将来需要を現在の投資へ変換できるかが焦点になるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;需要リスクが高い右の列では、供給と市場を同時に学びます。&lt;strong&gt;(3) 有償ユースケース探索&lt;/strong&gt;は、AI業務アプリのように、小さな導入を繰り返し、実際に使われる業務と運用方法を探す動きです。誰が利用し、誰が導入を決め、誰が費用を払うかに加えて、価格と提供形態を含む収益モデルまでが検証対象です。&lt;strong&gt;(6) 量産と用途の同時探索&lt;/strong&gt;は、グラフェン材料や合成生物由来素材のように、工程を改善しながら価格と性能が合う用途も探します。材料名だけで分類せず、データセンター向け放熱材や水処理膜のように用途を限定して評価する必要があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この二つの行では、生産と配備の反復から得る学習が競争力の源泉の一つです。戦後の日本の自動車企業や近年の中国の太陽光・電池産業のように、生産と導入を反復する過程で歩留まり、品質、原価、保守の現場知を蓄積すれば、後から来る企業には短期間で模倣しにくい優位が育ちます。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;資本で劣る側の勝ち方&quot;&gt;資本で劣る側の勝ち方&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;この二つの行のうち、需要リスクが低い (1) と (4) は資本の勝負になりがちで、もともと資本を持っている大企業か、資本を一気に集められる米国のスタートアップが有利な領域です。かといって、資本で劣る側にとって捨て場所かというと、いくつかの例外もあるかと思います。たとえば以下のような戦略です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;(1) &lt;strong&gt;速い競争の中の遅い要素を握ること。&lt;/strong&gt; データセンター競争なら、電力枠、変圧器、光部品、施工能力はすぐには増やせません。実際、生成AIによるデータセンター需要を捉えたのは、&lt;a href=&quot;https://www.fujikura.co.jp/en/news/pressrelease/20250218swr.html&quot;&gt;光配線や電線を長年作り続けてきたフジクラ&lt;/a&gt;や古河電工のような企業でした。急に起こるのキャパシティ競争は、昨日から保有してきた供給能力で決まります。昨今は素材系のスタートアップでも、長年培ってきた素材を半導体材料や冷却などに応用することで、一気に可能性が開けた例なども聞きます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;(2) &lt;strong&gt;競争の参加者全員に売る側へ回ること。&lt;/strong&gt; どの陣営が勝っても必要とされるポジション、たとえば現在で言えばNVIDIAやTSMCが取った位置にいれば、競争が激しくなるほど需要が増えます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;(3) &lt;strong&gt;制度と現場知を参入障壁に変えること。&lt;/strong&gt; 規制、言語、既存インフラとの接続、現場との信頼が深く絡む市場では、資本を積んでも導入速度は単純には上がりません。建設や介護などはおそらく国ごとの違いもあり、ヒューマノイドなどが海外でできても日本にはなかなか入って来れないでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;(4) &lt;strong&gt;契約と接続を先に押さえること。&lt;/strong&gt; 需要が顕在化した直後に長期供給契約を結び、認証や顧客設備への統合を終えれば、後発企業の参入余地は狭まります。供給が逼迫した局面の半導体業界で結ばれる複数年の長期供給契約は、この型の道具です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;4つの戦い方に共通するのは、資本量だけで追いつきにくい能力を競争の内側へ作ることです。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;製品とシステムを成立させる行&quot;&gt;製品とシステムを成立させる行&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;エンジニアリングリスクの行では、複数の要素を統合し、実環境で要求性能を満たすまでの反復が必要です。需要リスクが低いほど目標仕様を書きやすくなり、資本による並行開発もしやすくなります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;(7) 目標仕様開発&lt;/strong&gt;では、顧客、任務、要求性能、支払主体が見えている状態です。再使用ロケットや特定任務向け自律システムのように、需要側から数値目標を書き、試作と試験を並行して期間を縮めます。なるべく事前にLOIを取得するなどして、仕様を確定させるような動きが重要です。初期調達や契約型研究開発によって、買い手が開発リスクの一部を引き受けることもできます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;(8) ロードマップ先行開発&lt;/strong&gt;では、将来必要になる性能は見えていても、採用時期、仕様、価格がまだ固まっていません。&lt;a href=&quot;https://www.asml.com/en/company/stories/2022/making-euv-lab-to-fab&quot;&gt;EUV露光装置の1990〜2000年代&lt;/a&gt;や全固体電池のように、顧客評価や企業間協業を繰り返しながら、需要が確定する前から開発を続けます。時間をお金だけで買いにくいのは、認定と擦り合わせに年単位の反復が必要だからです。ただしどのロードマップに乗るのかが大きな分かれ道になるでしょう。たとえばCHAdeMOのロードマップに乗ってもCHAdeMO自体が勝てなければ自社も勝てません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;(9) 製品と用途の同時探索&lt;/strong&gt;では、製品を成立させながら用途も探します。汎用ヒューマノイドや量子センサーの新用途では、どの要求仕様を優先するか自体が定まりません。用途を広く掲げたまま一つの完成形を目指すより、用途を限定した試作と顧客検証へ分ける必要があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この行を左へ動かす装置が需要創出です。&lt;a href=&quot;https://www.nasa.gov/commercial-resupply-services-overview/&quot;&gt;NASAの商業調達&lt;/a&gt;はSpaceXの成長を支え、ドイツの固定価格買取制度は太陽光市場の拡大を後押ししました。一方で、そこで作られた需要の多くを取ったのは中国の製造業でした。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;需要を作る政策は、国内の供給能力や配備能力まで育てる設計と組み合わせなければ、価値が域外へ流れます。ルール形成は制度・社会受容リスクを下げる動きですが、標準を広めることと収益を回収することは別の課題です。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;原理と効果を確かめる行&quot;&gt;原理と効果を確かめる行&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;サイエンスリスクの行では、物理現象、生物学的作用、治療効果などが再現可能かを確かめます。この行では、資本を増やしても研究人材の形成や知見の蓄積を同じ比率では速められません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;(10) ミッション型検証&lt;/strong&gt;では、解くべき課題、要求される効果、支払主体が明確です。パンデミック時の新規ワクチン候補やアルツハイマー病治療のように、需要側から効果の目標値を書くことができます。需要が切迫していれば、複数候補の並行試験や先行生産によって時間を圧縮できますが、有効性の検証そのものを省くことはできません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;(11) オプション形成研究&lt;/strong&gt;では、将来の必要性は見えていても、時期、仕様、価格が定まりません。2000年代のmRNA基盤技術や核融合は、将来使える技術経路を先に作っておく投資として、本稿では捉えます。核融合の需要は「競争力のある価格で供給できるなら」という条件付きであり、社会的必要性だけを需要リスクの低さと取り違えないことが必要です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;(12) フロンティア探索&lt;/strong&gt;では、何が可能かも、何に使うかも未確定です。深層学習前夜のニューラルネット研究やCRISPR前夜の細菌免疫研究では、成果は売上ではなく、再現可能な知見と将来選べる技術経路の増加に現れました。担い手は大学と公的資金が中心になりやすいでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この行を企業価値や数年以内の売上で測ると、既存製品に近い研究へ偏ります。米国で試みられている&lt;a href=&quot;https://www.convergentresearch.org/about-fros&quot;&gt;Focused Research Organizations（FRO）&lt;/a&gt;は、一つの技術目標に専任チームを付け、3〜7年・2,000万〜5,000万ドル規模の資金をまとめて与える組織形態です。本稿の言葉では、オプション形成研究を組織的に進める試みだと言えます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;サイエンスから一気に実用に行きやすいのが創薬で、これは (10) に近いものです。規制や実験などの外部リスクはあるものの、エンジニアリングリスク、スケールアップリスク、導入・運用リスクの段階を経る必要がないことも多く、サイエンスと実用の距離が近い領域だと言えます。今回のTransformerを活用したAIなども、サイエンスからかなり短期間で実用化されたものです。ただしAIは創薬と違い、インフラ整備などのスケールアップリスクはあります。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;スタートアップが入りやすいマス&quot;&gt;スタートアップが入りやすいマス&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;12 マスは、スタートアップとの相性も異なります。ここで対象とするのは、VCなどの外部エクイティを使って高成長を目指す&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/high-growth-startup/&quot;&gt;ハイグロース・スタートアップ&lt;/a&gt;です。各マスとスタートアップとの相性は、限られた人数と資本で試行し、次の資金調達までに不確実性が減ったことを示せるかで決まります。小さく検証でき、学習を企業内に蓄積できるほど、スタートアップの速度が生きます。一方、制度、共通基盤、金融のリスクが高ければ、同じマスでも難しさは上がります。&lt;/p&gt;



































&lt;table&gt;&lt;thead&gt;&lt;tr&gt;&lt;th&gt;位置づけ&lt;/th&gt;&lt;th&gt;マス&lt;/th&gt;&lt;th&gt;スタートアップとの相性&lt;/th&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/thead&gt;&lt;tbody&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;創業時に相性がよい&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;(3)、(7)&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;顧客実証や試作を通じて、用途、要求仕様、製品を小さく検証できます。&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;条件が揃えば成立する&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;(6)、(8)、(9)、(10)&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;技術的な節目は作れますが、長期資本、共同開発先、公的資金が必要です。&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;成長後に相性が高まる&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;(1)、(4)&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;需要が見えた後の実装・量産段階です。創業の入口というより、スケールアップ先にあたります。&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;一社では進めにくい&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;(2)、(5)&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;許認可、共通インフラ、オフテイク、大規模設備など、社外の条件に左右されます。&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;研究組織が担いやすい&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;(11)、(12)&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;大学、公的研究機関、FROなどで知見を蓄積し、(10)、(9)、(7) へ移る段階でのスピンアウトが適します。&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/tbody&gt;&lt;/table&gt;
&lt;p&gt;ただし様々な例外があることも注記させてください。たとえば (9) は用途と製品を同時に探すため失敗率が高くても、小さな試作と方向転換を繰り返せるなら、既存組織よりスタートアップに分があるかもしれませんし、変圧器であっても既存の変圧器であれば (4) でしょうが、新しい開発を必要とする変圧器であれば (7) に近くなり、その場合はエンジニアリングリスクとスケールアップリスクの両方が発生するため、スタートアップのほうが適しているようになるかもしれません。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;起業の好機はマスの境界にある&quot;&gt;起業の好機はマスの境界にある&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;起業の好機は、案件が次のマスへ動き始めるタイミングに現れるように思います。変化が広く知られる前に、当事者が兆候を捉えられるからです。&lt;/p&gt;

























&lt;table&gt;&lt;thead&gt;&lt;tr&gt;&lt;th&gt;起業家の情報優位&lt;/th&gt;&lt;th&gt;先に見える変化&lt;/th&gt;&lt;th&gt;先取りできる移動&lt;/th&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/thead&gt;&lt;tbody&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;需要側を知る人&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;現場課題の予算化、支払主体、導入時期、要求仕様の具体化&lt;/td&gt;&lt;td&gt;右から左への移動——(3)→(1)、(9)→(7)、(6)→(4)&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;供給・技術側を知る人&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;再現性、性能、技術統合、歩留まりが閾値を越え、次のボトルネックが変わる兆候&lt;/td&gt;&lt;td&gt;下から上への移動——(10)→(7)、(7)→(4)、(4)→(1)&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;strong&gt;両側をつなぐチーム&lt;/strong&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;技術の到達点と特定現場の条件が重なる作業&lt;/td&gt;&lt;td&gt;移動直前の作業を一案件として切り出し、創業単位にする&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/tbody&gt;&lt;/table&gt;
&lt;p&gt;需要側を詳しく知る人には、まだ統計に表れない予算化や調達条件の変化が見えます。供給・技術側を深く知る人が捉えるのは、研究課題が製品統合の課題へ、製品課題が量産や運用の課題へ変わる瞬間です。この情報差が、市場が明白になる前に創業する根拠になります。そして、その情報差が埋るまでの期間中に、資本だけでは追いつけないような優位性を作りきれるかが勝負です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;典型的には、応用型は (3) から (1) へ、ディープテック型は (9) や (10) から (7)、(4)、(1) へ進みます。(11) と (12) は研究組織で進め、(10)、(9)、(7) の課題として切り出せる時点がスピンアウトの候補です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/12-innovation-time/20260830145830.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;マスごとの実務プラクティス&quot;&gt;マスごとの実務プラクティス&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;日々の仕事で使う手法もマスごとに変わります。解くべき不確実性が違う以上、それを確かめる道具も違うからです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえば、Techno-economic analysis（TEA）は、工程のコストを試算して経済性の成立条件を洗い出す手法です。(5) 段階的スケールアップや (6) 量産と用途の同時探索では中心に置かれますが、工程が確立している (1) ロールアウト競争では出番が小さくなります。逆に、(3) 有償ユースケース探索で欠かせない顧客開発は、要求仕様を需要側から書ける (7) 目標仕様開発では比重が下がるでしょう。どの手法が有効かは、いま解こうとしている不確実性の種類から決まります。各マスの代表例と、対応するプロンプトの使い順を並べると、次のようになります。&lt;/p&gt;



















































































&lt;table&gt;&lt;thead&gt;&lt;tr&gt;&lt;th&gt;マス&lt;/th&gt;&lt;th&gt;中心となる問い&lt;/th&gt;&lt;th&gt;当事者の代表的なプラクティス&lt;/th&gt;&lt;th&gt;調査と設計に使うプロンプト&lt;/th&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/thead&gt;&lt;tbody&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;(1) ロールアウト競争&lt;/td&gt;&lt;td&gt;同じ結果をどれだけ速く安く反復できるか&lt;/td&gt;&lt;td&gt;施工・導入の標準化、工程管理、保守網と人材パイプラインの構築、稼働率と案件収支のKPI運用&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;code&gt;Unit Economics&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;初期・中期・最終形のオペレーション設計&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;組織・採用・アドバイザー設計&lt;/code&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;(2) 案件組成型実装&lt;/td&gt;&lt;td&gt;どの合意をどの順序で揃えるか&lt;/td&gt;&lt;td&gt;案件組成、FEED（基本設計）、規制当局との事前協議、コンソーシアム形成、オフテイク交渉&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;code&gt;FEL / FEED計画（設備型事業向け）&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;規制・認証・標準化ロードマップ&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;アライアンス・パートナー戦略&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;バリューチェーン / 商流設計&lt;/code&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;(3) 有償ユースケース探索&lt;/td&gt;&lt;td&gt;誰のどの業務で、誰から継続的な支払いが生まれるか&lt;/td&gt;&lt;td&gt;顧客開発、小規模PoCの反復、導入テンプレート化、ユニットエコノミクスの検証&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;code&gt;Wedge / 初期ユースケース選定&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;顧客検証・インタビュー設計&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;PoC / 実証実験設計&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;価格・ユニットエコノミクス設計&lt;/code&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;(4) キャパシティ競争&lt;/td&gt;&lt;td&gt;いまの制約が解けたら次に何が希少になるか&lt;/td&gt;&lt;td&gt;需要予測、長納期部材の先行確保、量産立ち上げ管理、長期供給契約の営業&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;code&gt;市場調査（検証版）&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;Next ボトルネック予測&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;部材・設備・サプライヤー調達戦略&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;量産・スケールアップ戦略&lt;/code&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;(5) 段階的スケールアップ&lt;/td&gt;&lt;td&gt;将来需要をどう現在の投資に変換するか&lt;/td&gt;&lt;td&gt;TEA、コストカーブと習熟の設計、FOAK→NOAK（初号機から量産機へ）の段階投資計画&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;code&gt;技術経済性分析（TEA：FOAK想定）&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;技術経済性分析（TEA：NOAK想定）&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;FOAKからNOAKへのコスト・性能軌道&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;資本政策シナリオ&lt;/code&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;(6) 量産と用途の同時探索&lt;/td&gt;&lt;td&gt;コストが下がった先でどの用途が最初に成立するか&lt;/td&gt;&lt;td&gt;TEA、用途別の価格性能フィット評価、パイロットプラント、リードユーザーとの共同検証&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;code&gt;Wedge / 初期市場・参入方法&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;技術経済性分析（TEA：NOAK想定）&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;PoC / 実証実験設計&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;価格・ユニットエコノミクス設計&lt;/code&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;(7) 目標仕様開発&lt;/td&gt;&lt;td&gt;既知の要求仕様へ最短で到達する経路はどれか&lt;/td&gt;&lt;td&gt;システムズエンジニアリング、要求仕様の凍結と設計トレードオフ、試作・試験の並行化、LOI取得&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;code&gt;成立条件マップ（What Must Be True）&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;Dependency Graph&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;初期プロトタイプ作成法&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;PoC / 実証実験設計&lt;/code&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;(8) ロードマップ先行開発&lt;/td&gt;&lt;td&gt;業界の次の次の制約は何か&lt;/td&gt;&lt;td&gt;顧客との共同開発と評価サイクル、業界ロードマップと標準化への参加、認定計画の逆算&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;code&gt;ロードマップ&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;Next ボトルネック予測&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;市場・技術の実現タイムライン&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;規制・認証・標準化ロードマップ&lt;/code&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;(9) 製品と用途の同時探索&lt;/td&gt;&lt;td&gt;どの用途に絞れば仕様を凍結できるか&lt;/td&gt;&lt;td&gt;用途を限定した試作、顧客検証、要求仕様の仮説検証、段階的なスペック凍結&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;code&gt;Wedge / 初期ユースケース選定&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;初期プロトタイプ作成法&lt;/code&gt; ⇄ &lt;code&gt;顧客検証・インタビュー設計&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;PoC / 実証実験設計&lt;/code&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;(10) ミッション型検証&lt;/td&gt;&lt;td&gt;複数の候補のうちどれが効くか&lt;/td&gt;&lt;td&gt;効果目標からの逆算（Target Product Profile）、複数候補の並行試験、適応的試験デザイン&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;code&gt;Heilmeier Catechism（DARPA）&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;成立条件マップ（What Must Be True）&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;決定的実験（Killer Experiment）&lt;/code&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;(11) オプション形成研究&lt;/td&gt;&lt;td&gt;どの技術経路を生かしておくか&lt;/td&gt;&lt;td&gt;マイルストーン管理型の長期研究、再現性と外部検証の確保、技術経路のポートフォリオ管理&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;code&gt;技術のランドスケープ&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;SOTA調査・読むべき論文&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;科学・工学・事業分解&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;多軸成熟度評価（xRL）&lt;/code&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;(12) フロンティア探索&lt;/td&gt;&lt;td&gt;何が可能かをどれだけ広げられるか&lt;/td&gt;&lt;td&gt;研究者主導の探索、再現可能な知見の公開、研究人材の育成&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;code&gt;トピックランドスケープ&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;引用ネットワーク&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;隣接可能領域（Adjacent Possible）&lt;/code&gt; → &lt;code&gt;第一原理思考 (探索版)&lt;/code&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/tbody&gt;&lt;/table&gt;
&lt;p&gt;割当はいずれも代表例です。隣り合うマスでは手法が重なります。行が主な手法を決め、列がその配合を調整すると読んでください。右端は、2026年8月時点の&lt;a href=&quot;https://prompt-deeptech.foundx.jp/&quot;&gt;ディープテックプロンプトライブラリ&lt;/a&gt;に載っている名称です。検索欄に名称をそのまま入れると、該当するプロンプトを探せます。矢印はおおよその使い順、双方向の矢印は顧客検証と試作を往復する箇所を示しています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ただしプロンプトが担えるのは、デスクトップリサーチ、仮説の整理、比較表や検証計画の作成までです。顧客面談、実験、規制当局との協議、契約交渉は、3列目に挙げた当事者のプラクティスとして残ります。いまいるマスを決めてから右端の最初のプロンプトを使い、出力によって不確実性が減ったら次のマスに進んでいくなど、うまく使ってください。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;列で変わる考え方の型&quot;&gt;列で変わる考え方の型&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;列ごとに異なる考え方の型があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;需要リスクが低い左の列は、&lt;strong&gt;速度・先読み型&lt;/strong&gt;です。何を作ればよいかは分かっているため、勝負はいかに早く求められている需要を満たせるかになります。ただし単なる速度だけではなく、先読みも必要な場合もあります。なぜなら、いま見えているボトルネックは競合にも見えており、価格にも織り込まれているからです。利益は、「いまの制約が解けたら、次に何が希少になるか」という次の次のボトルネックを読み、リードタイムの長い資源を先に押さえることで、需要が顕在化する前に良いスタートラインに立ち、需要が見えてきたら一気に進める、というやり方も可能です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえばデータセンターでは、GPUに加えて電力枠、変圧器、系統接続、施工人材が並行して制約になっています。こうした顕在化している需要に対しては、執行の速度で勝負することになります。また、先ほど「速い競争の中の遅い要素を握ること」を資本で劣る側の勝ち筋として挙げましたが、その読みを時間の軸で続けるのがこの型です。この読みを業界全体で共有し、十年単位で運用したものが、中央の列にある (8) の業界ロードマップだと言えます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;需要リスクが中程度の中央の列は、&lt;strong&gt;組成型&lt;/strong&gt;です。残る不確実性は、規制当局、買い手、金融機関といった他者の手元にあり、自社で実験を繰り返しても減りません。どの合意がどの合意の前提になっているかを見極め、条件の揃う順序を設計することが仕事になります。水素供給網やSAFの案件で、案件組成やオフテイク交渉が手法の中心に来るのはこのためです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;需要リスクが高い右の列は、&lt;strong&gt;探索型&lt;/strong&gt;です。安く速い実験を繰り返して、市場から学びます。リーンスタートアップが適用できるのはこの列で、(3) 有償ユースケース探索ではそのまま使えます。ただし下の行へ降りるほど一回の学習に掛かる費用と時間が増えるため、適用範囲は需要側の仮説へ縮んでいくでしょう。(6) や (9) では、どの用途なら価格と性能が合うかという問いにはリーンが効きますが、量産工程や製品統合はピボットできないため、供給側ではTEAやシステムズエンジニアリングを併用することになります。(10)〜(12) では、検証の相手が市場ではなく自然や生体であり、実験を安く速くする余地が小さいため、リーンの出番はほとんどありません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ただし、&lt;strong&gt;勝てることと、大きく勝つことは異なる&lt;/strong&gt;、という点は注意してください。施工人材を地域で押さえれば先回りして勝てるかもしれませんが、一地域だと大きなビジネスになるとは限りません。最先端の技術を商業化して顧客から欲しがられても、売上が10億円程度で止まってしまうような課題であれば、その領域の勝負では勝てたとしても、ビジネスとして大きな勝利とは言えないかもしれません。スタートアップであれば、単なる勝率よりもホームランになる勝負かどうかを優先して考えた方が望ましいでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;また別のマスの定番手法を持ち込むと色々と混乱してしまいがちです。(11) オプション形成研究にユニットエコノミクスの検証を求めれば、十年単位の研究が数年の売上計画に化けます。逆に、(3) の小さな探索へシステムズエンジニアリングの重い要求凍結を持ち込めば、学ぶ速度が落ちます。速度型と探索型の取り違えも同様で、用途が定まらない (6) や (9) で量産設備や導入体制を先回りして作れば、探索の失敗が過剰能力になって残りかねません。支援機関が伴走プログラムを設計するときにも、どのマスの手法を教えているのかを確かめる必要があるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;例&quot;&gt;例&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;自動車の歴史をこの表に置き直すと、内燃機関の原理 (12) は、1876年のオットーの四ストローク機関など先行世代が確立しており、ドイツのベンツは、用途も顧客もまだ見えないなかで製品化の (9) を進めました。米国のフォードは、見え始めた大衆需要に向けて (4) で供給能力と工程を作り、日本企業は、戦後の確立した市場を相手に、導入・運用の (1) と生産工程の (4) を別の作業として並行させ、現場からの学習を積み重ねました。三つの国は、異なるマスの支配的リスクを、異なる時間と組織能力で解いたことになります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ヒューマノイドでも、何を一事業とみなすかで番号は変わります。汎用ヒューマノイド本体を対象にすれば、製品を成立させながら用途も探しているため、2026年時点では多くが (9) 製品と用途の同時探索に近いでしょう。機体側を完成とみなせるのであれば、介護業界で使うことだけを決め、具体的な作業や支払条件を探す案件は (3) 有償ユースケース探索です。特定の介護事業者が「ベッドから車椅子への移乗を補助する」と用途を定めたとします。対応できる利用者の体重、1回の所要時間、必要な介助者数、安全条件を定め、支払主体も特定できるなら、製品・システムを仕上げる課題は (7) 目標仕様開発になります。完成したシステムを複数の介護施設へ反復導入する課題は (1) ロールアウト競争です。機体を需要に合わせて量産する課題は、需要がまだ固まらなければ (5)、受注が見えていれば (4) です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;実際、汎用的な機体と用途を限定した場合では、位置がすでに分かれています。&lt;a href=&quot;https://deepmind.google/blog/gemini-robotics-2-brings-whole-body-intelligence-to-robots/&quot;&gt;Google DeepMindが2026年に公表したGemini Robotics 2&lt;/a&gt;では、多指ハンドの成功率が作業によって32％から92％まで開いており、汎用製品としてはエンジニアリングリスクが残っています。一方で、&lt;a href=&quot;https://www.figure.ai/news/production-at-bmw&quot;&gt;Figure 02はBMWの生産ラインで11カ月にわたり稼働&lt;/a&gt;し、9万点以上の部品を扱いました。サイクルタイム、配置精度、人間の介入回数がKPIになっており、一つの作業が (7) から (1) へ移る過程として読めます。&lt;a href=&quot;https://www.agilityrobotics.com/content/digit-deployed-at-gxo-in-historic-humanoid-raas-agreement&quot;&gt;Agility RoboticsのDigitがGXOと複数年の商用運用に入った例&lt;/a&gt;は、限定された物流作業で (1) が始まった例でしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;2026年時点のヒューマノイド産業では、本体は (9)、用途別の開発は (7)、現場実装は需要リスクに応じて (3)、(2)、(1)、量産は (5) と (4) に分かれ、同時に進んでいます。 どの企業が勝つかを考えるときにも、どの単位の競争を指しているかを固定する必要があります。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;まとめ&quot;&gt;まとめ&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/12-innovation-time/20260830145920.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;以上、供給側の支配的リスクと需要リスクを12のマスに分け、それぞれで想定される時間と勝ち方を整理してきました。この枠組みは、マスごとに異なる資本、組織、制度を割り当て、検証された証拠、契約、需要を次の担い手へ渡す仕組みも可視化するものです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;どのマスにも勝ち方はあります。問われるのは、次の移行を妨げている不確実性と外部リスクを特定し、それを解く時間に合った資本、組織、制度を割り当てることです。導入・運用とスケールアップの行では反復から得る現場知と供給網が、エンジニアリングの行では顧客との共同開発と認定の反復が、サイエンスの行では長期研究を支える組織と評価指標が、それぞれの勝敗を分けます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そして、解くべき不確実性がマスごとに違うように、生まれた価値を回収する装置も同じではありません。サイエンスの行では特許が、反復能力の二つの行では現場知の占有や長期契約と接続が、そしてどの行でも、勝敗にかかわらず全陣営へ部品や基盤を供給する位置が、回収を支えます。冒頭で、発明で先行した国が最大の経済的価値を回収するとは限らないと書いたのは、その装置が発明とは別のマスに置かれていることが多いためです。異なる時間を一つの物差しで測らず、12のマスに応じて資源配分を組み合わせることが、本稿から導かれる制度上の示唆です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そのうえで、現在特定の領域ではどのマスの勝負になっていて、そのなかで日本はどういった勝負ができるのか、というのを各領域で考えていく必要があるのでは、と思います。冒頭で話したHeron Powerのような戦い方が難しい以上、米国のスタートアップとは異なる領域に目をつけるか、彼らより先に未来を読んで準備をして戦いを行うなどを行えなければ、大きく成長できる領域で勝つことは難しくなってしまいます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえば米国や中国の得意とする資本で時間を買って短期決戦をするような領域ではなく、時間軸を変えて、(7)や(10)に張って支援を厚くすることや、(11)を積極的に行ってオプションを増やしておくことなど、いくつか考え得る手はあります。むしろ、米国が得意な領域で日本人創業者が勝負を行うなら、米国に事業を移して、米国で資金を調達した方が合理的、ということにもなります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;米国のスタートアップエコシステムとは異なる考え方と攻め方をしていくことが、世界で必要とされる日本のスタートアップを生んでいくことのように思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/12-innovation-time/20260830145935.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（本原稿は AI を活用しながら書きました。）&lt;/p&gt;</content:encoded><dc:creator>馬田 隆明</dc:creator><category>ディープテック</category></item><item><title>ソフトウェアや知能が安くなったときに起きること</title><link>https://takaumada.com/blog/ai-and-deeptech/</link><guid isPermaLink="true">https://takaumada.com/blog/ai-and-deeptech/</guid><description>(その他の AI 関連記事の一覧はこちら) 1830年頃、わずかな夜の明かりを得るためには、約3時間の労働が必要でした。しかし1992年ごろにはそれが1秒にも満たない労働ですむようになったと言われています。ロウソクから白熱電球、蛍光灯へとい…</description><pubDate>Mon, 13 Apr 2026 15:26:25 GMT</pubDate><content:encoded>&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/ai-and-deeptech/20260414002112.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;(&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/tags/ai/&quot;&gt;その他の AI 関連記事の一覧はこちら&lt;/a&gt;)&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;1830年頃、わずかな夜の明かりを得るためには、&lt;a href=&quot;https://humanprogress.org/light-has-burst-forth-in-astonishing-abundance-2/&quot;&gt;約3時間の労働&lt;/a&gt;が必要でした。しかし1992年ごろにはそれが&lt;a href=&quot;https://humanprogress.org/romer-and-nordhaus-worthy-nobel-winners-and-apostles-of-progress/&quot;&gt;1秒にも満たない労働&lt;/a&gt;ですむようになったと言われています。ロウソクから白熱電球、蛍光灯へという技術的発展が、光を劇的に安くしたのです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうして光が安くなったとき、人は同じ量の光を単に安く買って終わり――ということにはなりませんでした。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;人々は、かつて置こうとも思わなかった場所にまで光を置き、街路、工場、看板といった、社会のあらゆる場所に安くなった光を敷き詰めていきました。そうして、工場は曇りや雨の日にも稼働することができるようになったり、深夜営業や夜の読書といった新しい活動が可能になったのです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そこで儲けたのは、光を提供した会社だけではなく、それをうまく使った会社でした。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/ai-and-deeptech/20260414000417.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;では、&lt;strong&gt;ソフトウェアや知能が安くなったとき、私たちはそれをどのように使うのでしょうか&lt;/strong&gt;。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;生成AIによる大きな変化は、まさにその問いを私たちに問うているのではないかと思います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;何が安くなっているのか&quot;&gt;何が安くなっているのか&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;AIの発展によって、特定の種類の知的作業や、ソフトウェアをつくるための費用が急速に下がりつつあります。&lt;a href=&quot;https://hai.stanford.edu/ai-index/2025-ai-index-report&quot;&gt;Stanford HAI 2025 AI Index&lt;/a&gt; でも、GPT-3.5級の性能の推論コストがこの18か月で280倍以上安くなったと整理されています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/ai-and-deeptech/20260414002126.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そのAIは今、ソフトウェア開発で最も活用され始めています。ソフトウェアの価格が下がることが見込まれ、一部の SaaS 企業の評価にも影響が出ている状況です（もっとも、金利環境の変化やマルチプルの正常化など複合的な要因があり、AIだけのせいというわけではありません）。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;実際は、運用、品質保証、導入、責任の所在などを考えると、「ソフトウェアのすべてのコストが下がっている」というわけではありませんが、それでも、ソフトウェア開発の初期コストや、一部の調査・検証のコストは劇的に下がってきています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;今回の人工知能の発展が、今後どのレベルに達するかは分かりません。しかし少なくとも現在のレベルの人工知能であっても、ソフトウェア開発のコストや一部の調査のコストは劇的に下がるであろうということはほぼ間違いないでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;であれば、「ソフトウェアや知能が安くなったとき、何が起こるのか」を考えることは、今後のビジネスにおいてもとても示唆を与えてくれる問いのように思います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;安くなると裾野が広がる&quot;&gt;安くなると、裾野が広がる&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;そのときに参考になるのが、過去の技術の歴史です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえば冒頭の照明の例を見てみましょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;1800年から2000年のあいだに照明の実質価格が大きく下がった結果、それに伴って総消費量は大きく増えました。人々は「同じ明かりを安く買った」のではなく、それまで明かりが置かれていなかった場所にまで、明かりを広げていったのです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/ai-and-deeptech/20260414002531.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;このアナロジーをそのままソフトウェアに当てはめることはできませんが、それでもおそらく似たような構造的な変化は起こっていくでしょう。&lt;strong&gt;価格が下がると、人は同じものを安く使うだけでなく、これまでコスト的に見合わなかった場所で使い始める&lt;/strong&gt;、ということです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえば私自身も授業でAIを使ったアプリを開発しています。1コマの授業のために、アプリを作るというのも十分コスト的に可能になったからです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;非営利領域でのソフトウェア開発の普及活動 (&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/non-profit-startup-rises/&quot;&gt;Non-Profit Startup&lt;/a&gt; や&lt;a href=&quot;https://www.ducr.u-tokyo.ac.jp/activity/venture/education/stsap.html&quot;&gt;東大ソーシャルテックプログラム&lt;/a&gt; なども、「これまでならエンジニアが必要だった課題が、今なら解けるかもしれない」といった発想から始めた活動の例です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;これまでは「わざわざ作るほどではない」「ビジネスとして成立しない」とされていた活動が、ソフトウェアや知能が安くなった結果、もしかすると成立し始めているかもしれない、ということです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうした例を見ていると、問うべきなのは、「AIで既存の仕事をどれだけ安くできるか」だけではなく、むしろ「&lt;strong&gt;安いソフトウェアや知能によって、これまでソフトウェア化されていなかった領域の、どんな問題が新たに解けるようになるのか&lt;/strong&gt;」のほうではないかと思っています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;価値はどこに残るのか&quot;&gt;価値はどこに残るのか&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;しばらくの間は、そうしたソフトウェアや知能によって新しく解決できる問題に需要が生まれてくるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;しかし、そうしたソフトウェアの新しい問題空間への進出は、必ずしもソフトウェアによる大きなビジネスになるとは限りません。もともとは利益が出づらいから残っていた課題もあるでしょうし、ソフトウェアが簡単になるにつれて、価値は相対的に落ちてくるからです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その結果、起こるのは、&lt;strong&gt;価値の生まれる場所の移動&lt;/strong&gt;です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;価値は、流れの中で詰まっている場所を解消するところに生まれます。これまでソフトウェアは、情報処理や意思決定の正確さや速度というビジネス上のボトルネックを解いてきたからこそ、大きな価値を生んできました。しかし、もしソフトウェアや一定の知能が十分に安く豊富になるなら、ボトルネックは別の場所へ移っていきます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/ai-and-deeptech/20260413235012.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それはたとえば、現場への導入、責任の引き受け、品質保証、規制対応、固有のデータ、業務フローへの統合、そして物理世界での実装です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;実際、AIの文脈では、ボトルネックはGPU、データセンターの変圧器、電力や水、系統接続の順番待ち（規制）へと移りつつあります。これまでのAIは、豊富な物理的資源の上に成り立ってきましたが、物理的な制約がボトルネックになりつつあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;つまり、価値はソフトウェア単体から、それを現実に機能させるためのものへと寄っていくのではないか、ということです。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;補完的イノベーション&quot;&gt;補完的イノベーション&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;この議論は『&lt;a href=&quot;https://eijipress.co.jp/products/2304&quot;&gt;未来を実装する&lt;/a&gt;』などでも引用した「補完的イノベーション」の話と接続できます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;電気や電気モーターによる生産性の向上が、電気そのものだけではなく、電気モーターによって可能になった&lt;a href=&quot;https://speakerdeck.com/tumada/zheng-zhi-togui-zhi-wohatukusuru-purodakutofalseshe-hui-shi-zhuang-falsetameni?slide=37&quot;&gt;工場での工作機械の配置というイノベーション&lt;/a&gt;などから来たと言われています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/ai-and-deeptech/20260413232222.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;汎用技術（GPT: General Purpose Technology）は単体の発明そのもので価値を生むのではなく、まわりに生まれる補完的発明、組織再設計、人材、ガバナンスといった補完的な機能から生まれてきます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;現在のAIも同様でしょう。皆が同じモデルにアクセスできる現状においても、そこから実際に成果を出せるかどうかは、プロンプトやワークフローといったものをどう設計するかや、どの業務に組み込むか、どの品質水準で運用するかといった補完的なものによって、その価値は大きく変わっています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そして、技術の性能やコストは非線形に変わっていく一方で、組織や制度といった補完的な仕組みは線形にしか変わりません。このギャップがあるからこそ、補完的イノベーションを適切に起こせた側に大きな優位が生まれます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/ai-and-deeptech/20260414002214.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「&lt;strong&gt;AI-nativeな企業&lt;/strong&gt;」というののもこの枠組みで理解できます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この文脈で行くと、&lt;strong&gt;AI-nativeな企業とは、AIに対する補完的な仕組みの束を持つ企業&lt;/strong&gt;のことです。工場での電気モーターの配置の遍在が生産性の向上につながったように、ソフトウェアや知能を遍在させることが可能になることで、新しい仕組みや制度を実現できた組織こそ、AIの恩恵を受けられるということなのだろうと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（ただし、そのインフラを使える限りにおいては、です。今後の国際政治の状況如何によって、ミドルパワーの国々がAIへのアクセスは限定されるかもしれないので、注記しておきます。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/ai-and-deeptech/20260414000503.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;ディープテックはその典型かもしれない&quot;&gt;ディープテックはその典型かもしれない&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;そう考えると、面白いのはディープテックのような領域です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;まず直近、生成AIを使うことで、&lt;strong&gt;ディープテック事業に使う技術について、一部の検証がかなり早くなりました&lt;/strong&gt;（特に最初期のフェルミ推定レベルの検証や簡単な技術経済性分析など）。これまで専門家を見つけてお願いしていたような作業が、わずか数時間で結果が返ってくるようになったのです。これは&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/&quot;&gt;ディープテック・スタートアップ&lt;/a&gt;を目指す際の初期フェーズの壁を大きく下げる変化だと言えます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/ai-and-deeptech/20260414000553.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;さらに AI for Science がうまく軌道に乗りはじめれば、より多くの科学的発見が見つかっていくでしょう。そうなれば、その発見の一部を商用化していくところにボトルネックが起こっていくことになります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;また、AI-native な組織になって生産性が大幅に向上するのは、ソフトウェア企業ではなく、ソフトウェア以外の業種の可能性が高いように思います。なぜならソフトウェア企業にはすでに多くのソフトウェアが入っていますが、そうでない企業はこれから入っていくため、改善の余地が大きいからです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/ai-and-deeptech/20260414000533.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;こうしたソフトウェア以外の業種のビジネスを AI-native にしながら、実際に社会に実装するには、実験設備、製造、規制、安全性といった、依然として重い作業をこなしていかなければなりません。しかし価値は実装の難しい場所に残りますし、それはMoatにもなりやすいとも言えます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/&quot;&gt;フルスタック・ディープテック・スタートアップ&lt;/a&gt;や&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/deep-tech-rddd/&quot;&gt;リサーチ以外が重要なディープテック&lt;/a&gt;にも期待できるのは、こうした文脈もあるからです。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;まとめ&quot;&gt;まとめ&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/ai-and-deeptech/20260414000951.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;今起きていることは特定の知的作業とソフトウェア生成の費用が急速に下がっている、ということです。その結果、ソフトウェアは、これまで採算が合わなかった問題にまで広がっていくでしょう。照明が暗い場所にまで広がったように、ソフトウェアや知能もまた、これまで届かなかった問題空間へと敷き詰められていくのだと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;だから問うべきなのは、&lt;strong&gt;AIで何を自動化できるかではなく、安いソフトウェアや知能によって、どの問題が新たにソフトウェアで解決可能になり、そのとき何が起きて、何が新しい希少性になるのか&lt;/strong&gt;、です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;短期的には、AIそのものや、AIを活用したソフトウェアの需要は高まるでしょう。しかしその先を見たとき、おそらくそれら以上に、もっと他の場所から価値が生まれてくるのではないかと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そのとき、物理世界のボトルネックを取りに行くディープテックは、その最も大きな機会の一つです。そうした意味でも、もっと多くの人が、AIやソフトウェアを使ったディープテックの領域に目を向けてほしいと思っています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;本当に調査しやすくなっているので、興味を持ってくれた人がいれば、ぜひディープテック領域も見てみてください。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;お知らせ&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;海外のディープテック系スタートアップの紹介をしたり、シンクタンクの記事を紹介する Podcast などをやっています。ご興味あればどうぞ。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;a href=&quot;https://www.youtube.com/playlist?list=PL99n7UNWFcoYfjaJst35BKypgiDJevI37&quot;&gt;FoundX Review スタートアップ IdeaCast - YouTube&lt;/a&gt; (&lt;a href=&quot;https://open.spotify.com/show/5aOnR4CTMETFZuKiTglqS0&quot;&gt;Spotify&lt;/a&gt; / &lt;a href=&quot;https://podcasts.apple.com/jp/podcast/foundx-review%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97-ideacast/id1493965499&quot;&gt;Apple&lt;/a&gt;)&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;a href=&quot;https://www.youtube.com/playlist?list=PLg1Cf3BMvh1L4glH_Q0rLCJ-VOq_z1GfQ&quot;&gt;PEP Think - YouTube&lt;/a&gt; (&lt;a href=&quot;https://open.spotify.com/show/2vz96yKzBtKfrL8piC109F&quot;&gt;Spotify&lt;/a&gt; / &lt;a href=&quot;https://podcasts.apple.com/jp/podcast/pep-podcast/id1728469929&quot;&gt;Apple&lt;/a&gt;)&lt;/p&gt;</content:encoded><dc:creator>馬田 隆明</dc:creator><category>ディープテック</category><category>アイデア</category><category>オピニオン</category><category>AI</category></item><item><title>ディープテックスタートアップを RDD&amp;D で分類する</title><link>https://takaumada.com/blog/deep-tech-rddd/</link><guid isPermaLink="true">https://takaumada.com/blog/deep-tech-rddd/</guid><description>ディープテック・スタートアップへの注目が高まっています。 経済産業省の資料では、ディープテックは「特定の自然科学分野での研究を通じて得られた科学的な発見に基づく技術」とされていますが、それ以外にもハードウェアとかかわればディープテックと言わ…</description><pubDate>Sat, 17 Jan 2026 04:57:30 GMT</pubDate><content:encoded>&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/deep-tech-rddd/20260117133354.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ディープテック・スタートアップへの注目が高まっています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;a href=&quot;https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/kenkyu_innovation/pdf/026_05_00.pdf&quot;&gt;経済産業省の資料&lt;/a&gt;では、ディープテックは「特定の自然科学分野での研究を通じて得られた科学的な発見に基づく技術」とされていますが、それ以外にもハードウェアとかかわればディープテックと言われがちですし、大学と関わっているチームだとディープテックと言われることもあります。かなり射程の広い言葉だと言えるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうした広い意味で使われるディープテック・スタートアップは一緒くたにされがちではありますが、事業の内実は大きく異なります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/deep-tech-rddd/20260117133736.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;創薬は創薬でまったく別物ですし、医療機器も別物です。エレクトロニクス系は消費者との接点が大事なものも多いです。一方、素材領域はむしろ創薬に似ています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;宇宙のような領域では、何か一点モノの技術がすべてを決めるというより、むしろ複数技術の統合やオーケストレーションが強さになりやすい傾向にあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;このように、ディープテックと呼ばれるものには技術や事業に多様性があります。それにもかかわらず、すべてを「ディープテック」と呼んでしまうと、投資家・事業会社・行政など支援する側も、「ディープテック支援」というときに、評価や支援設計の焦点がぼやけたりしてしまいます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/diversification-of-startups/&quot;&gt;以前の記事&lt;/a&gt;でもディープテック・スタートアップを細分化して業界ごとに見ていく必要性の話をしましたが、本稿ではそれとは少し違い、業界とは異なるカットでディープテックスタートアップを整理し、ディープテック・スタートアップを分類する見取り図を提示してみます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そのための補助線として、&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/rdddd/&quot;&gt;過去の記事&lt;/a&gt;でも紹介した &lt;strong&gt;RDD&amp;amp;D&lt;/strong&gt;（Research / Development / Demonstration / Deployment）の整理を用います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;サマリー&quot;&gt;サマリー&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/deep-tech-rddd/20260117133413.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;rdddとは何か&quot;&gt;🔬RDD&amp;amp;Dとは何か&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;RDD&amp;amp;Dは、DOE が紹介してきた枠組みで、以下の頭文字をとったものです。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;R：Research（研究）&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;D：Development（開発）&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;D：Demonstration（実証）&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;D：Deployment（展開）&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/deep-tech-rddd/20260117133500.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;RDD&amp;amp;Dは新しい技術が社会で実際に使われるようになるまでのプロセスを紹介したものです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;このような言葉が作られた理由は、おそらく「R&amp;amp;D」という言葉が頻繁に使われるため、「研究開発さえ成功すれば社会実装まで辿り着ける」という誤解がUSでも広がっており、そこに一石を投じたいという意図があったのではないかと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;確かにDOEが所管しているエネルギー領域などは、「技術はあるけれど、コスト・規制の問題で普及が難しい」ということが起こりやすく、実証や展開までを考えて技術開発と事業開発を進めなければならないからなおさらでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;なお、RDD&amp;amp;Dを&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/trl-and-arl/&quot;&gt;TRLとARL&lt;/a&gt; (Adoption Readiness Level) で整理すると、&lt;a href=&quot;https://www.ctvc.co/the-investors-guide-to-the-doe/&quot;&gt;以下&lt;/a&gt;のように大まかに目安が整理されています。&lt;/p&gt;
&lt;table&gt;&lt;tbody&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;フェーズ&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;TRL&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;ARL&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;Research&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;1-3&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;1-3&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;Development&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;4-5&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;1-3&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;Demonstration&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;6-8&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;4-6&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;Deployment&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;8-9&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;7-9&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/tbody&gt;&lt;/table&gt;
&lt;h2 id=&quot;rdddをディープテックの戦いの所在を示す座標として使う&quot;&gt;📏RDD&amp;amp;Dをディープテックの戦いの所在を示す座標として使う&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/deep-tech-rddd/20260117133523.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;このRDD&amp;amp;Dは本来、技術の発達段階を示すプロセスであり、ライフサイクルです。ただ、このRDD&amp;amp;Dを「&lt;strong&gt;自分たちの事業・技術は、RDD&amp;amp;Dのどこで戦っているのか&lt;/strong&gt;」を示す座標軸として機能させることも可能なのでは、と思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;例えば、「研究（R）」が強いことがそのまま事業の強さにつながりやすい領域があります。典型は創薬です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;一方で、宇宙などは既にある技術を集めてオーケストレーションし、ビジネスモデルを作って普及させていく、という展開（Deployment）が重要なビジネスが多い領域です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;こうした「戦いの所在」を言語化できるようになると、ディープテックを単純に「深い/深くない」で議論するのではなく、RDD&amp;amp;D の&lt;strong&gt;どの局面を主戦場としているのか&lt;/strong&gt;で議論できるようになります。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;分解して詳しく見る&quot;&gt;🔍分解して詳しく見る&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/deep-tech-rddd/20260117133533.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;RDD&amp;amp;Dの各要素を、ディープテックの分類の観点で捉え直してみます。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;rresearch研究&quot;&gt;R：Research（研究）&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;研究が強いほど技術・事業が強くなるケースがあります。たとえば&lt;strong&gt;研究優位が直結しやすい例&lt;/strong&gt;は創薬（新規ターゲット、作用機序等）です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;サイエンスの強さで勝負するモデルや事業領域と言えます。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;ddevelopment開発&quot;&gt;D：Development（開発）&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;ここで言う開発は、「科学的には分かっていて、それを実用化していく」フェーズです。いわば &lt;strong&gt;研究を実用に耐えるレベルの性能まで持っていく戦い&lt;/strong&gt;となります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;研究の新規性というよりは、「使える形」にする能力で戦う領域です。追加の開発は必要ですが、信頼性、安全性、コスト、規制のための開発のため、多くは論文にはならない領域とも言えます。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;ddemonstration実証&quot;&gt;D：Demonstration（実証）&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;実証で戦う領域はあまり多くないと思いますが、以下のようなケースでは実証が中核になりえます。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;実環境での性能・安全性・運用性の証明が不可欠&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;社会実装側（顧客・規制・インフラ）との接続のため、PoCやパイロットが価値になる&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;「理屈では良い」から「現場で動く」への飛躍が最大の壁になる&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;この戦いでは、「実証を成立させる設計力・現場力・関係構築力」が成否を左右します。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;ddeployment展開&quot;&gt;D：Deployment（展開）&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;デプロイメントは、需要に近い側で技術をビジネスにつなげることや、大量に作って普及させていくという戦いです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;特定の単一技術が決定打になるというより、&lt;strong&gt;複数技術を組み合わせてオーケストレーションし、ビジネスモデルに接続する&lt;/strong&gt;こと自体が強みになります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;宇宙のような領域は分かりやすい例です。衛星・通信・運用・データ・地上系・ミッション設計など、要素技術の束を統合して、さらにビジネスモデルを構築して価値へと繋げます。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;rd研究と開発の両方に強みを持つ&quot;&gt;R&amp;amp;D：研究と開発の両方に強みを持つ&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;研究と開発の両方で戦う、という場合もあると思います。たとえば研究と実用化 の両方に強みを持つというパターンです。たとえば素材は研究成果も非常に重要で、唯一無二の製品が作れれば高い利益が出せますが、それに加えて量産・工程・品質保証・サプライチェーン等が支配的になりやすい場合があります。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;領域ではなく戦い方に着目する&quot;&gt;🎁領域ではなく、戦い方に着目する&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;「創薬」や「エネルギー」といった領域ではなく、RDD&amp;amp;Dで整理することで、ディープテックがもう少し見えやすくなるのではと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もちろん、各業界で「Rが強め」や「Deploymentで戦う業界」といった傾向はありますが、とはいえ同じ領域でも戦い方が違うときもあるからです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえば『蓄電池』という1つの技術・事業領域であったとしても、全個体電池などの性能で戦う（そして後年、現製品に対して性能で追い抜く）ところもあれば、既に成立しているリチウムイオン電池の展開に注力してコストで戦うという場合もあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;同じ領域でも、TRLなどによって戦い方が違います。TRLが高いからと言って勝てるものでもありませんし、現実的にはオーケストレーションにも追加の技術開発が必要です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「今はTRLが低いけれど実現すれば勝てる」という技術であっても、先に市場を独占されてしまうと、どれほど性能が高くても後日参入しても勝てない、ということは往々にしてあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうした意味で、その技術の戦い方やその領域のゲームのルールが何なのかによって、ディープテックと言ってもずいぶん様相が異なるのではないかと思います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;️rdddを使って呼び方を変える&quot;&gt;🏗️RDD&amp;amp;Dを使って呼び方を変える&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;ここまでを踏まえると、「ディープテック」という言葉で一括りにするのではなく、次のように分類できるのではないでしょうか。&lt;/p&gt;
&lt;ol&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;リサーチテック（Research Tech）&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;デベロップテック（Dev Tech）&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;デモテック（Demo Tech）&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;デプロイテック（Deploy Tech）&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;/ol&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;「自分たちがどういう戦いをしているのか」&lt;/strong&gt;を明確にすることで、関係者とのコミュニケーションがより行いやすくなるのではと思い、半ば無理矢理作って分類していますので、別にこれらの名前を使ってほしい、という意味では必要はありません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;とはいえ、名前があることで分かりやすくなる面もあるので、整理しておきます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;以下、各タイプの特徴をもう少し具体化してみます。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;1-リサーチテックresearch-tech&quot;&gt;1. リサーチテック（Research Tech）&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/deep-tech-rddd/20260117133547.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;研究の強さが競争力の中心になるタイプ&lt;/strong&gt;です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;強みの源泉は、新規性の高い知見、理論、発見などにあります。学術的優位性がそのまま参入障壁になりやすい領域です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;典型例はやはり創薬などが挙げられます。研究成果そのものが事業価値を規定しやすいからです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ここで問うべき論点は以下のようなものになるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;何が「新しい」のか&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;その新規性はどの程度守られるか（知財・ノウハウ・データ等）&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;研究の先行が、どうキャッシュ化に繋がるか（提携・ライセンス・パイプライン等）&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;h3 id=&quot;2-デブテックdev-tech&quot;&gt;2. デブテック（Dev Tech）&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/deep-tech-rddd/20260117133558.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;実用化への変換能力が競争力の中心になるタイプ&lt;/strong&gt;です。戦いは、研究成果を「製品・製造・品質・規制」に落とす実装力の有無になるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえば、スケールアップ、量産、歩留まり、コスト、そして現場要件（耐久性、保守、検査、規制）に耐える設計などに強みがあれば勝てる領域です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;素材領域はここに寄るケースが多く、研究が優れていても、開発・製造・品質の壁を越えられるかが勝負になりがちです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ここで問うべき論点は以下です。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;研究成果が「使える形」になるまでの最大の技術リスクは何か&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;工学的なボトルネックはどこで、どう潰す計画か&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;「量産・運用」で差がつく要素は何か&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;h3 id=&quot;3-デモテックdemo-tech&quot;&gt;3. デモテック（Demo Tech）&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/deep-tech-rddd/20260117133610.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;実証が価値になるタイプ&lt;/strong&gt;です。強みの源泉は、実証設計、現場運用、関係者調整、「PoCを勝ちに変える」実務能力にあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;対象地域の少ない事業などは、実証を最初に行うことにより信頼がつき、先行して様々なサイトに展開できるため、いかに早く実証をしてするかが勝負の領域でしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ここで問うべき論点は以下です。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;実証で何を証明すれば市場が動くのか（性能だけでなく運用も含む）&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;実証の設計は将来の商用展開に接続しているか&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;実証をスケールする時の障壁は何か&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;h3 id=&quot;4-デプロイテックdeploy-tech&quot;&gt;4. デプロイテック（Deploy Tech）&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/deep-tech-rddd/20260117133622.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;統合とオーケストレーションで勝つタイプ&lt;/strong&gt;です。技術の統合と運用や、ビジネスモデル設計、パートナーリングや供給網を含めた実装の総合力や調整力（オーケストレーション）にあります。また往々にして、技術の提供ではなく、サービスや製品を自社で提供する形になります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;典型例はやはり宇宙のような、単一技術の一点突破ではなく、複数技術の組み合わせが価値を作る領域です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ここで問うべき論点は以下です。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;どの技術を自社で持ち、どこを外部と組むのか&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;統合の勘所（システム設計・運用設計）はどこか&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;顧客に提供する最終製品やアウトカムは何か&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;h2 id=&quot;この分類が役に立つ場面&quot;&gt;🤝この分類が役に立つ場面&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/deep-tech-rddd/20260117133709.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;RDD&amp;amp;Dを補助線にしてディープテックスタートアップを見ることで、それぞれの議論の土台を整理できると、以下のようなメリットがあるのでは、と思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;起業家にとっては&lt;/strong&gt;、「自社の強みの位置」が明確になり、ストーリーが通りやすくなります。「私たちの強みは研究そのものではなく、実用化（開発）力にあります」「統合力にあります」と言い切ることで、誤解を防げるからです。また資金調達でも「何にお金が必要か」を説明しやすくなるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;投資家・事業会社にとっては&lt;/strong&gt;、評価軸をどこに置けば良いのか分かりやすくなります。研究を見るべきなのか、製造や規制のクリア能力を見るべきなのか、あるいは運用や統合能力を見るべきなのか。同じ「ディープテック」を同じ物差しで見てしまう誤りを減らせるはずです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;行政・支援機関にとっては&lt;/strong&gt;、補助金・制度・実証フィールド提供などの設計が、対象の型に合わせやすくなります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;なお、単一の会社や事業でも、フェーズによって異なる場所で戦うこともあることも付記させてください（成熟してくるとDevelopmentからDeploymentへと主戦場が移るなど）。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;また、&lt;strong&gt;「今はResearchフェーズだから自分たちはResearch Tech」と誤解&lt;/strong&gt;しないようにもしてください。この分類は「現在のフェーズ」を理解するものではなく、「競争優位のボトルネック（主たる不確実性）」がどこにあるかの分類です。今自分たちがリサーチをしているからといって、事業によってリサーチが競争優位性の源泉になるとは限りません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/deep-tech-rddd/20260117133657.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;まとめこれはディープテックかではなくどのディープテックかへ&quot;&gt;まとめ：「これはディープテックか？」ではなく「どのディープテックか？」へ&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/deep-tech-rddd/20260117133646.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ディープテックをめぐる混乱の一部は、「ディープテック」という言葉が抽象的で便利すぎるがゆえに、異なる構造の事業が同じ箱に入れられることで、一部曲解されてしまうことから生じているのでは、と思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;今回提案したようなRDD&amp;amp;Dを補助線として使うと、議論は次の形に変わるのでは、と思います。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;「これはディープテックなのか？」ではなく&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;「これは Research Tech なのか、Dev Tech なのか、Demo Tech なのか、Deploy Tech なのか？」&lt;/strong&gt;&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;この問いに答えられるようになると、どういう戦いをしていて、そこに必要な勝ち筋は何で、適切な支援は何か、というのを少しだけ整理できるのではないかと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうした実務的なフレームとして、RDD&amp;amp;Dの分類が役立てば幸いです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/deep-tech-rddd/20260117133721.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;スライド&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;div class=&quot;embed&quot; data-embed=&quot;google-slides&quot;&gt;&lt;p class=&quot;embed-link&quot;&gt;&lt;a href=&quot;https://docs.google.com/presentation/d/e/2PACX-1vR7QsRG_pr5tV7R0_Lhnl1wWSZ5Tlx0H2D0F4gqacK4aHYtHa1Tt9fDQ9IhKW5bOmjFwa4zQygimK7j/pub?start=false&amp;amp;loop=false&amp;amp;delayms=3000&quot;&gt;https://docs.google.com/presentation/d/e/2PACX-1vR7QsRG_pr5tV7R0_Lhnl1wWSZ5Tlx0H2D0F4gqacK4aHYtHa1Tt9fDQ9IhKW5bOmjFwa4zQygimK7j/pub?start=false&amp;amp;loop=false&amp;amp;delayms=3000&lt;/a&gt;&lt;/p&gt;&lt;/div&gt;</content:encoded><dc:creator>馬田 隆明</dc:creator><category>ディープテック</category></item><item><title>フルスタック・ディープテック・スタートアップという戦略</title><link>https://takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/</link><guid isPermaLink="true">https://takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/</guid><description>2014 年に Chris Dixon が提唱した『フルスタック・スタートアップ』という概念について、以前から翻訳したり、記事を書いたりしていました。 このフルスタック・スタートアップにディープテックを組み合わせたものが、『フルスタック・デ…</description><pubDate>Sun, 11 Jan 2026 07:37:33 GMT</pubDate><content:encoded>&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111151547.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;a href=&quot;https://cdixon.org/2014/03/15/full-stack-startups&quot;&gt;2014 年に Chris Dixon が提唱&lt;/a&gt;した『フルスタック・スタートアップ』という概念について、以前から&lt;a href=&quot;https://review.foundx.jp/search?q=%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%83%E3%82%AF&quot;&gt;翻訳したり&lt;/a&gt;、&lt;a href=&quot;https://blog.takaumada.com/search?q=%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%83%E3%82%AF&quot;&gt;記事を書いたり&lt;/a&gt;していました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;このフルスタック・スタートアップにディープテックを組み合わせたものが、『&lt;strong&gt;フルスタック・ディープテック・スタートアップ&lt;/strong&gt;』です。アメリカのVCである &lt;a href=&quot;https://medium.com/cantos-ventures/full-stack-deep-tech-c6a5c5aa5974&quot;&gt;Cantos Ventures の Ian Rountree&lt;/a&gt;が提唱しています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;フルスタック・ディープテック・スタートアップの特徴は、&lt;/p&gt;
&lt;blockquote&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;「画期的な技術」&lt;/strong&gt;を販売するのではなく、&lt;strong&gt;「最終製品」&lt;/strong&gt;を提供すること&lt;/p&gt;
&lt;/blockquote&gt;
&lt;p&gt;です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;宇宙領域で言えば、「高度なロケットエンジンを売る」という事業をするのではなく、ロケットを売る（あるいはそのサービスを売る）のがフルスタック・ディープテック・スタートアップです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111162940.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そして、私自身も、&lt;strong&gt;ディープテック・スタートアップだからこそ、フルスタック志向のほうが良いのでは&lt;/strong&gt;、と感じることが多々あります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ではなぜディープテックはフルスタックのほうが適しているのか――Ian が出演した&lt;a href=&quot;https://www.latitudemedia.com/news/catalyst-the-vc-case-for-full-stack-deeptech/&quot;&gt;年始の Energy Impact Partners の Podcast&lt;/a&gt; を聞いて、改めてその考え方を日本でも広く知っておいてほしいと改めて感じたので、記事にもまとめておきます。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;簡単な要約&quot;&gt;簡単な要約&lt;/h2&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;フルスタック化は、スタートアップが各種の摩擦（統合・運用・販売・責任）を自社で吸収し、学習速度と実装速度を上げる戦略です。結果として、TAM拡大や参入障壁にもつながります。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;ただし、事業範囲が広がるため、CAPEX・規制・オペレーションのリスクを抱えるため、向き不向きの見極めと、事業構想がとても大事になります。&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;h2 id=&quot;課題なぜディープテックスタートアップはシリーズaで止まるのか&quot;&gt;課題：なぜディープテックスタートアップはシリーズAで止まるのか&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;ディープテック・スタートアップは、主に大学の研究等の「Technology Readiness Level は低いが、大きな可能性のある技術」を中心に商用化することで、事業としての急成長を目指す、起業の一形態と見做されています。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その範囲は、宇宙、素材、創薬、電子機器、など様々な領域にまたがります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;共通しているのは、技術自体が事業のコアコンピタンスになる、ということです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そのため、従来のディープテック・スタートアップのアプローチは、「画期的な技術を既存企業に売る」ことでした。&lt;/p&gt;
&lt;h4 id=&quot;技術は歯車でしかない&quot;&gt;技術は「歯車」でしかない&lt;/h4&gt;
&lt;p&gt;しかし『&lt;a href=&quot;https://speakerdeck.com/tumada/ji-shu-toshi-ye-wo-sisutemu-to-reiyagou-zao-deli-jie-suru&quot;&gt;レイヤー構造&lt;/a&gt;』のスライドで解説したとおり、技術は製品というシステムの一部でしかありません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111134533.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;別の言い方をすれば、&lt;strong&gt;技術は製品がうまく機能するための『歯車』の1つ&lt;/strong&gt;です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そして製品は工場での生産等の歯車の1つであり、さらに製品は会社の利益創出活動の歯車の1つといえます。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;1つの歯車のために全体を置き換えるか&quot;&gt;1つの「歯車」のために全体を置き換えるか？&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111162926.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;歯車は他の歯車とうまく組み合わさることで、その機能を十全に発揮します。しかし噛み合わせが悪いとなめらかに機能しません。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;事業全体のパフォーマンスを上げるということは、この歯車が連続的にかみ合うこと、いわゆるワークフローが流れていることが大事だということです。そのため、1つの歯車がどれだけ優秀だろうと、その歯車を採用するために、他の全てを変えようという判断にはなかなか至らないでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その結果、&lt;/p&gt;
&lt;blockquote&gt;
&lt;p&gt;「1つの歯車がどれだけ優秀でも、その歯車の採用のために他の歯車を全部入れ替える判断はしにくい」&lt;/p&gt;
&lt;/blockquote&gt;
&lt;p&gt;という意志決定が起こりやすくなります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;strong&gt;例）高速な名刺のスキャン&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;身近な具体例を考えてみるとより分かりやすくなります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえば私たちの普段のワークフローにおいて、「AIで名刺スキャンが5倍の速さになります」と言われたところで、名刺管理CRMの入れ替えはあまり考えないはずです。名刺のスキャンというのは、全体のワークフローのほんの一部でしかないからです。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;技術売りで生まれやすい課題とリスク&quot;&gt;「技術売り」で生まれやすい課題とリスク&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111163132.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;従来型の「技術を部品として売る」モデルでは、次の摩擦が起きがちです。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;統合摩擦&lt;/strong&gt;：既存ワークフローに合わせるための調整・カスタマイズが膨らむ&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;意思決定摩擦&lt;/strong&gt;：顧客社内の力学（稟議・調達・情報システム・現場・法務・監査）で結論が出るのが遅い&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;運用摩擦&lt;/strong&gt;：導入後の運用負荷（教育、保守、監視、監査対応）が増えやすい&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;調達摩擦&lt;/strong&gt;：部分最適のROIだと予算科目に乗りにくい／「今ある仕組みで十分」とされる&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;strong&gt;実証から商用への断絶&lt;/strong&gt;：PoCは通るが、本番運用の要件（品質・供給・安全・規制）で止まる&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;さらに困難を生むのは、こうした摩擦が事後に分かることによって、技術に求められるスペックや要求がどんどんと変わっていき、技術開発の方向性すらも変わっていく可能性があることです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;技術開発にどれだけリソースを注いでいたとしても、スペックが変われば、それまでの開発自体が無駄になることも多くあります。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;技術開発の進捗という偽の進捗&quot;&gt;「技術開発の進捗」という「偽の進捗」&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;ディープテックでこの難しさが露呈するのがシリーズAやその後のように思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;技術自体の開発が進捗していることが事業の最初期には「評価」されます。一部の投資家から初期の資金調達まではできるでしょう。この結果、「この方向で良いんだ」とチームは思ってしまい、技術開発を進めてしまいます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;しかしいざ技術がある程度の性能になったあと、実際に顧客の現場に適用しようとすると、上記のような摩擦が生まれてきます。そうして技術開発の方向性がどんどんと変わり、余った資金で追加の技術開発をしていくことになります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そしてシリーズAあたりにさしかかると、投資家の評価軸は「技術進捗」ではなく「売上」や「規模の可能性」などに変わってきます。しかしその準備ができていないチームは、往々にして残った資金で投資家の期待にマッチする十分な事業進捗（技術進捗ではなく）を出すことが難しくなっており、補助金でなんとか技術開発を進めていく道を選ばざるを得なくなる……ということが容易に起こります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうした評価される進捗の質的な変化を予見できていないことや、直近の投資家からの「技術進捗だけ」による高い評価によって、本来必要とされる活動に対して資源を割り当てられない、ということが起こりやすくなります。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;フルスタックディープテックスタートアップによる課題解決&quot;&gt;フルスタック・ディープテック・スタートアップによる課題解決&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;そこでフルスタック・ディープテック・スタートアップ (Full-stack Deep Tech Startup: FDTS) です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;フルスタック・ディープテック・スタートアップは、これらの「技術売り」で発生しやすい摩擦を自社で吸収し、バリューチェーンを伸ばして、&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;従来：部品売り&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;FDTS：製品売り&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;へと変えることです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111163001.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もう少し抽象化して話すと、摩擦はどこでも生まれるものの、従来起こっていた外部との激しい摩擦の部分は自社に内包し、外部との摩擦の少ないところまでバリューチェーンを伸ばすことで、相対的に摩擦を少なくする、ということなのかなと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それがコモディティであれば、そのコモディティ製品を提供することなので、部品売りではなく製品売りとなります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ただし、場合によってはモジュールを提供することだったり、あるいは製品以上のサービスを提供することだったりするかもしれません。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;フルスタックディープテックスタートアップのメリット&quot;&gt;フルスタック・ディープテック・スタートアップのメリット&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;フルスタック・ディープテック・スタートアップのアプローチを取ることには、以下のようなメリットがあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111140626.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;1-自社でコントロールできる範囲が増え学習と実装が速くなる&quot;&gt;(1) 自社でコントロールできる範囲が増え、学習と実装が速くなる&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;まず自社でコントロールできる範囲が増えることです。外部（既存企業の都合）に律速される範囲が減り、試行錯誤のループが回ります。スタートアップにとっての「スピード」は、単なる開発速度ではなく学習速度であるはずです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;スタートアップにはスピードが命だと言われます。『&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/limitation-of-lean-startup/&quot;&gt;リーンスタートアップの限界&lt;/a&gt;』や『&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/demand-side-first-penguin/&quot;&gt;需要家のファーストペンギン&lt;/a&gt;』などの記事で、「顧客がビジネスの方向性を左右する」と書きましたが、自社の速度が外部によってどのように制約されないようにするかを考えるとき、フルスタックは1つの手法となります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もちろん、その制約をトップ営業などでクリアできるなら、その限りではありません。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;2-市場tamを大きく取りに行ける&quot;&gt;(2) 市場（TAM）を大きく取りに行ける&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;技術という部品を売るのは、その技術に相当な独占性がない限り、基本的にはスマイルカーブの中流に当たります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;一方バリューチェーンを伸ばしていくことで、収益性の高いところもカバーできるようになり、さらに大きなTAMにアプローチすることができます。また最終的に技術やオペレーションを磨いていけば、利益の幅も大きくなっていきます。顧客を掴むことで、さらなる製品開発も可能となるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;SpaceXはロケットエンジンを売るのではなく、ロケットを作り、衛星打ち上げサービスというインフラを売ったからこそ、宇宙産業が生まれ、Starlinkなどの新しい自社サービスを生み出すことができました。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;3-参入障壁を築ける&quot;&gt;(3) 参入障壁を築ける&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;フルスタックはデメリットも大きい（CAPEXや組織の複雑性）ですが、裏返すと、その高い山を乗り越えられれば他社に模倣されづらくなるということです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえばTeslaなどの模倣はなかなか難しいものです。そのため、勝ちきってしまえば利益率が高まる可能性も高くなります。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;なぜ今フルスタックディープテックスタートアップなのか&quot;&gt;なぜ今、フルスタック・ディープテック・スタートアップなのか&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;スタートアップがそうであるように、こうした概念には「なぜ今か」についての仮説が必要です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111163027.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;1-ソフトウェアによる再構築の機会&quot;&gt;(1) ソフトウェアによる再構築の機会&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;既存企業ではない形でソフトウェアが多くで使われるようになってきており、接続性が高まりつつあります。蒸気機関で動く工場から電気で動く工場への転換の際に必要だったのは、動力の技術的な転換そのものではなく、電気モーターによって生産レイアウトが変わったことであったように、工場の設計思想（生産アーキテクチャ）を変える点にあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;逆に従来型の工場は、既存の設備があり、さらに投資もしてしまっているため、新しい電気という技術への乗り換えが遅れたという指摘もあります。（最近だと Duke の &lt;a href=&quot;https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0014498325000014&quot;&gt;Damron (2025)&lt;/a&gt; など）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;従来型の決定論的なソフトウェアによる確実性と、近年の確率的なソフトウェア（AI）による柔軟性の発展をうまく組み合わせることで、機械が agentic に動ける範囲と適用可能性が増えている、という風にも言えます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ある意味で、今なら&lt;strong&gt;「Software-native」な「Full-stack Deep Tech スタートアップ」を作れること&lt;/strong&gt;が、Why now の1つの理由です。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;2-資金の獲得のしやすさ&quot;&gt;(2) 資金の獲得のしやすさ&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;10年前よりも、スタートアップが大きな資本を獲得できる環境が広がっています。フルスタックは初期に資本が要るので、この構造変化は重要です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（おそらく10年前には歯牙にもかからないアイデアだったでしょう）&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;3-需要の変化脱炭素地政学など&quot;&gt;(3) 需要の変化（脱炭素、地政学など）&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;グリーンな製品への需要や、政治的リスクによるサプライチェーンの再編の需要など、従来の需要と異なる需要が立ち上がりつつあります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この波は一過性ではなく、産業構造の再構築に接続し得るため、フルスタック型の「作って供給する」プレイヤーが価値を取りやすい局面が増えています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;フルスタックディープテックスタートアップの例&quot;&gt;フルスタック・ディープテック・スタートアップの例&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;では実際にこうしたスタートアップがいるのか、ということを振り返ってみます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;古いところでは以下のようなスタートアップが、このカテゴリに入るのではと思います。&lt;/p&gt;
&lt;table&gt;&lt;tbody&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;会社&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;普通&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;フルスタック&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;SpaceX&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;ロケットエンジンを売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;宇宙サービスを行う&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;Tesla&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;バッテリーをGMに売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;EVを売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/tbody&gt;&lt;/table&gt;
&lt;p&gt;最近だと以下のようなスタートアップがあるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;table&gt;&lt;tbody&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;会社&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;普通&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;フルスタック&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;Anduril&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;防衛産業にSaaSを売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;防衛製品を売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;Solugen&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;バイオものづくり技術を売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;化学製品を売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;Hadrian&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;製造業向けSaaSを売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;アルミ部品を売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/tbody&gt;&lt;/table&gt;
&lt;p&gt;ディープテックではありませんが、ソフトウェア領域でも同様です。&lt;/p&gt;
&lt;table&gt;&lt;tbody&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;会社&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;普通&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;&lt;strong&gt;フルスタック&lt;/strong&gt;&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;Flexport&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;物流業者向けソフトウェアを売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;輸送サービスを売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;tr&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;Uber&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;タクシー会社向けSaaSを売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;td&gt;&lt;p&gt;タクシーサービスを売る&lt;/p&gt;&lt;/td&gt;&lt;/tr&gt;&lt;/tbody&gt;&lt;/table&gt;
&lt;h2 id=&quot;デメリット&quot;&gt;デメリット&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;フルスタックは万能ではありません。主なデメリットは次です。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;初期に大きな資本が必要（CAPEX）&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;技術リスクに加えて、オペレーション／品質／供給／規制のリスクを内包する&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;サービスに寄せるほどスケーラビリティが落ちる場合がある（ラストワンマイルで人が介在する等）&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;しかしそうしたデメリットを超えてスピードが出せる、というのが、フルスタックのメリットです。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;フルスタックが合わない事業&quot;&gt;フルスタックが合わない事業&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;ただし、すべてのディープテックスタートアップがフルスタックに合っているかというと、おそらくそんなことはありません。たとえば以下のような事業はフルスタック・ディープテック・スタートアップでなくても良いかもしれません。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;現在の創薬は別で、技術だけで大きなビジネスが成立しやすいため、チャネル等も含めたフルスタックのリスクを取る必要はないでしょう。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;統合の摩擦が発生しない、技術単体がそのまま刺さるような技術もフルスタックを志向しなくても良いでしょう。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/trl-and-arl/&quot;&gt;TRL/MRL/ARL&lt;/a&gt;が極めて低いと、技術の科学的検証が律速になるので、資金を投入してもどうしようもない可能性があります。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;もし最終製品の中でとても重要な部素材であり、既存の10倍ぐらい良い性能があれば、部素材でも欲しいという人はいるため、部素材売りでも通用するでしょう。&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;最終製品にブランド価値などの感覚的な価値が高いものも同じく難しいかもしれません。ただし、テスラのように、最終製品に対してブランドを作ることができれば、超過利潤を得ることができるというメリットもあります。&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;h2 id=&quot;フルスタックが合う事業&quot;&gt;フルスタックが合う事業&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111163416.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;一方、フルスタックが合う事業もあるように思います。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;1需要リスクが小さい製品&quot;&gt;(1)需要リスクが小さい製品&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;1つめは&lt;strong&gt;需要リスクが小さい製品&lt;/strong&gt;です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;作ることができれば顧客は買ってくれて、しかも大きな市場が待っている、という状態であれば、需要リスクは小さくなります。（&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/risk-and-approach/&quot;&gt;需要リスクと供給リスクの記事も参照してください&lt;/a&gt;）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;あとは技術開発やオペレーションで、供給リスクを下げながら、コストを下げることを実現できれば良くなります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえばエネルギーや化学製品のコモディティは、どういう作り方であろうと、最終製品の機能は同じです。安ければ買われます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;フルスタックは供給側のリスクを取ることになるため、需要リスクの低い製品群であれば、リスクのバランスを取りやすいでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;2-システム最適化学習曲線が競争力になる&quot;&gt;(2) システム最適化・学習曲線が競争力になる&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;ハード×ソフト×運用が密結合で、レイヤー間の結合が強いような場合、つまり単体の技術だけでは価値が出ない場合の事業もフルスタック向けだと言えます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;また学習曲線が効く領域も多いでしょう。運用データなどのフィードバックによるプロダクト改良、あるいは製造量によるコスト低減などです。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;3-実証が難しい事業&quot;&gt;(3) 実証が難しい事業&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;フルスタックを志向することの良い点は、資本（と許認可）さえあれば、&lt;strong&gt;実証までの期間を一気に短くできる&lt;/strong&gt;ことです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;あまり重要ではない部素材であったり、重要だったとしても数十パーセントの向上などであれば、おそらく顧客はその部素材のためにすべてを作り替えるという判断はせず、その説得に数年かかってしまいます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そこで規模は小さくても良いので、いったんフルスタックで作り上げて、規模拡大とともに自社の担当するバリューチェーンを短くしていく、という手があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;実際、いくつかのスタートアップはそうしたアプローチを作っています。まずは自社でフルスタックで実証して、そのあとに自分たちの利益の高い領域だけにバリュチェーンを縮めて、他の付加価値活動をパートナーに移管していく、という手です。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;4-マルチプロダクトを出せる事業&quot;&gt;(4) マルチプロダクトを出せる事業&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;フルスタックが実現できたときには、マルチプロダクト化していく傾向にあります。顧客側との接点も多く、資本も大きいため、マルチプロダクト化はしやすいし、そうしたほうが売上も上がるためです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;多くを自社で内製しているため、組織設計さえうまくいっていれば、スピードと柔軟性を担保できて、競争力も確保できます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;事業領域としては、&lt;a href=&quot;https://review.foundx.jp/entry/full-stack-startups-in-american-dynamism&quot;&gt;a16zの記事&lt;/a&gt;では以下のような領域に可能性があるのではないかと言われています。&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;建設&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;教育&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;貨物輸送&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;半導体製造&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;公共事業&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;これ以外にも色々とあると思いますが、参考まで挙げてきます。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;アウトプットを超えてアウトカムへ&quot;&gt;アウトプットを超えてアウトカムへ&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111163045.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;Cantosの提唱するフルスタック・ディープテック・スタートアップは「最終製品」というアウトプットでした。しかしそれを越えてアウトカムに近づけば近づくほど、より収益は上がりやすくなります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;たとえばWaymoも、自動運転のソフトウェアでもなく、「自動運転車」という製品でもなく、人の輸送サービスを行うからこそ、今の評価額になっていると思われます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;実際、SaaSやRobot as a Service (RaaS)、あるいは運転保障サービスなど、製品ではなくSLAつきのサービスとして提供され始めているのは、製品を超えてサービスを提供することで、そこでデータや顧客接点を得て、さらに改善につなげていくことができるからです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;一方で、アウトカムに近いことで、スケーラビリティがきかなくなっていくサービスもあります。たとえばRIZAPなどは「痩せる」「筋肉をつける」というアウトカムを提供しますが、そうであるが故に人が介在する必要があり、ラストワンマイルでスケーラビリティが取りづらい構造になっています。Uberは、最後は人が介在しなければならないところをマッチングで解消していますが、それにも限界があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;また、&lt;strong&gt;サービスに近づけば近づくほどオペレーションやリスクも増大します&lt;/strong&gt;。そのリスクをどうやってソフトウェア等で緩和するか、というのは腕の見せ所ではないかと思います。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;フルスタックディープテックスタートアップのhow&quot;&gt;フルスタック・ディープテック・スタートアップのHow&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111163453.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ここからはかなり作業仮説の要素が強くなりますが、現時点で考えているHowの部分をお話します。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;1-構想力&quot;&gt;(1) 構想力&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;このフルスタックの事業は、供給のためのシステム全体を最適化していくことです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;エジソンが電球だけではなく、発電や送電、銅のコストも含めてシステム全体を考えていたように、かなり高い視座を持ちつつも、かなり細かな実験をしていくような、『&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/blueprinting-the-future/&quot;&gt;構想力&lt;/a&gt;』が求められます。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ここで重要なのは、技術のロードマップの構想だけではなく、&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;製造／供給／保守&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;調達／契約／責任分界&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;規制／認証&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;価格と利益構造&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;までを含めた全体構想であることは拭きさせてください。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;2ステージゲートなどのプロセス&quot;&gt;(2)ステージゲートなどのプロセス&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;1➡10➡100➡1000など、桁を1つずつ上げていく中でステージゲートを設けていく必要はあるでしょう。Liliumなど最初から多角化すると厳しいですし、Northvolt など大きなものを一気に作ろうとすると失敗する可能性は増します。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;とはいえ、事業の競争環境によっては一部の桁を飛ばして、2桁上に行く、といったリスクを取る場合もあるかもしれませんし、技術によっては、1桁上と2桁上の規模感で異なる技術検証が必要で、その場合は1桁上げるステップを挟むのではなく一気に2桁上げるほうが合理的という場合もあります。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;3スピードの確保&quot;&gt;(3)スピードの確保&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;それぞれのステージゲート間ではシステム全体のすりあわせを一気にしていく必要があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;また、初期は学習が命ですが、売上を立てにいくと品質・納期・運用が支配的になります。この二つを同じラインで回すと破綻しやすいので、組織をどのように運用するか、なども大事になってきます。&lt;/p&gt;
&lt;h3 id=&quot;4リソースの確保&quot;&gt;(4)リソースの確保&lt;/h3&gt;
&lt;p&gt;お金や人といった資源を大量に集めながら、その資源を効果的に使っていく手腕が求められます。お金については、エクイティだけではなく、補助金やデット、プロジェクトファイナンスなど、多様なお金の調達方法を知る必要があります。また日本には事業会社からの投資も多く、それらをうまく活用しながら、こうしたモデルを模索する必要があるでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;人については、研究者だけではなく、製品開発から運用担当者、法規制担当者まで幅広く揃えながら、事業として統合していく必要があります。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;起業家と投資家の会話&quot;&gt;起業家と投資家の会話&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;ディープテック・スタートアップは&lt;a href=&quot;https://takaumada.com/blog/what-is-deep-tech-startup-actually/&quot;&gt;技術の商業化ではない&lt;/a&gt;、というのを何度も書いてきました。このフルスタック・ディープテック・スタートアップの概念は、そうした議論にも有用ではないかと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ただし、このフルスタック型は投資家側のリスクが増えるアプローチであることには留意が必要です。資本リスクが上がるし、技術以外のリスクも増えるからです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;しかし一方で、ディープテックスタートアップへの中途半端な資金提供は、むしろ顧客との摩擦を生む事業構造しか作れなくなり、スピードが出せず、そのスタートアップの可能性だけではなく、その元となった技術の可能性をも殺してしまう可能性があります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;最初の摩擦がある部分をどのように乗り越えるか、という点においては、最初からある程度大きな資金を投資して、技術以外の部分の垂直統合も検討した方が、投資家と起業家の両者にとってリスクが緩和されうる道筋にもなります。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;仮にフルスタックでなくとも、バリューチェーンを伸ばした方が摩擦が少なくなる可能性もあると思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この記事をきっかけに、&lt;/p&gt;
&lt;ul&gt;
&lt;li&gt;「初期にどこまでバリューチェーンを伸ばす方が良いか」&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;「気になるリスクを緩和するために何を精緻にすれば良いのか」&lt;/li&gt;
&lt;li&gt;「そのリスクを受容できるだけの大きな構想を描けるのか」&lt;/li&gt;
&lt;/ul&gt;
&lt;p&gt;を起業家ー投資家間で議論していけるようになると良いのでは、と思っています。&lt;/p&gt;
&lt;h2 id=&quot;まとめ&quot;&gt;まとめ&lt;/h2&gt;
&lt;p&gt;&lt;img src=&quot;https://img.takaumada.com/blog/full-stack-deep-tech-startup/20260111163111.webp&quot; alt=&quot;&quot; width=&quot;600&quot;&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;良い構想を持つスタートアップに対して、より大きなお金をつけて、より大きく精緻な構想を描くように促すことが、日本からフルスタック・ディープテック・スタートアップを生み出していくためには必要です。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;特に初期から大きなお金が必要になるため、投資家や補助金担当者の一部が、こうした戦略があるということを認識し、それに賛同する状況を作れなければ、おそらく「リスクが高すぎる」という判断がされ、この戦略を取れるスタートアップはいなくなってしまうでしょう。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;逆に言えば、こうした考えや戦略を持つ投資家が増えることで、この戦略を取れるスタートアップは多くなりるということです。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;この原稿は私の仮説であり、一種の言説です。ただこうした言説に多くの人が触れて、一部の投資家の方々がこの言説に近い信念を持つとき、お金が集まり、起業家の皆さんが実際にこうした挑戦ができるようになる類いの言説ではないかと思います。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そうした仲間捜しという意味で、こうした戦略を共有することは意味があるのではないかと思い、書いておきます。&lt;/p&gt;</content:encoded><dc:creator>馬田 隆明</dc:creator><category>ディープテック</category><category>スタートアップエコシステム</category><category>カンパニークリエーション</category></item></channel></rss>